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山に登る理由はそこに山があるからというシンプルさしかなかった『神々の山嶺』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:58/109
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Le sommet des dieux
  製作年:2021年
  製作国:フランス・ルクセンブルク合作
   配給:ロングライド、東京テアトル
 上映時間:94分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、登山
元ネタなど:小説『神々の山嶺』(1997)

【あらすじ】

「登山家マロリーがエベレスト初登頂を成し遂げたかもしれない」といういまだ未解決の謎。その謎が解明されれば、歴史が変わることになる。

カメラマンの深町誠はネパールで、何年も前に消息を絶った孤高のクライマー・羽生丈二が、マロリーの遺品と思われるカメラを手に去っていく姿を目撃。深町は、羽生を見つけ出しマロリーの謎を突き止めようと、羽生の人生の軌跡を追い始める。

やがて二人の運命は交差し、不可能とされる冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑むこととなる。

【感想】

今年登山映画2発目です。「誰がエヴェレストに最初に登頂したのか」。この謎を追いつつも、エヴェレスト登山の過酷さを描いたのが本作ですね。ちなみに、名前が出たマロリーという登山家は、あの「そこに山があるから」の名言の生みの親。本当は「そこにエヴェレストがあるから」という言葉なのに、日本語では間違って広まったらしいです。

<アニメ版をオススメします>

元は夢枕獏の小説が原作で、2016年には『エヴェレスト 神々の山嶺』で実写映画化されています。軽く実写版の方にも触れておきますが、話の流れは細かいところは違うものの、大まかなところはいっしょです。まあ原作があるからそりゃそうだよねって感じですが。マロリーの謎からスタートするものの、気づけば羽生(阿部寛)のエベレスト登頂物語になって、最後のおいしいところは全部深町(岡田准一)が持っていくという、誰の何の物語なのか少々わかりづらい印象がありますね。

アニメ版もそんなに変わりません。マロリーの謎を追っていたかと思いきや、気づけば羽生の話になってるんで。でも、最後の深町のエピソードはなく、より羽生にフォーカスしている分アニメ版の方がわかりやすいです。尺も30分短くてスッキリしていますし、登山シーンもスリルがあって楽しめます。なので、マロリーの真相というよりも、羽生がエベレストを登る過酷な体験にスリルを味わうのがこの映画の楽しみ方かなと思いますね。

<アニメならではのシーン>

今回はアニメなので、昨日観た『アルピニスト』と比べたら、リアルさはやや弱まります。でも、アニメだからこそ描けるところもあるんですよ。滑落するシーンや雪崩が起きるシーンなど、実写ではなかなか表現できないところが観れるのはいいですね。実際にこういうことが起こるんだと思うと、本当に山をなめてはいけないなというのがわかりますから。単独で登って、もし身動きがとれなくなったらどうするのか。途中遭難しかけた羽生を見て、挑戦したい気持ちはわかるものの、あまりにも危険すぎる状況を目の当たりにして、自分には到底真似できないなと思いました。クライミングやエベレスト、ちょっとかじってはみたいですけど(笑)

<大きな存在に立ち向かいたくなるのは人間の性なのか>

本編とは関係ないですが、人間って何か大きなものと対峙したくなるものなんでしょうか。『白鯨』では巨大クジラと戦いますし、ジャック・マイヨールという素潜りダイバーは海の奥深くへ身ひとつで向かって行きました。およそ自分の力ではどうしようもできないものに打ち勝つことで、支配欲を満たしたり、達成感を感じたり、はたまたただの娯楽目的だったり、何かしら得るものがあるんでしょう。山はその大きなものの最たる例ですよね。どーんとそびえ立っていますから。

<そんなわけで>

登山が好きな人なら観てもいいと思います。昨日観たクライミングの映画とは違って、もうちょっと「登山寄り」なので(笑)


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