理由はちゃんとあった『理由なき反抗』
【個人的な評価】
「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:4/5
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
ヒューマンドラマ
青春映画
【元になった出来事や原作・過去作など】
なし(厳密に言えばあるけど、結局使われなかった)
【あらすじ】
ロサンゼルス。17才のジム(ジェームズ・ディーン)は、ケンカをしたことで警察に連行された。そこで彼は、夜間外出で保護された少女ジュディ(ナタリー・ウッド)、そして仔犬を撃ち殺したという理由で連れてこられた少年プレイトー(サル・ミネオ)と知り合う。
翌日、学校の校外学習でプラネタリウムを訪れたジムは、不良たちからケンカを売られ、その夜、“チキン・ラン”と呼ばれる自動車を使った度胸試しに挑戦するがー。
【感想】
「午前十時の映画祭12」にて。1955年のアメリカ映画。主演のジェームズ・ディーンは本作が全米公開される約1ヵ月前に自動車事故で亡くなり、映画史上の伝説となったそうです。享年24歳。若すぎる。。。
もともとこの映画は、ロバート・リンドナーという医師が書いた『理由なき反抗 - 犯罪精神病質者の催眠分析-』という小説?を元にしていたそうです。けれど、そこからいい話にならなかったそうで、タイトルだけそのままに、中身は監督のニコラス・レイが新しく作ったとのこと。
<"理由"はちゃんとあります(笑)>
さて、タイトルがだいぶ印象的な映画なんですけど、本編を観ると、「いや、理由あるじゃん!」って感じます(笑)ただ、明確にこれ!っていうんじゃないんですよ。ティーンエイジャーが抱える主に家族への反抗心や鬱憤が爆発した形なので、理由を何かひとつに絞るのは難しいかもとは思いました。
<ジムの場合>
ジムは家族の中で、父親が母親に言いくるめられているのが我慢ならなかった様子でした。当時のアメリカは今以上に父親の力が強かったでしょう。それを発揮できていない父親を情けないと思っていたのかもしれません。そして、世間体ばかり気にして、自分に向き合ってくれず、問題を起こしたら現実から目を背けて、すぐに引っ越しする家族の在り方にも不満があったんだろうと思いました。ジム自身は友達想いのいいやつです。
<ジュディの場合>
ジュディも家庭に居づらさを感じていたんだろうと思います。愛する父親に対してキスをしたかったのに、「年頃の娘がすることじゃない」と怒られてしまう。なぜ愛情表現を禁止されてしまうのか。そんな家族に対する反発からか、不良たちとつるんでいます。彼女自身もいい子なんですけど、不良たちといると気が大きくなってしまうのか、最初の方ではジムに意地悪なことばかり言ってましたね。ちなみに、演じたナタリー・ウッドは『ウエスト・サイド物語』(1961)のマリア役が有名ですね。
<プレイトーの場合>
プレイトー(プレイトウという表記もありますが、劇中の字幕ではプレイトーでした)は両親が別居して家におらず、家政婦に育てられています。友達もいなかったようで、常に孤独を感じている状況でした。そんな彼が、新しくこの街にやって来たジムや、そのジムに惹かれているジュディと交流することで、やっと自分の居場所ができたと思っていたんですよ。ところが、ひょんなことから、本当に些細なことから、「置いてけぼりにされた!」と被害妄想が拡大し、終盤の悲劇につながってしまいます。プレイトーを演じたサル・ミネオはジムに同性愛者のように接するよう演技していたそうです。
<若者の特権である反抗心>
このように、家庭に対する不満が募った挙句、それに反抗する人たちっていうのがこの映画の特徴で、1955年の時代性を踏まえると、当時の若者には刺さったんじゃないかなーって気はします。反抗心は若者の特権というか、若い人って何かと反抗したい時期があったりするので、劇中の登場人物に感情移入しやすいんじゃないかなと。とはいえ、今の時代に観ると、、、治安悪いなとしか思えませんけど、これは日本が平和な証拠ですかね(笑)
<後世への影響?>
ジェームズ・ディーンは若くしてこの世を去って伝説となったためか、絶大な人気を誇り、様々な映画俳優やライフスタイルに影響を与えたそうです。この映画にもそれが表れているなと感じたのが、ジムの行動です。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのマーティ(マイケル・J・フォックス)を彷彿とさせるんですよ。「チキン野郎」と言われたことに腹を立て、不良のリーダーとチキンレースに挑むから。てか、当時の高校生ってみんな車運転できるし、自分の(父親の?)車持ってるっぽいんですが、アメリカってそんな若くからみんな車使うんでしょうか。
<そんなわけで>
個人的には楽しめる映画でしたが、かなり時代を感じる内容でもあります。伝説の俳優、ジェームズ・ディーンの代表作として押さえておきたい1本です。ちなみに、メインキャストがみんな若くしてこの世を去っており、ちょっといわくつき感あるんですよね。