『北斗の拳』をモチーフにしたおバカな純情アクションラブコメ『KAPPEI カッペイ』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:35/44
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆
【ジャンル】
ラブコメ
アクション
【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
若杉公徳『KAPPEI』(2011-2014)
【あらすじ】
1999年7月に世界が滅亡するというノストラダムスの大予言を信じ、乱世の救世主となるべく、人里離れた地で、殺人拳・無戒殺風拳(むかいさっぷうけん)の修行に人生を捧げてきた男・勝平(伊藤英明)。
だが、世界が滅亡する気配など一向に感じられないまま、師範(古田新太)から突如「解散」を命じられた終末の戦士たちは、それぞれ東京の地へと流れ着く。
右も左もわからぬ大都会で、気弱な大学生・啓太(西畑大吾)を助けたことをきっかけに、天真爛漫な女子大生・山瀬ハル(上白石萌歌)と出会い、人生で初めて“恋”を知る勝平。
そんな勝平の前に、かつて共に修行に明けくれた、守(大貫勇輔)・正義(山本耕史)・英雄(小澤征悦)ら最強の漢(オトコ)たちも現れて…。
【感想】
おバカ全開で楽しめる映画でした(笑)終末の戦士とか、みんな役者としてのキャラ崩壊しちゃってて。原作は漫画なんですけど、全6巻しかない上にサクサク読めちゃうので、先に漫画を読んでしまうのもアリかもしれません。僕は漫画を読んでから映画を観ました。まあ原作を読んでても読んでなくても関係ないぐらいには、わかりやすいストーリーですけど。原作との相違点はあるものの、6巻分全部2時間の尺に突っ込んでます(笑)
<終末の戦士たちの鋼の肉体、ガラスのハートのギャップが笑える>
この映画で一番面白いのは、何と言っても勝平を始めとした終末の戦士たちのキャラですね。生まれた頃からずーっと人里離れたところで修行漬けの日々だったので、世間のことを何も知らないんですよ。それこそ、「女性」という存在すら初めて目にするほど。
彼らは解散を言い渡された後、それぞれの道を歩んで行きますが、みんな揃いも揃って恋愛にうつつを抜かすのが笑いますよね。女性なんて初めて見るのに。男性と比べて、胸やお尻が膨らんでいることすら初めて知るのに。
映画では主に勝平のエピソードがメインなんですけど、ひたすら修行をしてきた身だから、とにかく目標に向かって一直線です。あの手この手で意中の女性であるハルとの距離を縮めようと必死です。戦士ってだけあって、全盛期のシュワちゃんみたいな肉体をしてるんですが、精神がメチャクチャ弱くてですね(笑)片想いの苦しさや失恋のショックに耐性がないから、屈強な男に見えて、妙にナヨナヨしていまして。映画では40代、原作では30代とけっこうないい歳なんですが、中学生かってぐらいの恋愛偏差値しかないのがキュート。そういうギャップを楽しむのがこの映画のポイントかなって思います。
<面白さ的には原作の方に軍配が上がる>
原作を読んでいても読んでいなくても、話の理解には大して差はないってさっき書きました。それはその通りなんですけど、そうは言っても6巻分を2時間に突っ込みますからね、どうしても映画はかなり駆け足になっています。けっこう唐突な展開も多いので、原作を読んでいた方がそこらへん腹落ちはしやすいかもしれません。
あと、原作の方が下ネタが多いんですよ。これはもう中学生男子が喜びそうな内容のオンパレードなので、、、ち○こ、う○こ、ま○こで笑える人にはうってつけだと思いますけど、まあ実写化はできないでしょうね。。。特に古田新太が演じた師範、原作での彼の下ネタはかなりエグいですよ。「あるある」って思わずうなずいちゃう内容ではあるんですけどね(笑)映画では師範の出番が少ないので、かなりマイルドになった印象です。
ただ、キャスティングはけっこう原作に近いなって思いましたし、無駄に凝ったCGのエフェクトなんかもコメディとしていい味出してました。個人的には、守を演じた大貫勇輔が好きでしたね。『ルパンの娘』の円城寺さんを思わせる展開が終盤にあるので、ファンの人は楽しみにしていて欲しいです。
<いろいろあるけど、れっきとした純愛モノです>
これまでコメディ要素の面白さを説いてきましたし、予告を観てもバカバカしさしか伝わって来ないと思うので、改めて言いますけど、これは一応ラブコメ、強いて言えば、勝平を主人公とした純愛ラブストーリーと言えます。ノストラダムスの予言が外れ、行き場を失ったときに出会ったハル。彼女のおかげで、彼は再び生きる意味を見出します。そんな勝平の純粋で健気な恋路が、この映画の根底にあるメインの流れです。他の要素が強すぎて、イマイチ伝わりづらいかもしれませんが、そこの認識をしっかり持っていれば、軸がブレずに観れるんじゃないかなあって思います。
<そんなわけで>
原作を読んでいないと、急ぎ足な展開に内容の薄さを感じてしまうかもしれませんが、バカバカしい映画を観たいときにはピッタリの作品と言えるでしょう。僕としては、終末の戦士たちは、もう少し筋肉質だったらキャラへの愛がもっと増したかもって思います。それこそ、マーベルのヒーローたちみたいに。