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キャストが豪華すぎる反面、キャラクターとしてうまく活かせていないように感じた『アムステルダム』
【個人的な満足度】
2022年日本公開映画で面白かった順位:115/161
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:Amsterdam
製作年:2022年
製作国:アメリカ
配給:ディズニー
上映時間:134分
ジャンル:サスペンス、コメディ
元ネタなど:フランクリン・ルーズベルト大統領を打倒するためのクーデター計画
【あらすじ】
1930年代のニューヨーク。かつて第一次世界大戦の戦地で知り合い、終戦後にオランダのアムステルダムでいっしょの時間を過ごし、親友となったバート(クリスチャン・ベイル)、ハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)、ヴァレリー(マーゴット・ロビー)。3人は「何があってもお互いを守り合う」と誓い合い、固い友情で結ばれていた。
あるとき、バートとハロルドがひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、容疑者にされてしまう。濡れ衣を着せられた彼らは、疑いを晴らすためにある作戦を思いつくが、次第に自分たちが世界に渦巻く巨大な陰謀の中心にいることに気づく。
【感想】
キャストが豪華すぎるってところに惹かれて観に行きました。正直、あんまり期待していなかったんですが、巨大な陰謀が明かされていく過程は面白かったです。
"あんまり期待していなかった"というのには理由がありまして。監督の過去作である『アメリカン・ハッスル』(2013)がハマらなかったんですよ。あれも豪華キャスト勢ぞろいでキャラは濃かったんですが、誰が何のために騙しているのか途中からわからなくなってしまい(笑)だから、今回も同じようなノリかなーと期待値は低めにしていました。それが功を奏したのか、はたまた自分の映画のリテラシーがちょっぴりマシになったのか、思ったよりは楽しめたってことです。
<淡々とたストーリーだけど、真相が明らかになっていく過程は面白い>
この映画、一応は実話ベースっていうことなので、その手の映画にありがちな、"淡々とした"進行ではあります。キャストは豪華なんですけど、普通の会話がメインで、特に面白い掛け合いもなく、キャストだけに引っ張られて観に行くと、案外退屈に感じてしまうかもしれません。まあ、「アメリカ人なら笑うかも?」みたいなシーンもあったような気がしますが、僕にはわからずでした(笑)
とはいえ、バートたちが巨大な陰謀に飲まれていくっていう流れ自体は面白かったと感じました。そもそもこの物語の始まりは、バートがかつてお世話になった将軍の謎の死の真相を追うってところなんですよ。その過程で将軍の娘も亡くなって、その殺人容疑をかけられてしまうんです。将軍の死について調べるため、また、自身にかけられた殺人容疑を晴らすため、バートたちはとある富豪夫婦を訪ね、そこから徐々に暗雲が立ち込めてきます。ネタバレになるので書きませんけど、1930年代のアメリカを始めとした列強国の置かれている状況や政治思想がキーポイントですかね。一部の行き過ぎた思想を持った人たちによる、国家を揺るがしかねない一大事。これが実際に起こっ、、、てはいないみたいなんですけど、それに近しいことがあったというのはなかなかに怖いことです。そこらへんの歴史に詳しいと、もう少し楽しめるかもしれませんね。
<もったいなさすぎるキャラクターたち>
この映画の予告を観たとき、あまりにもキャストの豪華さにそれだけで興味を持ちましたが、先にも書いた通り、思ったより地味というか、あまり印象に残らなかったんですよ。洋画の豪華キャスト勢ぞろい系って、あんまり面白かった試しがないんですけど、今回もその通りでしたね。登場人物が多すぎてひとりひとりの扱いが薄くなってしまうこと、そして実話ベースであるがゆえにあまりコミカルにできないことが、その原因なのかなと勝手に思っています。バート、ハロルド、ヴァレリーの3人はメインなので出番は多いんですけど、もう少し振り切った性格を期待していました(笑)
そんな中で唯一すごいなと思ったのが、ロバート・デ・ニーロの演技です。彼が演じたのは、スメドリー・バトラーという実在の軍人をモデルにした人物(名前は違いますが)。ラストで、そのスメドリー・バトラーの実際のスピーチとロバート・デ・ニーロのスピーチが並んで流されるんですが、言葉がピッタリ合っているんですよね。もちろん、ロバート・デ・ニーロがそれに向けて練習したってことなんですが、あそこまでピッタリ合うものなのかと。お歳を召しても幅広い役柄にチャレンジする彼の役者としての在り方は尊敬します。
<そんなわけで>
けっこう好みが分かれそうな映画だと思います。やっぱり、豪華すぎるキャストの割には、、、ってのが一番大きいですね。実話を元にしているため、あんまり脚色はできないんでしょうが、自分だったらもう少しわかりやすいコメディ要素を入れて緩急つけたいなあと思いましたね。まあ、この映画に自分の好きな役者さんが複数いるんだったら、彼らを一度に観れてラッキーって感じでしょうか。それにしても、テイラー・スウィフトの無駄遣いには笑いました(笑)