闇を抱えながらもあどけない笑顔をかましてくる当時20代後半のブラピがまぶしすぎた『リバー・ランズ・スルー・イット』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭13」で面白かった順位:19/24
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:A River Runs Through It
製作年:1992年
製作国:アメリカ
配給:東宝東和
上映時間:103分
ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:小説『A River Runs Through It』(1976)
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
1912年、モンタナ州の田舎町。ノーマン(クレイグ・シェイファー)とポール(ブラッド・ピット)の兄弟は、父マクリーン牧師(トム・スケリット)からフライ・フィッシングと勉強を学んでいた。兄の夢は牧師かプロボクサー、弟の夢はプロのフライ・フィッシャーだった。
やがてノーマンは東部の大学に進学、ポールは地元の大学を卒業後、地方新聞の記者をしていた。
ある日帰郷した兄は、弟が酒と賭けポーカーにのめり込んでいることを知る。
【感想】
「午前十時の映画祭13」にて。1992年のアメリカ映画。原作小説は未読ですが、モンタナの壮大な大自然とブラピの美青年っぷりがまぶしい映画でした。
<ブラピのイケメンっぷりがエモすぎる>
物語は兄のノーマンが回想する形で進んでいきます。少年時代から青年時代にかけて、愛する家族、特にいつもいっしょだった弟との思い出話がメインです。とても淡々とした運びなので、個人的にはそこまでハマる内容ではなかったんですけど、いやー、これはもうね、弟のポールを演じたブラッド・ピットにやられますよ。公開当時が28歳だから、撮影時は26歳とか27歳ぐらいですかねー。もう20代後半ではあるんですが、あのあどけない笑顔、同じ男から見ても引き込まれました。
<闇を抱えながらもそれを決して表に出さないポールが物悲しい>
この映画、主人公は兄のノーマンではあるんですけど、彼は常に弟のポールといっしょにいるため、必然的にポールにも目がいきます。で、このポールこそが本作の要なんですよ。ノーマンは真面目で頭がよく、故郷を離れて大学に進学し、いずれは人に何かを教える職に就きたいとぼんやり考えていて、弟のポールは地元に残って大学を卒業後、地方新聞の記者をしていました。兄弟そろって優秀なんですけど、ポールはどちらかと言えば自由気ままな性格で、つかみどころのない雰囲気を醸し出しています。いつも陽気だし、話も面白いし、あどけない笑顔がキュートすぎる美青年。そんな彼の何がつかみどころのなさを感じさせるかというと、彼は賭けポーカーにハマって、借金で首が回らなくなっているんですね。劇中でちょいちょい家を空けているのが目立つんですが、背後にはそういう事情があったわけです。
でも、そんなヤバいことになっているそぶりは微塵も感じさせません。みんなの前ではいつものポールですし、誰かに助けを求めることもしません。普通はそんな状況にあれば、何かしら様子がおかしくなる気もするんですけど、闇を抱えているにも関わらず、ポールはニコニコしていて、仕事をしながら趣味のフライ・フィッシングに興じる日々を送っています。誰にも迷惑をかけたくないっていう心理もあるんでしょうけど、ポールは自分の世界を持っているような人だと感じるので、単純に自分は自分、人は人っていう線引きがあったのかもしれません。
<悲劇は防げなかったのか>
トラブルらしいトラブルもなく、平和な日々が続いていくため、人によってはやや退屈だと受け取られ兼ねない本作ですが、ラスト7分で事態は急変します。突如訪れた悲劇は想定の範囲内ではあるんですけど、僕の中ではそれを何とかして防ぐことはできなかったのかなあって思うんですよね。事件の経緯がわからないので何とも言えませんが、もしこれがポールの賭けポーカー絡みだとしたら、ノーマンにはできることがあったんじゃないかなあと。というのも、物語の中盤あたりでポールは別の暴力沙汰で警察に留置されているシーンがあるんですよ。彼をノーマンが迎えに行ったとき、警察官からポールが賭けポーカーをしていることを聞かされるんですが、それ以降そのことについての会話は劇中では一切ありません。まあ、ノーマンが首を突っ込んだところでポールは拒絶するんでしょうけど、それでももう少し介入して、ポールを賭けポーカーから引き離すことができていれば、、、なんて思ったりもします。ちなみに、この原作は作者の自伝的小説で、実際の悲劇の事件は映画同様、解決には至ってないらしいんですよね。リアルに起こったことなので、あんまり外野がとやかく言うことでもないんですけど、あくまでも映画の中の出来事についての感想だと思っていただければと。
<モンタナの大自然の中で行う釣りの優雅さ>
あと、この映画で印象的だったのは釣りのシーンです。ノーマンとポールは幼い頃より父親からフライ・フィッシングの手ほどきを受けていますが、ポールは天才的なフライ・フィッシングの才能があったようで、それがまた彼を神格化させる要素にもなっているんですね。モンタナの大自然の中を流れる川の中で竿をブンブン振り回しながら鱒を釣っている様子を見ていると、自分もちょっとやりたくなってきます(笑)
<そんなわけで>
ノーマンの回顧録を淡々と観るだけの話ではありますが、モンタナの大自然とブラピの美しさが眼福の映画でした。人の一生は川の流れのように続いていくものと思われがちですが、人の命は川のように永遠には続かないという締めくくりも感慨深いものがありますね。本作はブラピの出世作でもあるので、詩的な雰囲気の映画が好きなら楽しめると思います。