【ネタバレあり】血湧き肉踊る躍動感にあふれた試合シーンと深掘りされたキャラクター描写に感激した『THE FIRST SLAM DUNK』
【個人的な満足度】
2022年日本公開映画で面白かった順位:10/184
ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
映像:★★★★★
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★
【作品情報】
製作年:2022年
製作国:日本
配給:東映
上映時間:124分
ジャンル:アニメ、スポーツ、バスケットボール
元ネタなど:漫画『SLAM DUNK』(1990-1996)
【あらすじ】
公式からの発表がないので、映画コムからの引用でイントロダクションを記載します。
1990年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、現在に至るまで絶大な人気を誇る名作バスケットボール漫画『SLAM DUNK』を新たにアニメーション映画化。原作者の井上雄彦が監督・脚本を手がけ、高校バスケ部を舞台に選手たちの成長を描き出す。
【感想】
素晴らしかったです。。。これは僕の世代ドストライクの漫画でしてね。当時買っていたジャンプの漫画で読んでいたのは、『ドラゴンボール』と『幽遊白書』と『SLAM DUNK』なので、まさに三種の神器みたいなもんですよ。小学生の頃はテレビアニメも観ていましたし、東映アニメフェアの劇場版も全部観ました。ゆえに、自分の中でかなり期待値が高かったんですが、それを見事に超えた作品となっていました。
<異例の展開>
そもそもこの映画、異例なことが2つあります。ひとつはチケット。普通の映画って、座席指定ができるようになるのが公開日の2~3日前、特別なケースでも1週間前からなんですけど、これは1ヶ月ぐらい前からできたんですよね。
もうひとつが、これが一番びっくりなんですけど、現在に至るまで公式からあらすじの発表がないんですよ。原作通りなのか、それとも新たに書き下ろされたオリジナルストーリーなのか。それすらもわからないから、とにかく観るしかありません。伝説級の人気を誇る漫画だからこそ、話題をさらえる手法だと思いますね。このまま内容に触れずに感想も書けるんですけど、「そもそも内容がわからないんじゃ観るに観れない」っていう方がいてもすごくもったいないと思うので、ここでは内容に触れて書こうと思います。なので、まだ知りたくないよって方は、ここでページをそっ閉じしてください。
<新たな視点から描かれる新鮮さ>
今回の映画、公開前からネットではいろんな話がありましたが、結論から言いますと、焦点が当たっているキャラクターはもともとの主人公である桜木花道ではなく、宮城リョータになります。なぜ彼になったのかはわかりませんが、原作漫画でもテレビアニメでも桜木花道を主軸に進んでいる話が、今回は宮城リョータの過去からスタートします。彼には亡くなった兄がいたこと。そして、そのことが宮城リョータと母親の関係が少し複雑になってしまうきっかけとなったことなどが描かれ、宮城リョータに対しての印象が変わる作りになっています。原作漫画では宮城リョータの過去について語られることはなかったので、「そんな設定があったのか」と驚きましたね。なお、かつて読切作品だった『ピアス』に、その設定の一部が描かれているみたいです(僕は読んだことありませんが)。
<ストーリーとキャラクターの深掘りがハンパない>
そんな宮城リョータの過去を追いつつ、現代パートで描かれているのが、あの山王戦です。この映画が『SLAM DUNK』の初見だと唐突な感じがするかもしれませんが、原作漫画を読んでいた身からすると、この山王戦が最後の試合となるのでメチャクチャエモいんですよね!!その山王戦との試合の始まりからから終わるまでを描きながら、その間に回想という形で、原作漫画にはなかった新しい要素が追加されています。それらは原作漫画のエピソードを補完するようなものもあるので、ストーリーだけじゃなくキャラクターにおいても、より一層深掘りされており、『SLAM DUNK』への愛が深まること間違いなしです。個人的には、沢北のエピソードが好きでしたね。神社へお参りに行って"あること"を願うんですよ。それが、今回の試合の結果と繋がるので、ただバスケが強い選手だけじゃなく、彼のストイックな面が垣間見れて興味深かったです。
<CGアニメーションによって描かれる圧巻の試合シーン>
ストーリーやキャラクターの描かれ方が秀逸なのもこの映画の魅力ですが、もうひとつ推したいのが試合のシーンです。今回は全編CGアニメーションで描かれているんですけど、これがすごいんですよ。キャラクターの動きがリアルになったおかげで、躍動感と臨場感がハンパなくて、とてもスリリングな展開を楽しむことができました。もちろん、原作漫画に忠実なので、どう展開していくかっていうのはわかっているんですけど、それでも「あの部分をどう表現していくのか」っていう興味が次から次へと湧いてきて、内容を知っていてもまったく飽きることがありません。また、試合中のセリフも少なく、戦いに集中している雰囲気が強く感じられたのもよかったですね。
さらに、奥行きが出たことでキャラクターの体格差にもリアリティが増し、「宮城リョータってこんなデカい連中と戦っていたのか」と今更ながら驚きます。ラストの「左手はそえるだけ」のシーンは思わず涙がこぼれました。。。キャラクターの顔も、過去のテレビアニメとは違って、原作者である井上雄彦先生の絵そのまんまだったので、本当に漫画を読んでいるかのような気分になれたのも、感情が高ぶった大きな理由だと思いました。
背景シーンはちょっとのっぺりした印象を受けますけど、よーく見ると、原作ファンにはたまらない強豪校の連中も映っているので探してみるのも面白いかもしれません。まあ、ジャージの色で判断するしかないぐらい小さいんですけど(笑)
<そんなわけで>
昔この漫画を読んでいた人、テレビアニメを観ていた人には特に観ていただきたい映画です。確かにそれらを観てなくても楽しめるとは思うんですけど、やっぱり原作に触れていないとピンとこない部分もあるんでね。個人的には、少しドラマパートが長いかなと感じる部分もありましたけど、連載終了から25年以上経ってもこれだけ熱狂できるコンテンツってすごいですよ。人気すぎるがゆえに、公開前にはいろいろ炎上していたようですし、やっぱりこの映画も受け入れられないっていう人もいるとは思います。でも、観なきゃわかりませんからね。世界中が待ち望んだあの瞬間を、ぜひその目に焼きつけてほしいです。