日常から離れる必要性ー大学院生の気分転換
大学院という環境はストレスの連続だ。おまけに僕は文系の博士後期課程という、世に言えばお先まっしぐらというか先が全く見えず、将来に対する不安は常につきまとう。一般の社会人とは異なって、決まった時間に何かをやらないといけないということは基本的にないのだが、休みというものもなく、毎日自分の研究対象に向き合って、分析や論文執筆をつづけていかなければならない。それはひとえに自分との闘いであり、精神的にも辛いものがある(よほどの研究大好き人間でない限りは)。
そんな日々を続けていると、最近不定期に胸を痛みが襲い、朝起きたときはどうも体が重く、風邪でもないのに喉も痛い。検査しても原因はよく分からないと言われ、煩悶とする日々がここ2,3週間は続いた。
そこで、1回日常から離れてみる決意をした。研究室にいても、家にいても常に研究というものが頭をよぎり、身を休めるところがないからだ。目前にやらないといけない仕事はいくつか抱えていたのだが、今週の頭にわずかな休みを縫って、京都市の大原というのどかな地に休養へと赴くことにした。
結果的に、これが大成功だった。老夫婦が暖かく迎えてくれる旅館に泊まり、夕食はシャモのすき焼きをいただくなどした。不思議と滞在中、胸や胸の痛みを感じることは全くなかったのだ。これはなぜだろうと考えた時、日常の研究生活から離れることが大きかったのだろうと。家や研究室では研究の道具に囲まれながら生活をしているのに対し、今回の休養中はそんなものすらないのだから、研究が頭をよぎることはない。
こういう時間を設けてあげることは、本当に大事だ。もちろん、その後研究室や家に戻れば、いつもの胸痛は復活したのだが(笑)、心なしか体のだるさは軽減されたように思えた。
ストレスと向き合うためには、やはり日常から離れるということが大事だ。これは別に大学院生に限った話ではないだろう。自分にとって最適なストレスの向き合い方を見つけてあげるのが、最大の処方箋だろう。酒を飲みバーに通うなんて人もいるだろうが、僕には合わない。店主ともろくに話せないし、お酒も強くはないし特段美味しいとも思わない。ただ、それもやってみないと分からない。いろんなことをやってみて、自分に合った処方箋を見つけてあげる。これがこのストレス社会を生き抜く秘訣ではないかと思った。