父娘そろって世にも奇妙な世界観を出しちゃうシャマラン監督に安定感を感じた不可思議なホラー映画『ザ・ウォッチャーズ』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:65/72
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:The Watchers
製作年:2024年
製作国:アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間:102分
ジャンル:ホラー
元ネタなど:小説『The Watchers』(2022)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/thewatchers/
【あらすじ】
※映画.comより引用。
28歳の孤独なアーティストのミナ(ダコタ・ファニング)は、鳥籠に入った鳥を指定の場所へ届けに行く途中で、地図にない不気味な森に迷い込む。スマホやラジオが突然壊れ、車も動かなくなったため助けを求めようと車外に出るが、乗ってきた車が消えてしまう。
森の中にこつ然と現れたガラス張りの部屋に避難したミナは、そこにいた60代のマデリン(オルエン・フエレ)と20代のキアラ(ジョージナ・キャンベル)、19歳のダニエル(オリバー・フィネガン)と出会う。彼らは毎晩訪れる“何か”に監視されているという。
そして彼らには、「監視者に背を向けてはいけない」「決してドアを開けてはいけない」「常に光の中にいろ」という、破ると殺されてしまう3つのルールが課せられていた。
【感想】
本作の監督はイシャナ・ナイト・シャマラン。あのM・ナイト・シャマランの娘さんだそうで。父娘そろって世にも奇妙なホラーテイストの世界観っていうのは、もうシャマラン家の流儀なんですかね。んでもって、個人的にはそんな刺さらないっていうも共通してまして。。。(笑)
<奇妙かつ恐ろしい体験があなたを待っている>
今回の映画は、不気味な森に迷い込んだ人々が不可思議な体験をするっていう話です。どんな体験かというと、森の中に建てられた建物の中で監視者に"見られる"んです。その監視者が誰かもどんな姿かもわかりません。でも、森から抜け出る手立てがない中、安全な場所と言えばこの建物しかないんです。で、その建物に入ったが最後、「監視者に背を向けてはいけない」、「決してドアを開けてはいけない」、「常に光の中にいろ」という3つのルールに縛られてしまいます。
<監視者の正体は……(ネタバレなし)>
その監視者は動きが素早い上に、夜にならないと出てこないので、しばらく姿形がつかめないんですよね。ただ一瞬映るフォルムからは四足歩行の動物のようにも見えますし、人間っぽくもあります。そして、この監視者の正体がなんと、、、っていうのがこの映画の醍醐味。なんですが、、、いざ正体を知ってしまうとちょっと微妙というか。世にも奇妙な世界を飛び越えて、完全にファンタジーなんですよね(笑)それこそ、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』の中に出てきそうで(笑)監視者の正体はもはや何でもありって感じなので、どうせならウイルスとか人体実験の影響とかっていう方がまだこの世界観にはしっくりきたんじゃないかなと個人的には思いました。
<物語の舞台がキー>
ただ、監視者の正体が"アレ"だったのは、本作の舞台がアイルランドであることと関係があると思います。ネタバレを避けるために詳細は割愛しますが。それならむしろ、「アイルランドの民話をベースにした物語」っていう打ち出し方のほうがよかったんじゃないかなあと思うんですよね。アイルランドの魅力を別の視点で描くっていう感じで。シャマラン流のホラー映画っていうから色眼鏡で観てしまった部分はありました。
<閉じ込められた人たちに圧倒的に欠けていたもの>
あと疑問に感じたのが、なぜ閉じ込められた人たちはこの状況をもっと掘り下げて考えないのかってことです。そもそも、あの3つのルールは誰が定めたもので、ここにいる誰がどういう経緯で知ったのかっていうことは話して然るべきなんじゃないかと思うんですよね。与えられた環境に何の疑問も抱かずに淡々と過ごしていることへの違和感はありました。現状を冷静に把握する力というか概念がなかったとも言えますね。
<そんなわけで>
ホラーというよりはダークファンタジーに近い映画でした。決してつまらないわけじゃないんですが、思ったよりも直球かつスムーズに話が進んでいくので少し物足りない気も。それにしても、よくあんな場所にあんな建物作ったなって思います(笑)