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「自然死で死にたい」 倉本聰さんの記事を読んで
医療の発達は私たちを生かしているが、
同時に私たちを苦しめてもいる側面もあると思う。
私をある意味別人に変えてしまった過去の強烈な出来事。
姪っ子の死。
それを再び思い出させた記事。
「北の国から」で有名な倉本聰さん。
倉本さんの記事を読んで改めて自分自身の思いを確かめた。
自然死で死にたい。
呼吸器が無ければ生きられない身体で生まれた姪っ子。
延命をしないと決めた弟夫婦。
呼吸器での10日間の延命のち、自然死を装われながら家族全員揃ったところで息を引き取る。
心ある演出をするのはいのちを絶つ医師。
医師だって人間だ。
そんな仕事はしたくたい。
いのちを救うのが仕事なのに。
しかし心が追いつかないほどの医療の発達はそれをさせない。
いのちの限りが見えた瞬間、
自然死という選択肢も与えてほしい。
誰も手を汚すこと無く、
自然に、みんなが清らかに。
死ぬことには悲しみと喜びがあると私は思う。
残された者には悲しみが、
逝く者にはひとつに帰れる喜びが。
魂はただ肉体を離れただけで、旅は続いている。
ふたつを同時に受け入れればきっと、
こんな無駄に悲しみを増やすことはしなくて済むだろうから。
一部抜粋で倉本聰さんの記事を挙げます。
「医学 」
全く信じられないぐらいの速度で、医学というものは進んでしまった。 昔ならとっくに死んでいる筈のものが、医学の進歩で生き永らえるようになった。おかげで人間の平均寿命は延びた。それはありがたいことにはちがいない。
(中略)
人の命は天よりも重い。古来云い尽くされたこの哲学が未だに医学界を縛っている。
人工呼吸、胃瘻(いろう)、透析。
まだ働ける者が医学の進歩で命を永らえるのはありがたいことである。しかしもう生きても働けぬもの、もう生きる気を失ったもの、生きても他人の迷惑にしかならぬもの。
そういうものまで、本人の意志に反して、植物人間になっても命を存続させようという行為は、果して人道上如何なものか。
永びかせ得るなら永びかせてくれというのは、家族の当然の願望であろうし、植物人間になってしまってもそう頼まれれば永びかせるのは医者の当然の義務かもしれない。
しかし完全に植物化してしまって、蘇生の可能性も全くなく、意志も希望も失った病人は、果たしてまだ人間と云えるのだろうか。生きている命といえるのだろうか。
これはもう神の領域なのではあるまいか。医学の上を行く問題なのではあるまいか。僕なら直ちに死なせて欲しい。
だが一度人工呼吸器につながれたものは、それを止めるのは人の意志であり、それは即ち殺人ということになる。かくしてこの議論はタブーの領域となり、それ以上の思考は、してはならない範疇のものとなる。
云いかえれば医学は進みすぎたのである。
そんなことより医学の目的のもう一つに、患者を苦しみから解放するということがある。もしかしたら命を救うことより、こっちの方が切実かもしれない。
去年、私の若い友人が肺癌で3年間苦しみに苦しんで死んだ。この苦しみ痛みから解放してくれと彼は云い続け、尊厳死協会にも入会したが、まだ持つまだ持つと医者は云い、そのうち新薬が出るかもしれないと希望を持たせるようなことを云った。
2年目彼は苦しみに耐えかね、自らの命を絶とうと電動ドリルを胸に刺したが失敗した。更なる苦痛を重ねた揚句、3年目になって漸く死ねた。
胃カメラを飲むのにも意識を飛ばしてくれる世の中にどうしてこんなことが起こるのか。
これは一種の拷問ではないか。医者の使命は命を持たせるよりも苦しみから解放させることではないのかと、僕はその時医学を恨んだ。
科学(医学)が如何に進んだからといって、哲学を忘れた科学は科学といえない。
何でも出来る、と自惚れる科学はもはや世の中に害疫しかもたらさない。
もっと速く走れる。もっと容易に通信が出来る。もっと簡単に洗濯が出来る。掃除が出来る。ニュースが見れる。娯楽が楽しめる。買物ができる。仕事が出来る。もっともっともっともっと??
しかしそこにはからくりがある。 人が本来自分のエネルギーを使って、しこしこ汗かいてやっていた事共を、何かの力を借り、何かに犠牲を強い、それがいつのまにか当り前になること。
そうでなかった昔のことを、少し数え出して書き出してみないか。
そしてその時代に少しでも戻れないか。戻ることが、如何に大変なことかを、小さなことからチェックしなおしてみないか。
全文記事
「老人よ、電気を消して『貧幸』に戻ろう!」脚本家・倉本聰が呼びかける“浪費とはおさらば。子孫のため地球を洗い直す”(文春オンライン)
#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/540520f561bf33eea0c04163e56add66af0f643a