綾野剛の"ひとり夜もヒッパレ"ってぐらい『紅』に染まりきってた『カラオケ行こ!』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:2/5
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:-
製作年:2023年
製作国:日本
配給:KADOKAWA
上映時間:107分
ジャンル:コメディ
元ネタなど:漫画『カラオケ行こ!』(2020)
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
合唱部部長の岡聡実(齋藤潤)はヤクザの成田狂児(綾野剛)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。
狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が…。
聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?
【感想】
※以下、敬称略。
原作漫画を読んでからの鑑賞でしたが、これは面白いですね!そもそも1巻しかないので内容が省かれることもなく、原作のすべての要素が再現されていてよかったです!
<観る人を選ばない受け入れやすさ>
ヤクザと合唱部の中学生というまさかの組み合わせに、やることがカラオケの特訓という『極主夫道』(2018-)以上に牧歌的な内容。そのギャップある設定とテンポよく進むストーリーはとても観やすく、老若男女幅広い層に受け入れられるのではないでしょうか。これがヤクザ映画らしいドンパチやるようなアクション映画だったら好みは分かれるかと思いますが、至って平和で心温まるハートフルコメディなので、友達でも恋人でも家族でも、どんな人と観に行っても楽しめること間違いなしだと思います。
<「音」の介入が原作のよさをさらに強固なものにする>
今回、映像化するに当たって漫画と大きく異なった点は「音」が入ったことですね。「題材がカラオケなんだから、漫画よりも映像の方が向いているのでは」と思った人もいるかと思いますが、まさにその通りでした。狂児を演じた綾野剛の熱唱シーンは滑稽すぎて爆笑モノですよ。なんてったって、選んだ曲があのX JAPANの『紅』なんですから(笑)一般の成人男性が歌う上では最も難易度が高い部類に入るのではと思われる曲ですよね。原作漫画では「終始裏声が気持ち悪い」と聡実にバッサリ切り捨てられていた狂児でしたが、そう言いたくなる気持ちがよくわかるのも映画化の醍醐味かと(笑)
さらに、原作漫画では描かれなかった狂児が他のアーティストの歌をうたうシーンもあるんですが、音域が合っているために普通にうまかったのも見どころだと思います。でも、その合間に『紅』を挟むもんだから、原作漫画以上に『紅』の押し出しが強かったです(笑)難易度が高い歌であるがゆえに、もはやネタとしても成立してしまうので、それだけで笑っちゃいますよね(笑)
他にも、聡実が他の組員の歌を聴いてアドバイスするシーンなんかも、それぞれの独特な歌い方を味わえるのも映画ならでは。イカつい顔をしたおっさんたちがポップな歌を一生懸命歌う姿も笑おかしいですし、彼らに辛辣なコメントを投げつける聡実も笑えました(笑)
<出番が増えていた合唱部の面々>
原作漫画ではあまり出番がなかった合唱部の面々ですが、映画ではけっこう出番が増えていました。特に、聡美の後輩の和田(後聖人)ですね。映画では部活にメチャクチャ熱心である一方、その真面目な性格ゆえに練習をしない(実際はしないんじゃなくてできないんですけど)聡美に苛立ちを見せて感情的になるなど、かなり存在感のあるキャラクターとして描かれていたのが印象的でした。演じた後聖人がまたいい雰囲気を持った役者さんで今後の活躍に期待したくなりました。
<そんなわけで>
多少のアレンジはあれど、原作漫画をうまく実写化した素晴らしいコメディ映画でした。漫画の実写化ってことでアレルギー出ちゃう人もいるかもしれませんが、これに関しては信じて大丈夫なんじゃないかと思います。内容もライトなので原作漫画を読んでいなくても十分に楽しめますし、何よりも『紅』を熱唱する綾野剛がツボるのでオススメです!「くれないだぁぁああああ!」ってシャウトするのがやかましいわって(笑)あと、エンディングテーマのLittle Glee Monsterが歌う『紅』のカバーもよかったのでぜひ聴いてみてください!