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世界のアクション俳優集結!撃って斬って殴って蹴ってカチ割って轢き殺す、映画史上最も満身創痍だった『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:31/133
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:John Wick: Chapter 4
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:ポニーキャニオン
 上映時間:169分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:映画『ジョン・ウィック』シリーズ(2014-)

【あらすじ】

裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。地下に身を潜め、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。

組織内での権力を得た若き高官グラモン(ビル・スカルスガルド)は、聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケイン(ドニー・イェン)を強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。

そんな中、日本の友人、シマヅ(真田広之)の協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れる…。

果たしてジョンは、かつて忠誠を誓った世界との決着をつけて、真の自由を手にすることができるのか!?

【感想】

※以下、敬称略。
ジョン・ウィック』シリーズ第4作目。シリーズで一番尺が長く、その8割が殺し合いという振り切った構成がガチでヤバすぎでした、、、!!ヤバいというのは、アクションに寄せすぎて逆におかしくなっちゃってるっていう、、、!!(笑)

<トム・クルーズか、キアヌ・リーヴスか>

僕はね、この映画、『ミッション:インポッシブル』シリーズに近しいものがあると思ってるんですよ。あれはストーリー云々よりも、いかにトム・クルーズが体を張って危険なアクションに挑むか、それを見守る映画じゃないですか。その点、この『ジョン・ウィック』シリーズも似ていて、いかにキアヌ・リーヴスが長時間の殺し合いに耐えられるか、死闘マラソンを見守る感じになってるんです。いや、そうなってきたんですよ、シリーズを通して。個人的には、1作目が一番ストーリー的にはよかったと思います。亡き妻から贈られた子犬を殺されて復讐に燃える伝説の殺し屋ってことで、動機もわかりやすく、執拗に犯人を追いかけるジョンに共感しかなかったですから。それが、2作目で"誓印"が出てきてから、殺し屋界を牛耳る組織に抗って大暴れするバイオレンス主体の映画に変わっていきました。今では当初の復讐劇も「あー、そんなことありましたねー」ってぐらい昔のことのように感じられて、だいぶ印象が薄くなっています(笑)ストーリー的には、その復讐劇をもう少し引っ張ってもいいと思うんですけどね~。

<アクションがぶっ飛びすぎて逆に笑える>

それなのに、今回の映画でストーリーに★5をつけたのは、物語的な面白さよりも、この映画の世界観のぶっ飛び具合に惚れたからです。殺し合いがメインの内容なんですけど、その戦い方がおかしいのなんのって。まず、大阪コンチネンタルホテル(外観のモデルは六本木にある国立新美術館なんですが)では、シマヅ率いる日本人部隊の武器が、日本刀、弓、手裏剣なんですよ。しかも敵は敵で甲冑を着込んでて。外人が思う典型的な日本人要素をこれでもかってぐらい詰め込んでるのが笑えました。そもそも、大阪コンチネンタルホテルも、ネオン輝くエロい雰囲気でホテル感ゼロでしたけどね(笑)

次に、キーラ(スコット・アドキンス)との戦いなんですが、これは舞台が(踊る方の)クラブでして。大勢の男女がウニョニョ体をくねらせていて、通行するのもやっとっていうぐらいの混雑なんです。そんな中で、目の前でド派手な乱闘が起きているにも関わらず、客のほとんどは構わずに踊り続けてるんですよ。さすがに近場の人は、「何だ何だ?」ってなっていますけど、「普通すぐに逃げるだろ」って(笑)あれだけボコボコにやり合ってるのに気づかない方がどうかしてるぜって思いました。

極めつけは、終盤のパリのエトワール凱旋門での大乱闘ですよ。懸賞金目当てで多くの殺し屋がジョンを狙うんですが、あの交通量が多い場所でドンパチやってまして。ジョンを含め、みんな行き交う車にバンバンはねられて死傷者多数。「もっと戦う場所考えろよ」っていうツッコミしかなかった(笑)ていうか、走ってる車もあんなにドンパチやってる場所に遭遇したら、普通は車止めて逃げるんじゃないかって思うんですけどね。みんな構わず走行していたのが不思議でした。

このように、数多くのアクションが観られるのはよかったんですけど、逆にやりすぎというか、不自然なシーンが多かったのが印象的です。もちろん、それが悪いというわけではなく、「そうはならんだろ」って笑える要素になってます(笑)

<ドニー・イェンだけ動きが違う>

キアヌ・リーヴスや真田広之など、世界を代表するアクション俳優が集結しているのがこの映画の醍醐味ですが、中でも一番すごいなと思ったのが、ケイン役を務めたドニー・イェンです。盲目の殺し屋って役どころなんだけど、やっぱり彼の動きだけ違うんですよ。キレッキレで。役者である前に武闘家っていうキャリアゆえなんでしょうけど、あれだけ素早い身のこなしを披露しながらも、ちゃんと盲目であることがわかる仕草も取り入れてて、さすがだなと思いました。

<日本への忖度?(笑)>

もはや「世界の真田」と言っても過言ではないぐらい、真田広之のハリウッド映画への出演が増えているのが同じ日本人としてうれしい限りです。でも、彼を始め、日本人キャストとのやり取りが発生するときだけ、英語と日本語が混じるんですよね。例えば、日本人同士で話すときだけ日本語とか、外人が話す日本語は挨拶ぐらいとか、そういうのならまだわかるんですが、今回は日本人同士の会話だろうが、ジョンとの会話だろうが、英語と日本語の両方を使っていて、しかも日本語で話す部分がすごく大事なセリフかと言えばそうでもないですし、何か意味があってやってるんでしょうかね。個人的には、もう全部英語でいいじゃんって思ってしまいましたが。

<日本は『ジョン・ウィック』を作れるのか>

やっぱりアクション映画はハリウッドを始めとして海外勢が強いなーとは思うものの、邦画も最近は『キングダム』シリーズを始めとして、アクション映画もかなり力を入れているなっていうのが伝わってきます。でも、ハリウッドと肩を並べるのはまだ先だなってこの映画を観て改めて思いました。それは、「ここまでアクションに振り切れる役者さんが果たしているのか、、、?」って思うからです。スーツアクターとかスタントマンとか、そういう方たちが表に出てきてくれたらいけると思うんですけど、メジャーな会社が作る映画で起用されるキャストさんではパッと思いつく人がいません。。。『ベイビーわるきゅーれ』(2021)の伊澤彩織とか、『先生!口裂け女です!』(2023)の屋敷紘子とか、メチャクチャ推したいんですけど!

<そんなわけで>

ほぼすべてをアクションに振り切った、まさに一点集中な映画でした。ちょっと笑っちゃうぐらいありえないアクションが個人的にはツボだったので、ぜひ映画館で観てほしいです!あれだけ、殴られて蹴られて車に轢かれて、200段以上の階段から転げ落ちてもまだ生きているキアヌ・リーヴスの満身創痍っぷりをその目に焼きつけてください(笑)


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