人類史上最も消防士をかっこよく尊く描いた名作中の名作『バックドラフト』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭13」で面白かった順位:4/9
ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
映像:★★★★★★★★★★
音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★
【作品情報】
原題:Backdraft
製作年:1991年
製作国:アメリカ
配給:UIP
上映時間:137分
ジャンル:スリラー
元ネタなど:なし
【あらすじ】
殉職した父の後を継ぎ、消防士になる決心をしてシカゴに戻ってきたブライアン(ウィリアム・ボールドウィン)。彼は消防中尉の兄スティーブン(カート・ラッセル)と共に火災と戦う日々を送っていた。
ある日、ブライアンは元恋人のジェニファー(ジェニファー・ジェイソン・リー)と再会。彼女の上司から放火犯罪調査の仕事を勧められる。
調査を進める中、ブライアンは2件の火災が殺人を目的とした同一犯の放火であることを突き止めるが――。
【感想】
「午前十時の映画祭13」にて。1991年のアメリカ映画。何なんですか、この面白すぎる映画は。。。これを観て消防士を志す人が増えてもおかしくないほどぶっ刺さりました。なぜ今まで観て来なかったのか、過去の自分をタコ殴りにしたいぐらいです(笑)なお、かつての人気番組『料理の鉄人』のテーマ曲は、この映画がオリジナルなんですよねー。
<ヒューマンドラマ×サスペンスの見事な融合>
この映画で推したいポイントは2つあります。まずは、純粋にストーリーが面白いんですよ!!感動的なヒューマンドラマとスリリングなサスペンスを掛け合わせた極上のエンターテインメント。幼い頃に消防士の父を亡くし、自分たちもそんな父に憧れて消防士となった兄弟。まわりから英雄と称えられる兄スティーヴンと、何をやらせても中途半端な弟ブライアン。2人の相性は悪く、特にブライアンはスティーブンにコンプレックスを感じる日々です。
ところが、スティーブンも仕事っぷりは華々しいものの、命を顧みずに自らを過信しすぎるところもあり、そのせいで妻とは離婚したり、部下に大怪我を負わせてしまったりするんですよね。せっかくの長所が短所となってしまう人物の描き方は共感度が高いです。そんな兄弟の軋轢と消防士としての生き様はとても見ごたえのあるドラマでした。
この映画って消防士がメインになっているから、アクション映画やパニック映画を思い浮かべがちですよね。僕も観る前はそんな印象を待ってました。ところが、実際は放火犯を追うサスペンス要素もあって、それがまたこの映画の面白さを引き上げてるんですよね。調査官のリムゲイル(ロバート・デ・ニーロ)が綿密な現場検証を重ねていき、別の事件で捕まった放火犯(演じたドナルド・サザーランドの不気味な演技にも注目!)からヒントを得ながら真相に近づいていく過程も見ごたえあります。
<火災現場の映像に驚愕>
もうひとつ、この映画で推したいのが火災現場における火の映像です。こんなにまで炎に包まれる映画、他にないんじゃないかってぐらいの火、火、火の嵐ですよ。「火なんて水かければすぐ消えるのでは?」なんて甘い考えは即刻捨てるべきです。あまりにも火が強すぎて、水をかけてもすぐに収まらないばかりか、床が焼けて崩れ落ちたり、ドアを開けた瞬間にバックドラフトが起きてその衝撃で吹っ飛ばされたりと、「火ってもはや意志を持った生き物なんじゃないか」と驚愕しましたよ。あれは完全に火の魔物でしたね。もちろん、生きているような演出にしているんでしょうけど、それをリアルに感じてしまうぐらい、この映画の火には人智を超えた力を感じます。30年以上も前の映像なのに、今観てもその火の演出がすごく、現実世界でも日夜それと対峙する消防士の方々がいると考えると改めて頭が下がる想いでした。
<そんなわけで>
これは映画史に残るほど面白すぎる映画なので、ぜひ観てほしいです。消防士たちのかっこよさと尊さに胸が熱くなること間違いなしです!
ちなみに、タイトルにもなっている“バックドラフト”とは、火災現場で起きる爆発現象のことだそうです。密閉された空間で火災が起きて、不完全燃焼になって一酸化炭素が溜まった状態のときに、窓やドアを開けてしまうと、熱された一酸化炭素と酸素が一気に結びついて爆発するのだとか。