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【ネタバレあり】『デジモン』初の病みアニメ?!これまでとは方向性が違いすぎて困惑しかなかった『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』


【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:116/150
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東映
 上映時間:80分
 ジャンル:アニメ、SF、アクション
元ネタなど:テレビアニメ『デジモンアドベンチャー02』(2000-2001)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
お台場とデジタルワールドを行き来した冒険の日々から10年が過ぎた2012年。それぞれの道を歩き出しつつも、大輔たち選ばれし子どもたちとパートナーデジモンは変わらぬ絆で結ばれていた。

そんなある日、突如巨大なデジタマが東京タワー上空に出現し、世界中へメッセージが発信される。

「みんなにともだちを。世界中すべてのひとにデジモンを」

世界がその動向を注目する中、大輔たちの前に欠けたデジヴァイスを持った青年・大和田ルイが現れる。選ばれし子ども誕生の裏側には、幼いルイのたった一つの願いが隠されていた……。過去そして現在、すべてが繋がったとき、デジモン史上最大の危機が訪れる。

果たして、大輔たち02チームが選んだ道とは?今再び、大人になった選ばれし子どもたちが出動する!

【感想】

※以下、敬称略。
劇場版『デジモンアドベンチャー』シリーズ通算12作目。僕はね、テレビアニメでやっていた『デジモンアドベンチャー』(1999-2000)がメチャクチャ好きなんですよ。自分史上5本の指に入るぐらいで。その続編である『デジモンアドベンチャー02』(2000-2001)も大好きで、今回の映画のためにテレビアニメと過去の劇場版をすべて観直した上で臨んだのですが、、、期待値が高すぎましたね。。。思っていたのと違いすぎて、「これがあの『デジモン』、、、?」と肩すかしを食らったような気分です。おそらく、多くの人が期待していたものとは異なる方向性だったのではないでしょうか。世界最速0時の回を観に行ったのですが、上映前に出た拍手が終了後に一切出なかったのも、この映画のすべてを物語っていた気がします。以下、ネタバレを含むので、まだ内容を知りたくない方はここでページをそっ閉じしてください。。。




















<『デジモンアドベンチャー』と聞いて思い浮かぶものが一切ない>

もう何から書いていいのか悩ましいのですが、一番は"想定外すぎた"ということに尽きます。「おまえの想定なんて知らねーよ」って話だとは思いますが、僕はてっきり『デジモンアドベンチャー tri.』(2015-2018)のように、成長した大輔たちの新しい冒険がまた観れると思っていたんですよ。ところが蓋を開けてびっくり。今回はデジモンとの友情とは何なのかを問うシリアスな話で、しかも主人公は新キャラの大和田ルイという少年なんです。大輔たちはどちらかと言えばサポート役で、テレビアニメの主要キャラが物語を進めていく形ではありません。この時点で個人的には「あれ?」という感じだったのですが。なので、世界を救うために、悪を倒すために、再び各地を飛びまわる冒険譚っていうスタイルではありません。

<『デジモンアドベンチャー』初の病みアニメ>

今回の映画で新たに登場したルイですが、彼の過去があまりにも重すぎて心が痛みます。。。彼は幼い頃に母親から虐待を受けていたという設定で、今や子供を持つ身となった僕自身にとっては目を覆いたくなるような描写も多いんです。そんな矢先、ルイもまた、太一や大輔たちと同じようにパートナーデジモンであるウッコモンに出会います。ウッコモンは特別な力を持ったデジモンで、パートナーの望みを何でも叶えてくれる不思議な存在として描かれています。ウッコモンは「大いなる存在と繋がっている」とかって言ってましたけど、それが何なのかは劇中では語られていません。

ウッコモンと出会ってからルイの生活は180度変わるんですが、実はそれが今回の映画の最大の脅威になってしまうんです。ルイの望む幸せと、ウッコモンが提供する幸せにズレが生じ、それがだんだんと大きくなっていきます。ルイが8歳のときでしたかね、ついに口論に発展してしまうんですが、そのときのルイとウッコモンのやり取りがホラーというか病みアニメそのものでメチャクチャ怖いんですよ。ルイも「いや、8歳でそうはならんだろ」ってぐらい狂気じみた行動に出るもそれが違和感ありまくりで、ここだけは別のアニメを観ているように感じました。しかも、ルイの声優が緒方恵美ってことで、口調や雰囲気が『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-1996)の碇シンジや『劇場版 呪術廻戦 0』(2021)の乙骨憂太とかぶることかぶること(笑)精神に異常をきたし、闇堕ちしたような感じがもう「緒方恵美ってこういう役だよね」って思うぐらいでした。

