老人に対する年齢差別が甚だしい胸クソ悪くなる『アミューズメント・パーク』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:217/223
ストーリー:★☆☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆
【要素】
サイコスリラー
年齢差別
老人虐待
【元になった出来事や原作・過去作など】
なし
【あらすじ】
遊園地で老人が罵られ、大変な目にあう。
【感想】
いやなんというか、これ映画なの?って感じです。紆余曲折を経てようやく公開された映画ですが、あらすじがたったの一文っていう。公式サイトでもこうですからね。しょっぱなから異彩を放ってます。
<48年の時を経ての公開>
実はこの映画、1973年に作られたんですが、日本で公開されたのは今回が初めてなんですよ。監督はホラー映画の巨匠であるジョージ・A・ロメロ。彼が年齢差別や高齢者虐待を題材にした教育映画として作ったのが本作です。
しかし、製作を依頼したルーテル教会が、あまりにも悲惨な内容だったために封印。それ以来、お蔵入りとなっていたのですが、2017年にフィルムが発見され、4K修復作業が行われた後、48年の時を経てようやく日本でも公開されたという経緯がありました。
<シュールかつ胸クソ悪くなる内容>
教育映画とは言いますが、、、ルーテル教会が封印したのもよくわかります(笑)正起承転結のような整ったストーリーなんてありません。老人が人で溢れ返った遊園地を歩き、心ない嫌がらせを受けるだけの映画ですから。人にぶつかっては「前を見て歩け」と言われ、レストランではぞんざいな扱いを受け、子供と話してはまわりの大人に「変質者」と罵られる。さらに、変な暴走族にボコボコにされるわ、大切な懐中時計はスラれるわという、悲劇の連続ですよ。
そんなボロボロになった老人を、ひとりの少女が「絵本を読んで」と頼むものの、母親に連れられ、そそくさと帰ってしまう。あまりの孤独に老人はついに泣き出しますからね。こんなに大勢の人がいる中で、誰も彼を敬わず、
友好的に接しようとしない。ただ老人というだけで、ものすごい差別的な扱いを受けるんですよ。当時のアメリカではこういう年齢差別があったようですが。
冒頭で彼は言います。「老人は自分に経験や知恵があるから、その分大切に扱われたいと思っている」と。今の老人が自分をどう思っているかはわかりませんが、少なくとも当時はそう思う人が多かったようですね。
<若者へ向けたメッセージ>
この映画は「老人を大切にしよう」という綺麗事を伝えるものではありません。今、老人を邪険に扱っている若い人たちも、いずれみんな老人になります。そうなったら、世間から冷たくあしらわれ、誰もまともに取り合ってくれません。だからこそ、若いうちにいろいろチャレンジしておくべきというメッセージでした。
<その他>
それにしても、まさかゾンビ映画の第一人者が、こんな社会的な映画を撮るとは思いませんよね。というか、なぜゾンビ映画で有名な人に、教会という聖なる立場の人たちが製作を依頼したのか謎ですが。。。なかなかに興味深い作品ではありました。
とはいえ、映画として面白いかと言われると、、、まあオススメはしません(笑)普通の映画とは違う、なんかちょっと不思議な作品が観たいというのであればぜひ。
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