【ネタバレあり】1作目の衝撃から大失速?!話の進まなさと謎の演出に加えてジョーカーの描かれ方に賛否両論ってのがよくわかる『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:100/112
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:Joker: Folie a Deux
製作年:2024年
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:138分
ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:映画『ジョーカー』(2019)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
「生まれて初めて、俺は1人じゃないと思った」。
理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー(ホアキン・フェニックス)。彼の前に突然現れた謎の女リー(レディー・ガガ)とともに、狂乱が世界へ伝播していく。
孤独で心優しかった男の暴走の行方とは?誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界――。彼は悪のカリスマなのか、ただの人間なのか?
【感想】
※以下、ネタバレあり。
『ジョーカー』シリーズ第2作目。バットマンの宿敵であるジョーカーに焦点を当てた映画です。前作はジョーカーがジョーカーになるまでを描いていたので面白かったんですが、今作は「どうした?」ってぐらい面白さが伝わってきませんでしたね(笑)SNSや各レビューサイトでも賛否両論というか、否の方が多い気がしますけど、観ればその理由がわかります。
<話が前に進まず、歌が睡魔を誘う>
今回の話は、前作で5人(本当は6人)殺したジョーカーの裁判がメインです。刑務所に入れられ、生気のない毎日を過ごしつつ、リー(ハーリーン・クインゼル)との出会いによって生きる希望を持ち始めるジョーカー。彼は幼い頃から虐待を受け、大人になっても自分をわかってくれる人はおらず、自らの存在意義を感じられずにいました。そんな彼にとってリーは唯一の理解者。おかげでジョーカーはようやく自分がひとりでないことを実感できたのです。
それはそれでよかったんですが、じゃあジョーカーとリーが手を組んで世界をさらなる混沌の渦に突き落とす話になるのかっていうと、そんなことはまったくなくてですね(笑)ジョーカーとリーのイチャイチャと淡々と進む裁判の繰り返しで、話が全然前に進みません。しかも、本作はなぜかミュージカル風。あの暗く思い世界観の中でわざわざ歌にする意味が個人的には感じられず、眠気を誘う要因でもありました(笑)
<ジョーカーを求めていたのは他でもない自分だった>
でも、一番気になったのはジョーカーの描かれ方です。ジョーカーの弁護士は彼を二重人格者であることを理由に無罪にしようとしていたんですが、それこそジョーカーが望んでいることではなかったんですよね。そもそも、ジョーカーは二重人格者ではありません。優しいアーサー(ジョーカーの本名)と悪のアイコン的なジョーカーでは性格が真逆になるからそう捉える人がいても不思議ではないですけど、こんなの「ハンドルを握れば人が変わる」レベルの話ですよ。ジョーカーからすれば、それこそ自分のことをまったく見てくれていないがゆえの誤認ということになり、最終的にその不満が爆発してしまいます。
そして、自分はアーサー以外の何者でもないと宣言したことで、ジョーカーの支持者が激現してしまいます。みんなが好きだったのはジョーカーであり、アーサーではなかったから。それはリーも例外ではなく、彼女すらもジョーカーから離れてしまう始末。結局、ジョーカーには何も残らなかったという「ん、なんだこれ?」的な締めくくりでした。「悪はそれだけを切り取るものではなく、あくまでも人間の一面にしかすぎない」というメッセージとも捉えられますけど、ゆーてもね、あのバットマンの宿敵のジョーカーですから、もっと悪の道を突き進んでほしかったですし、その先にバットマンとの対決も期待していました。それこそ、アーサーではなくジョーカーを求めていたのは僕自身だったっていうことにもなるんですけど。
<そんなわけで>
ジョーカーに悪を期待しすぎると肩透かしを食らうような映画でした。前作では、少年時代のブルース・ウェインが出てきて、今後の世界観の広がりに期待もできたんですけど、このシリーズはもうこれで終わりかですかね。結局、このシリーズのジョーカーって過去作とは何の繋がりもなく完全に独立してるから、繋がり持てなそうなんですよね~。まあ、DCもマーベルと同じでマルチバースの概念があるから、ワンチャン復活できなくもないですけど(笑)ハーレイ・クインもなんかもったいない使われ方でしたね。もっと見せ場があってもよかったのではと思いますけど。