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古き良き牧歌的な日々が宗教抗争で一変した、監督自らの幼少期を描く『ベルファスト』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:44/58
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
ヒューマンドラマ
【元になった出来事や原作・過去作など】
監督ケネス・ブラナーの幼少期の出来事を投影
【あらすじ】
ベルファストで生まれ育ったバディ(ジュード・ヒル)は家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごす9歳の少年。たくさんの笑顔と愛に包まれる日常は彼にとって完璧な世界だった。
しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。プロテスタントの暴徒が、街のカトリック住民への攻撃を始めたのだ。住民すべてが顔なじみで、まるでひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。
暴力と隣り合わせの日々の中、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断に迫られる――。
【感想】
ものすごく絶賛されている映画だったので期待していたんですが、、、正直個人的には正直そこまで刺さりませんでした。すごく感覚的な言葉で言えば、「なんかパッとしなかった」っていう(笑)バディの視点から描かれた内容なんですけど、彼の目を通した日常が淡々と続いていくところが、やや地味に感じてしまい。。。
<幼少期の思い出アルバムを見るようなノスタルジー>
雰囲気としては嫌いじゃなかったんです。古き良き時代を描くっていう点では『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)っぽさや、強いて言うならば『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)を淳之介の視点にしてアートっぽく仕上げた感じがあって。
近隣の人はみんなお互いを知っていて、まるで家族のような当時のベルファスト。子供がいたらみんなで育てるみたいな、昭和初期の日本のよう。贅沢はできないけど、みんなが幸せに過ごしていた日々。それが、カトリック vs プロテスタントの宗教抗争で突如壊され、バディとその家族が岐路に立たされる。監督自身の経験もあってか、それらが一人の少年を通してどう見えるかっていうのがリアルに描かれていたように感じました。ただ、それが流れるように過ぎてしまったせいか、あんまり印象に残らなかったっていうのも事実です。
<個々の要素はよかった点が多い>
全体を通して見ると、僕の中では「ふーん」で終わってしまう部分もあるんですが、個々の要素はけっこう楽しめる内容もありました。冒頭のカラーから白黒へ切り替わるシーンが綺麗だったなーとか。主人公バディを演じたジュード・ヒルはこれが長編映画デビュー作と思えないほどの演技力だったなーとか。バディがクラスメイトのキャサリンと結婚したいっていうのが微笑ましいなーとか。じーちゃんの処世術のテクニックがウケるなーとか。
あとはやっぱり、"徹底したバディ視点"ってのがこだわりのポイントなんだろうなって思います。エンドクレジットの役名が"Ma"や"Pa"になっていたり、公式サイトのキャラクター紹介もすべてバディが書いたような体裁になっていたりしますから。そこがブレないのはこの作品の魅力だと思います。
<そんなわけで>
ドラマチックさやロマンチックさを求めすぎると、ちょっと物足りなく感じる人もいるかもしれませんね。本当に淡々と進んでいくので。当時のベルファストや、宗教抗争についての予備知識があると、もっと楽しめそうだなとは思いました。