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沖縄を舞台とした笑いと涙のタイムスリップロックンロール映画『ミラクルシティコザ』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:23/43
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
コメディ
ヒューマンドラマ
感動
音楽
【原作・過去作、元になった出来事】
なし
【あらすじ】
沖縄市コザ。かつては隆盛を極めた街だが、現在はゴーストタウンの一歩手前!?そこで暮らす翔太(津波竜斗)は、特にやりたいこともなく、惰性な日々を過ごしていた。彼にはちょっと変わった祖父ハル(小池美津弘)がいた。ハルはかつて、ベトナム戦争に向かう米兵たちを熱狂させた伝説のロックンローラーだった。
ある日、自慢の祖父ハルを交通事故で亡くし、失意の翔太の前に現れたのは、なんと死んだはずの祖父。「やり残したことがある」と、ハルが翔太の体をのっとると、行き場のなくなった翔太の魂は、タイムスリップして1970年のハル(桐谷健太)の体へ入ってしまう。
翔太はロックンローラーだったハルとして、ベトナム戦争特需に沸く70年代の沖縄で、驚きの真実を知り、未来へのサプライズを仕掛けようとするが…。
【感想】
ポスターからは想像できないほどの面白い映画でした!タイムスリップにロックンロールに笑いに涙にと、なかなか情報量の多い映画ではあるんですけど(笑)でも、かつて沖縄にあったコザ市(日本で唯一のカタカナ表記の地名)を舞台とした時空を超えた壮大な物語は、個人的にとても楽しめる内容でした。
<コメディ寄りで気軽に観れる前半>
この映画は前半と後半で受ける印象が違います。前半はどちらかと言うとコメディの要素が強いですかね。住んでいる街が再開発でなくなろうとしている中、惰性で生きている翔太と、かつてロックンローラーだったじいさんたちの牧歌的なやり取り。交通事故で亡くなった祖父が幽霊となってひょっこり現れるポップさ。いきなり50年前にタイムスリップしてしまった翔太のピンチっぷり。などなど、軽いノリで観られる感じでよかったです。
まあ、タイムスリップの仕組みは特に触れられていないので、SF好きとしては気になるところではありましたけど(笑)ちょっとわかりづらいんですが、祖父ハルが翔太の体を乗っ取ったことで、翔太の魂は行き場がなくなってしまうんですよね。それがなぜか1970年代の若かりし頃のハルの体に入ってしまうっていう。その若いときのハルの魂はどこに行ったんだってのはあるんですが(笑)
<シリアス寄りで感動的な後半>
後半からはシリアスな要素が入ってきます。家族を捨てたと聞いていた
若かりし頃の祖母の真実。バンドメンバーに入りたい米兵ビリーとの交流。当時の米兵と沖縄民との間にあった軋轢。などなど、家族の話やアメリカとの関係性は、涙なしには観れないエピソードでしたね。特にビリーは終盤に向けてのキーパーソンとなるので、要チェック人物です。
<伝説のロックンローラーたち>
この映画を観る上で知っておきたいのが、当時の沖縄を盛り上げたロックンローラーたちの存在です。僕は全然知らなかったんですが、有名なバンドがいくつも生まれたそうですね。本作においては、「紫」というバンドが全面協力しているようで。ウィキペディアで調べたら、沖縄県出身ロックバンドの草分け的存在らしいんですよ。しかも、現在でも精力的にバンド活動を行っているらしく、バリバリの現役なんだとか。その生き方がまさにロックだなと思います(笑)
<そんなわけで>
ポスターのデザインだけ見ると、ただの音楽映画かと思うんですが、実際はファンタジーでロックな内容です。笑いあり涙ありで、個人的にはオススメしたいですね。特に、当時の沖縄を知る世代の人からは、より共感できる部分があって楽しめるんじゃないかと。ORANGE RANGEの歌う主題歌もよかったです!
ちなみに、キャスト・スタッフひっくるめで、そのほとんどが沖縄県出身または在住というのもまた面白いところでした。