うつ病から廃人へ
実家の5軒ほど離れたご近所さんの
お話です。
今はもう
専用の介護老人ホームに入り、
ほぼ完全介護されてるお婆ちゃんのお話です。
とても
綺麗な方だったようです。
お子さんが成人したあたりから、
心病んで、
旦那さん曰く
「うつ病」になってしまったそうです。
私の実家から
車で30から40分ほど走った山の上の方に、
昔からある精神科病院に通院してたそうです。
その病院は、
ここ20年間くらいの精神科ブームで、
新しく立て直し小綺麗な外観に
変わった病院ですが、
私が中学生・高校生の頃は、
近隣住民誰しもが怖がり煙たがる、
いわゆる
昔ながらの精神科病院でした。
汚れたコンクリート打ちっぱなしの壁に鉄格子のはまった窓。
いわゆる
精神を病んだキチ○イが放り込まれる病院と、
皆恐れてました。
近くの住宅地には
〇〇精神科病院建設反対!
と
いった大きな看板がいくつもありました。
その
「うつ病」の奥さんは、
その病院に
何度も入退院を繰り返してたようです。
私は
そのおじいさんと会話はしたことありませんが、
近所なので、
母や父は時々立ち話をして、
そのおじいさんの愚痴を聞いていました。
奥さん
薬を飲みたくないってわがままを、
ずっと
言ってきたそうです。
泣いて薬を飲みたがらないことが
多かったそうです。
「薬を飲まない妻」に
その夫であるおじいさんは、
「薬飲まないなら、また入院させるぞ」
と
言うそうです。
そうすると
奥さんは
「入院はイヤイヤ」
と
言って、
泣きながらお薬を飲むそうです。
その
おじいさんは、
本当に心の底から、
精神薬を飲むことが治療となり
奥さんのためと信じ込んでいるようでした。
愛妻家なのです。
私も何度も見かけましたが、
よく奥さんの手を握って、
近所を散歩させてあげてました。
もう
その奥さんは
ヨチヨチと少しづつしか歩けませんでした。
お風呂もひとりで入れないので、
旦那さんが全部世話をしてあげてたようです。
もう少し元気だった頃は、
よく家を飛び出して、
「死にたい」と泣き叫び、
近くにある大和川まで走って行き、
何度も追いかけたそうです。
そして
病院で貰ったお薬を飲むと、
とても効果があり、
そんなことはしなくなり大人しくなる。
「薬」を飲むことはとても大切
だと
話してました。
私は何年間も実家で療養してたので、
このご夫婦の姿を頻繁に見てました。
「向精神薬」のことを詳しく知ってからは、
あのお婆ちゃんに起きてることが、
手にとるようにわかりました。
全ては
「向精神薬」のせいで、
あの人の人生は
闇に葬り去られたことを。
その
お婆ちゃんは、
子供が大きくなり巣立ち家から出て、
寂しかっただけなのです。
そこで
少し鬱状態になっただけなのです。
よくあることです。
「空の巣症候群」ってやつです。
旦那様は
そんな奥さんのことを心配して、
精神科病院に連れて行った。
そして、
そこからずっと、
奥さんの状態は悪くなるばかり。
完全な精神障害者になってしまいました。
そのうちに、
おばあさんの姿を見かけなくなりました。
おじいさんが1人で散歩してます。
とうとう
1人でトイレにも行けなくなり、
粗相をする。
もう面倒見きれなくて、
専門の介護施設に入れたのことでした。
もちろん
ずっと「向精神薬」は
飲んだままとのことでした。
死ぬまで飲むことでしょう。
介護施設に入ったお婆ちゃんは、
瞬く間に、
旦那さんのことを認知できなくなったそうです。
でも
その旦那さんはこう言ったそうです。
妻は今が一番幸せそう。
ニコニコして座っていて楽しそう。
これって
愛情溢れる物語なのでしょうか?
私には
ホラーにしか感じれません。
精神薬を飲みたくないと泣く妻に、
薬を飲まないなら、
また精神科病院に入院させるぞ!
と
言って飲ませる夫。
しかも
悪意ある夫ならいざ知らず、
妻のために「薬を飲ませる」ことが、
本当に善行だと心の底から信じてるのです。
精神科医を全面的に信じてるのです。
この
旦那さんを
「バカな旦那」と評することは
わたしにはできませんでした。
あの年代の人達、
精神医療や向精神薬に関して、
正しい知識を得ることなんて、
できたでしょうか?
私が
そのご夫婦の真実に気づいた時は、
もう
お婆ちゃんは朦朧として、
腕を支えられながら、
ヨチヨチ散歩するのが精一杯の状態でした。
その
おじいちゃんに
あなたの奥さんがこんなことになったのは、
「向精神薬のせい」ですよ。
あなたが無理矢理飲ませた薬で、
あなたの奥さんはこんなことになったんですよ!
なんて残酷なことは言えません。
おじいさんは
自分は精一杯やった。
奥さんは「うつ病」だったからこうなった。
仕方ない。
今は施設で幸せそうにニコニコしてる。
これでよかった。
と
思ってるのです。
おそらく
日本にはこれと類似した話は
吐き捨てるほどあることでしょう。
一見仲の良いご夫婦にも、
「精神医療」が絡むとホラーが潜んでます。
私がもしそのお婆ちゃんだったら、
地獄の底から永遠に夫を恨み続けるのかしら?
本人すら気づけてないから、
そこには何も存在しないのでしょうか?
ちなみに
私の夫も「飲んだ方がいい」派でした。
離婚になってもいいから、
私は自分の意思を貫き通しました。
従順な妻だったら廃人になってたわけです
日本の精神医療の実態なんて、
こんなものなのです。