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すべてが嚙み合ってないと感じた『バイオレンスアクション』
【個人的な満足度】
2022年日本公開映画で面白かった順位:128/128
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★☆☆☆☆
映像:★★☆☆☆
音楽:★★☆☆☆
映画館で観たい:★☆☆☆☆
【作品情報】
製作年:2022年
製作国:アメリカ、日本、スペイン
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間:111分
ジャンル:アクション、コメディ
元ネタなど:漫画『バイオレンスアクション』(2016-)
【あらすじ】
ゆるふわピンクボブの菊野ケイ(橋本環奈)は日商簿記検定2級合格を目指し専門学校に通っていた。学校帰りのバスでビジネスマン風の青年テラノ(杉野遥亮)と出会い、ケイは胸を高鳴らせながらもいつも通りバイト先へ。
一見、フツーのラーメン屋だが、その実態は殺し屋。ケイは指名ナンバーワンの凄腕の殺し屋だったのだ…!!キレたら恐い店長(馬場ふみか)、不自然ヘアーの運転手ヅラ(岡村隆史)さん、ケイに想いを寄せる渡辺(鈴鹿央士)と孤高のスナイパー・だりあ(太田夢莉)がバイト仲間だ。
この日の依頼は、巨大なヤクザ組織を仕切る三代目組長からある人物を殺して欲しいという内容だった。そのターゲットとは巨大な抗争の渦中にいるヤクザの会計士、バスで出会ったテラノだった―。そこにケイを狙う最狂の殺し屋みちたかくん(城田優)まで現れて…!?
菊野ケイ、史上最悪のバイトをどう乗り切る!?
【感想】
原作漫画を読んでから鑑賞しました。すでにSNSやレビューサイトでの評判の悪さを目にしていたので、"怖いもの見たさ"で行ってきたのですが、、、うん、これは確かに評判通り(笑)
<人間ドラマがないストーリー>
そもそも原作漫画も個人的にはハマれずでして。ゆるふわな女の子が凄腕の殺し屋っていうギャップある設定なんですが、1話完結型であまりストーリー性を感じられないんですよ。『闇金ウシジマくん』(2004-2019)にいそうなヤバいキャラクターやけっこう強めな暴力シーンが特徴であるものの、いずれもほとんど怖さのない中途半端な印象があります。
で、映画なんですが、原作漫画のいろんなエピソードを混ぜこぜにして再構築した話になっています。「あ、漫画のここを映画ではここに持ってくるのね」っていうぐらい散らかってる感じですね。なので、原作漫画を読んでいなくても問題はなく、むしろ原作漫画を読んでいない方が楽しめるかもしれません。
主人公のケイ(橋本環奈)は人殺し仕事と割り切っているので、まあ淡々とこなしていくわけです。そこには苦悩や葛藤もなければ、感情移入できるような敵との対立関係もない。ルーティンとしての人殺しだから、そこに面白さはあまり求められないんですよね。これは原作漫画でもそうですが。
<すべての魅力をなしにしてしまっているのが肝心のアクション>
ストーリーで楽しめないとなると、キャラクターやアクションに期待したくなりますが、これもまた面白さが見出せないんですよね。その理由を考えたんですけど、アクションに問題があるのかなと。これ、アクション映画なんですが、そのアクションに興奮できないんですよ。
その理由はいくつかあるんですけど、一番大きいのが"繋がり"だと感じました。当然、激しい動きはすべてスタントダブルの方がやっていますが、その動きが役者さんとリンクしないんですよね。基本的に役者さんは簡単な動きか、一連の動きが止まったときのみアップになるんですが、そこがそれまでの動きからブツッと切れたように感じられるんです。それに加えて、カメラワークの激しさとCGの多様でメチャクチャ誤魔化しまくっているのと、「その動きいる?」っていう不自然なアクロバット。そして、現代となっては観るに堪えないワイヤーアクションなどなど。
そんなとき、一昨日公開されたばかりの『ブレット・トレイン』の真田広之さんへのインタビューでこんな言葉がありました。
「時として、映画の中でドラマとアクションが分離してしまうことも起こり得ます。それは一番避けなければいけないことです。ドラマの沸騰点として生まれるのがアクションであり、アクションの後に残る感情、いかにして再びドラマに着地するのか、全てがリンクしていないと、アクションシーンは浮いてしまい、全く別物になってしまいます」。
ドラマとアクションの分離は一番避けなければならないとおっしゃっているのですが、本作はまさにそれが一番表れてしまいました。その結果、キャラクターのかっこよさも一切なく、後ろで流れる音楽にも乗れず、まったく魅力を感じられない内容となってしまったのではないかなと。
<そんなわけで>
「なんで実写化したんだろう?」という疑問のみが湧いてくる映画でした。まだアニメ化の方がよかったんじゃないかな。。。