体の売り方が斬新だった『皮膚を売った男』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:193/258
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【要素】
シリアス
アート
タトゥー
【元になった出来事や原作・過去作など】
・インスピレーション(アート作品)
ヴィム・デルボア“Tim”
【あらすじ】
シリア難民のサム(ヤヤ・マヘイニ)は、偶然出会った芸術家からある提案を受ける。それは、大金と自由を手に入れる代わりに、背中にタトゥーを施し、彼自身が“アート作品”になることだった。
美術館に展示され、世界を自由に行き来できるようになったサムは、国境を越え離れ離れになっていた恋人に会いに行く。しかし、思いもよらない事態が次々と巻き起こり、次第に精神的に追い詰められてゆくことに。
世界中から注目されるアート作品“サム”を待ち受ける運命とは…。
【感想】
設定が面白いと思ったので鑑賞しました。タイトルからして、最初は皮膚を剥ぐホラーかと思いましたけど、体を売って得たお金で、国外にいる恋人に会いに行く男が主人公の、ラブストーリーではないんですが、シリアス寄りの話でしたね。ネタバレってほどでもないんですけど、内容に触れている箇所があるので、まだ知りたくない方は、ページをここでそっ閉じしてください。
<体の売り方が斬新>
普通、「体を使って稼ぐ」と聞くと、性的な意味合いを想像しがちですが、この映画はその体の売り方が斬新なんですよね。背中にビザ(入国許可のね)のタトゥーを入れて芸術作品にしちゃうんですから。さらに、その販売額と転売額の1/3が主人公であるサムの懐に入るという契約なんです。大体3桁万円ユーロで取引されてましたからね。1ユーロを127円としたら、相当な額ですよ。展示中はじっと座ってるだけだし、背中に大きなタトゥーがあっても、その後の日常生活で困ることがないならば、おいしい仕事かなと思いました(笑)
<設定以上の面白さがいまいちわからず>
でも、ほぼその設定だけで終わってしまうところに、僕はやや物足りなさを感じてしまいました。背中にタトゥーを入れて、展示されて、お金もらって、何だかんだで別れた恋人とも会えて。それでちゃんちゃんでしたからね。
もちろん、すべてがトントン拍子に進んでいったわけではありません。途中からサムも精神的にまいってきて、ついには問題行動を起こしてしまう描写もあります。そりゃ長期間の拘束に加えて、常にまわりからの好奇の目にさらされますからね。精神的に辛いのは理解できます。しかし、観客に見せるのは背中だけで、後ろを向いてるわけですから、そんなに辛いのかなってのはありました(笑)よく街中のパフォーマンスで、時間が止まった設定でずっと静止してる人とかいますけど、そっちの方がよっぽど大変なんじゃないかと思います。
そもそも自分の意志で志願してるんですよ、サムは。それで綺麗なホテルに泊まれて、多額の報酬も得てるんですから、そこは我慢して然るべきなのではと思ってしまいました。シリア難民に対する虐待だ!と唱える人権団体もいましたけど、本人が好きでやって大金も得ているなら、まわりがとやかく言えることではないですよねえ。
<生きているがゆえに起こりうる事象>※内容に触れています
この映画で一番印象に残ったところ。それが"吹き出物"です。背中に吹き出物ができてしまうんですよ。アートの対象が「ナマモノ」だからこそのリアルなシーンでしたね。こればっかりは生きている限り、防ぎようがないですよね。どんなに気をつけていようが、ある意味生理現象みたいなものですし。即病院に連れて行かれて、ギュウって中身出されてましたけど(笑)
<その他>
設定自体は斬新でした。背中のタトゥーを芸術作品として世に出すっていうところが。ただ、上でも書きましたけど、その設定以外の面白さを感じることができなかったので、個人的には、映画としてそこまでハマることができませんでした。。。