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「波が運ぶタイムカプセル」

ゆるやかに
押し寄せる波に
涙を誘うはずだったのに
ゴミ溜まりを誘ってた

人口海岸のむなしさを
鼻で笑い
それでも真白な砂の上は
心地がよかった

砂の上を歩く
素足になって
わざと足跡をつけながら
軌跡を眺める

ここは自由だ
海と砂浜は
あの世とこの世の狭間のようで
全てを忘れられる

境界線をひたすら歩き
そして舞ってみる
ここでは何をしても
許される気がする

波打ち際にぽっかり浮かぶ
小瓶がひとつ
空っぽだけれど
見えてないだけかもしれない

タイムカプセル
ここに来ることは予定されていたと
教えられているようだ
そして思い出す

海をひたすら眺めて
過ごした日のことを
苦しくて
海に助けを求めた日のことを

波は静かに
近づいては遠ざかり
その繰り返し
ただそれだけだったが

その規則性が
ゆっくりと
乱れた鼓動を
整えてくれた

波のリズムと
シンクロする
二つの波が
今と昔を繋いで

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