マロ

しがない文系大学院生(博士課程) 大学院生活のことや、読書のことなどを書いていきます

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最近の記事

中庸の境地へと達するためにー『大学・中庸』、『二コマコス倫理学』を手がかりに

中庸の必要性 幸せに生きていくためには、何事にも適度でなければならない。いくら美味しいものであっても、食べ過ぎては体が悲鳴を上げる。好きなことに打ち込みすぎても、それが度を越して身を酷使すれば元も子もない。過剰なのが適切でないのと同様に、不足しているのもまた適切ではない。アリストテレスの言葉を見てみよう。 アリストテレスによれば、最高善は「徳に基づく魂の活動」であるという(同前、60頁)。つまり、最高善や幸福を達成するためには、やはり中庸に基づいた行動や姿勢(性格)が必

    • 「転換期」1970年代と現代ー公文俊平『転換期の世界』を手がかりにー

       たまたま古本屋で1冊の本を手に取った。それは、公文俊平『転換期の世界』(講談社学術文庫、1978年)という本だった。僕は「転換期」という時代がなんとなく好きで、その類の本をしばしば手に取るのだが、今回の転換期は1970年代に関するものだ。  この本で描かれる世界は50年以上も前の時代なのに、なんだか現在と非常に相通ずるものを感じた。当時指摘されていた問題が現在でも全く解消されていないし、現代を先取りした解決策(具体的ではないが)を提示している。そんなところが現在の僕に刺さっ

      • 人間を縛る「空気」ー山本七平『「空気」の研究を読んで

         僕は以前の記事で、人間が人間らしく幸せに生きるためには、周りに左右されることなく、主体性を社会の中で発揮していくことが必要だと書いた。  だが、主体性を発揮するのが難しい場合も、しばしば起こり得る。例えば、周りがみんなある意見に傾いているから、ある種の同調圧力を暗黙のうちに感じ取ってしまい、その場の「空気」に合わせてしまう。こんな風に、どうも「空気」が主体性を妨げることもありそうだ。そこで今回は、山本七平『「空気」の研究』を中心に取り上げて、なぜ「空気」が人間を縛るのか、

        • 生きづらさの原因ー社会から切り離された「人間」

           この世はなんだか生きにくい。そう感じたことはないだろうか。少なくとも僕にはあるし、今もぼんやりと感じている。じゃあ、なんで人間は生きづらいのか。人間はどのようにしたら楽しく過ごせるんだろうか。今回はこの点を少し考えてみたいと思う。 「人間」とは何か  本題に入る前に、そもそも「人間」って何なのかについて考えてみたい。こんな大きいテーマを掲げてしまうのは気が引けるし、それだけで記事がいくつも書けるだろう。そんな難題にこの記事では取り組むつもりはないが、そもそも「人間」とい

        中庸の境地へと達するためにー『大学・中庸』、『二コマコス倫理学』を手がかりに

        • 「転換期」1970年代と現代ー公文俊平『転換期の世界』を手がかりにー

        • 人間を縛る「空気」ー山本七平『「空気」の研究を読んで

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