<「今それやる?」ってツッコみたくなるぐらい謎すぎるタイミング>

大人になったルイは、大輔たちの助言もあってウッコモンとの認識の齟齬を是正しようとするんですが、その手段が「話し合いだ!」ってことで、もう「ええ?」って感じですよ。いや、それはそうなんですけど、「そんな当たり前のことを今さらこの『デジモンアドベンチャー』の世界でやる?」っていう流れに正直困惑しました。まあ、太一や大輔たちが当たり前のようにやってきたことをルイはやってこなかったので仕方ないことではあるんですが、ずっとシリーズを観てきた身からしたら、「なんで10年経った世界でそれをやるんだ?」っていうタイミングのハマらなさにモヤモヤします。確かに、これまでのような冒険譚だとただの焼き直しになってしまうので、新しい風を吹かせたかったのかもしれませんが、少なくとも「本当に『デジモンアドベンチャー』の中でやる必要があったのか?」という疑問は残りますね。

<申し訳程度の進化シーン>

今回の映画では、おなじみのデジモンたちの進化シーンもありますし、そこ自体はすごく興奮しました!しましたが、そもそも今回の映画ではバトル自体がほとんどなくてですね、「その進化、意味ある?」って感じたわけです。戦いがあって、感情の高ぶりがあって、その上での進化とそこで流れる『brave heart』じゃないですか、『デジモンアドベンチャー』の醍醐味って。なので、そういう状況がないまま進化だけされても、ただのファンサービスとしか感じられず、いやまあファンとしてはうれしいんですが、その扱いの雑さはちょっと悲しかったですね。。。しかも、『brave heart』も歌パートまでいかず、さらには『Break Up!』もなかったので、聴きたかった歌もないっていう。。。

<思わせぶりな副題>

あと、副題の『THE BEGINNING』ってのにもやられましたね。意味からして「第1章」的な感じがするじゃないですか。だから、今回の映画が分作で、この後も話が続くかのような印象を受けましたが、どうやらルイが最初の選ばれし子どもで、そこからすべてが始まったという意味での『THE BEGINNING』ってことみたいなんですよね。その証拠に、続きがありそうな気配がまったくなかったので、なんて思わせぶりな副題なんだと思いました(笑)続きは作れなくもないんでしょうけど、割としっかり完結しましたからね、これ以上は手を加えない方がいい気もします。

<デジモンたちとの絆は前作に対する救済か>

これは僕の勝手な想像ですが、今回の映画って前作の『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(2020)に対する救済を提示してくれているんじゃないかなとも受け取れました。あれは、大人になるにつれ、太一とアグモンたちに別れが迫っているという話でしたが、今回はデジモンたちとの友情はずっと続いていくというような締めくくりだったので、「関係が終わったわけじゃないよ」ってことを示してくれたのかなって。ただそうなると、前作の設定ってどうなるんだっていう疑問も湧くんですけどね。大人になることでパートナーデジモンと別れることになるというなら、大輔たちだってブイモンたちと別れることになって然るべきだとは思います。逆に、大輔とブイモンたちがそのままいっしょにいられるなら、太一とアグモンたちだって再びいっしょになれないとおかしいですよね~。

<そんなわけで>

久しぶりに大輔たちの冒険が観れると期待していましたが、方向性はかなり特殊で、正直コレジャナイ感というか、多くの人が思うであろう『デジモンアドベンチャー』像とは違う形でしたね。これはこれでひとつの映画としてはアリなんですけど、『デジモンアドベンチャー』として見たときに、果たして面白いのかどうかという判断がしづらい作品ではありました。シリーズが好きだからこそ余計に、ね。

てか、どうせなら時代設定も現代に合わせて大輔たちを30代ぐらいにした方が、テレビアニメ放送時の視聴者世代とドンピシャでよかったんじゃないかって思うのは僕だけでしょうか。どうも日本のアニメの主要キャラって20代前半までにしたがる傾向にある気がします。まあ、あまりにも大人になりすぎると、それこそ前作との整合性が取れなくなりそうですけど(笑)

https://www.toei-anim.co.jp/movie/digimon-adventure/


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