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【ネタバレあり】新たな視点で描かれてはいたけど中途半端な扱いのものが多くてイマイチ面白さが伝わってこなかった『ピーター・パン&ウェンディ』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:60/68
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:-(配信のみ)

【作品情報】

   原題:Peter Pan & Wendy
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配信:Disney+
 上映時間:106分
 ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー
元ネタなど:戯曲『ピーター・パン:大人にならない少年』(1904)
      映画『ピーター・パン』(1953)

【あらすじ】

幼い頃から慣れ親しんだ家を離れることが不安な少女ウェンディ(エヴァー・アンダーソン)。そんな彼女は、大人になることを拒む少年ピーター・パン(アレクサンダー・モロニー)と出会い、弟たちや小さな妖精ティンカー・ベル(ヤラ・シャヒディ)といっしょに夢の国ネバーランドへと旅立つ。

そこで彼女は、邪悪な海賊の船長フック(ジュード・ロウ)とめぐり会い、人生を変える危険な冒険へと乗り出していく。

【感想】

1953年に公開されたディズニー長編アニメーション映画『ピーター・パン』の実写版です。アニメ版は小さい頃に好きで幾度となく観ていたのと、70年経っての実写化ってことでけっこう期待していたんですが、正直、「ディズニーどうした?」ってぐらい刺さらない内容でした(笑)ネタバレなしだと感想書きづらいので、内容を知りたくない方はここでページをそっ閉じしてください。。。




















<アニメ版の面白かった要素が根こそぎカット>

ストーリー的には1953年のアニメ版に沿った内容ではあります。ただ、とにかく前半が退屈なんですよね。。。。空を飛ぶシーンの合成感が強すぎて全然リアリティがない上に、歌も全然ないんですよ。ネバーランドに着いた後も、人魚やインディアンは出てこず、フック船長を狙うワニの出番もほとんどありません。

ピーター・パン』といえば、ロンドンから飛び立つときに流れるあの『You Can Fly!』が作品の顔のようなものですし、人魚やインディアンに会うというアトラクション感や、フック船長とワニのコミカルなやり取りが見どころだと思うんですけどねぇ。まあ、『You Can Fly!』は歌はなく、バックで音楽だけ流れてはいたんですけど、、、権利の問題でしょうか。。。人魚は6月公開予定の『リトル・マーメイド』への、インディアンは人種問題への配慮があった気がしないでもないですが。。。

もちろん、アニメ版の公開から70年も経っていますから、全部が全部そのトレースじゃなくてもいいんですけどね。現に、ウェンディのキャラクターはだいぶ変わってますから。もともとおとぎ話が大好きな少女だったのが、今回は大人になりたくないと駄々をこねる気の強い人物になっていますし。とはいえですよ、上記に書いたようなもともとあったいいところを消して、それをカバーできるぐらい他に面白い要素が個人的には見つけられなかったので、「なんだかなあ」と思ってしまいました。

<新たな視点で語られる設定は面白かったけど、、、>

後半に入ってから、ようやく実写版ならではの新たな視点での展開が本格化してきます。メインはピーター・パンとフック船長の関係性です。ここも設定自体は面白いんですけど、2人がいがみ合うきっかけについて、結局水かけ論に終始しているのがモヤッとするんですよね。そりゃ、どっちもどっちっていうことなんでしょうけど、回想シーンを入れてもいいんじゃないかなあとは思いました。

また、フック船長の過去に関しても、なぜ彼がウェンディの歌う子守歌を知っていたのかは謎のままです。ロンドンで広く歌われているという設定なんでしょうかね。個人的には、フック船長とウェンディのお母さんに何かしらの繋がりがあっても面白いんじゃないかなーとは考えたりもしたんですけどね。

そして、一番しっくり来なかったのはティンカー・ベルです。もちろん、演じた人が悪いっていう話ではありません。アニメ版では、ピーター・パンがウェンディと仲良くしていることに嫉妬して、いろいろいじわるするだけでなく、そんな彼女の心理をフック船長が利用してピーター・パンを追い詰めるという構図が面白いなって思ったんですよ。ところが、今作ではその嫉妬部分が一切なくなり、妖精の粉以外で彼女が物語に寄与している部分が少ないと感じてしまって。そもそも、本作を観る直前にアニメ版で復習した身からすると、あのコミカルさを現実で出すのはなかなか難しいなと感じました。ついで言ってしまうと、今回、キャラクターのヴィジュアル的な再現度に関しては、犬のナナとワニ以外はあまり高くなかったかもしれません(笑)

<そんなわけで>

単純にアニメ版を実写化したと思っているとけっこうがっかりするかもしれません。アクションももっさりしていたし、ラストのオチも釈然とせず、なかなかに微妙な後味で終わります。唯一、ピーター・パンがなぜウェンディの家に来ていたかっていう背景が語られていたのはよかったですけどね。これ、映画館で上映していたらコケていたかもしれません。。。


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