「春の野中をふたつゆく」
三が日
梅林にふたつ
春一番
初みくじ
和歌がほしくて
ふたつひく
元旦に恒例の
和歌のついたおみくじ
運勢よりも
歌がほしい
神社にて
「桜花盛りはすぎてふりそそぐ
雨にちりゆく夕暮の庭」
といただいた
雨に打たれながら
枯れていく
その情景を
年を重ねて見つめる
欲しかったことばが
また景色が
いまここに
枯草と冷たい沼を前にして
疲れた体に
ひと休み
走りつづけたよ
もうくたくた
お茶をすすりながら
一羽青鷺が舞ってきた
オマエもひとり
沼を見下ろして
ふたつ目は
「長閑なる春の野中を家人と
心安けく行く心地かな」
と寺でいただいた
今ここ
梅林の中を
歩いている
あぁ花がない
ひとつかふたつ
咲いてくれよと
歩き回れば
ぽつりと紅を
見つけたよ
春一番の
望みの一輪
あぁ待ちわびた
春はくる
のどかなる野中を
安らぐ人と歩む
いつかその日が
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