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AIが話題の今だからこそ観ておきたい!『ターミネーター』×『チャイルド・プレイ』の要素が全開だった『M3GAN/ミーガン』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:40/86
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆
【作品情報】
原題:M3GAN
製作年:2023年
製作国:アメリカ
配給:東宝東和
上映時間:102分
ジャンル:SF、ホラー、サイコスリラー
元ネタなど:なし
【あらすじ】
おもちゃ会社の優れた研究者であるジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は、子供にとって最高の友達であり、親にとって最大の協力者となるようにプログラムした、まるで人間のようなAI人形M3GAN(ミーガン)を開発。
ある日、両親を亡くし孤児となった姪のケイディ(ヴァイオレット・マッグロウ)を引き取ることになったジェマは、ミーガンに「あらゆる出来事からケイディを守るように」と指示して力を借りるが、その決断は想像を絶する事態を招くことになる――。
【感想】
AIに注目が集まりまくっている昨今。もちろん、昔から映画の世界では当たり前のように存在しましたが、ここ最近は生成系AIのブームでさらに未来に向かって前進した感じが強まっています。しかし、本当にAIに頼りすぎていいのか、、、そんな疑問を持つきっかけとなる映画、、、かもしれません、、、?(笑)
<ホラー映画界きっての天才がタッグを組んだ映画>
エンタメコンテンツは水物と言われるぐらい、当たりハズレの予想が難しいと言われています。だから、どんな映画がヒットするかがわかればみんな苦労しないでしょう。その中で、ジェームズ・ワンという映画監督兼映画プロデューサーと、ジェイソン・ブラムという映画プロデューサーが携わる作品は、新作が出るたびに期待するぐらいには個人的に当たり率が高いと思っています。
ジェームズ・ワンは『ソウ』シリーズや『死霊館』シリーズなどのホラー映画に定評があるだけでなく、『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)や『アクアマン』(2018)などのアクション映画もそれぞれのシリーズの中で当時の最高の興収を叩き出しています。ジェイソン・ブラムは『パラノーマル・アクティビティ』シリーズや『ゲット・アウト』(2017)、『透明人間』(2020)などのホラー映画が人気です。その両者がタッグを組んだということで、この映画も発表のときからかなり期待していました。
<既視感の塊(笑)>
で、実際に面白かったんですよ。ミーガンの妙にリアルな質感と、彼女のおぞましい行動がスリリングでよかったんですが、既視感が強すぎました(笑)結局、AIロボットの暴走じゃんかって。いや、それは予告からもわかっていたんですけど、ジェームズ・ワンとジェイソン・ブラムなら予想だにしない展開を提供してくれるかなと思っていたので、ちょっと期待値が高すぎたかもしれません(笑)
ミーガンは高性能のAIロボットです。人間と付き合うことで学習し、どんどん機能や知識をアップデートしていきます。で、それがいかにして暴走していくかって話なんですが、実はこの暴走っていう表現は正確ではありません。人間からしたらそう見えるし、イメージしやすいのでその言葉を使いましたけど。あくまでも、AIが自ら下した結論によって、人を襲うようになるんですね。これまでの同様の設定の映画だと、「AIが自我を持った」とか「ロボットが心を持った」っていうファンタジーな展開になっちゃうんですけど、今回の映画に関してはそういうんじゃないんですよ。あくまでも「知識を集積し、自らの役割と照らし合わせた結果、邪魔者を排除する」という結論に至っただけで。その自らの役割というのが、ケイディの保護です。ケイディに降りかかるあらゆる脅威を排除しようとするんですが、それが相当やりすぎな行動になっちゃうってのが、この映画の恐いところですね。ある意味、ミーガンはとてつもなく目的遂行を忠実に行うAIロボットと言えます。まあ、見え方的には"暴走"と捉えられても仕方ないんですけど(笑)その忠実な目的遂行能力が『ターミネーター』シリーズっぽいですし、かわいい人形のような見た目で人間を襲うのが『チャイルド・プレイ』シリーズっぽいんです。なお、終盤で『ターミネーター2』(1991)へのオマージュシーンがあったのはファンとしてポイント高かったです(笑)
<AIに頼ることの是非>
今回、ミーガンが人を襲ってしまったのは、プログラムミスというよりも、人間側のケアが足りなかったのが原因じゃないかと思います。当然、人間を襲うプログラムなんて組んでいません。なのにそうなってしまったのは、単にミーガンのチェックを怠っていたからではないかと。ミーガンの行動や学習履歴を逐一チェックしていれば防げたかもしれないのに、開発者のジェマはミーガンの学習をAIに丸投げしていたんですね。結果、ミーガンは人間が思っている以上に多くの知識を持ち、それらを組み合わせることに長けていたことに気づけなかったんです。この先技術が進歩していき、この映画のようなことが起こるかはわかりませんが、「AIに頼りっきり」になってはいけないというのが、この映画の現代社会への警告かもしれません。
また、ミーガンは両親を亡くしたケイディを慰めようとするんですが、AIはあくまでもAIであって、人間の悲しみに寄り添うようなことは気休め程度にしかならず、悲しみから立ち上がるのは自分にしかできないみたいなことをジェマが言ってるのを聞いて、人間の存在の大切さをしれっと伝えているのもこのAI時代においては重要な部分かと思いました。
<そんなわけで>
設定自体はすごくタイムリーなんですが、話としては既視感しかない映画ではありました(笑)そこまで怖いわけでも、グロいわけでもないので、(怖い意味で)ちょっとドキッとしたいときにはちょうどいいかもしれません。ただ、ミーガンが本領発揮するのが後半からなので、前半はちょっと退屈かなあ。どうやら続編もあるようなので、今度はもっとテンポのいい展開を期待したいです。
あと、よくよく見れば、今回ジェームズ・ワンは製作総指揮の立場なんですよね。彼は監督をやってくれた方が面白いものが作れる気がします。ぜひ次回作では彼に監督をやっていただきたいです。