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【ネタバレあり】素晴らしい実写化。白血球が飛天御剣流の使い手だっただけでなく、後半のオリジナル展開に涙を禁じ得ない『はたらく細胞』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:30/139
ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★★★
音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★★★★★★
【作品情報】
原題:-
製作年:2024年
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:109分
ジャンル:アクション
元ネタなど:漫画『はたらく細胞』(2015-2021)
漫画『はたらく細胞 BLACK』(2018-2021)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/saibou-movie/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
人間の体内の細胞、その数なんと37兆個。酸素を運ぶ赤血球、細菌と戦う白血球、そのほか無数の細胞たちが、あなたの健康と命を守るために日夜全力ではたらいているのだ。
高校生・漆崎日胡(芦田愛菜)は、父親の茂(阿部サダヲ)と二人暮らし。
まじめな性格で健康的な生活習慣の日胡の体内の細胞たちは、いつも楽しくはたらいている。一方、不規則不摂生に日々を過ごす茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちがいつも文句を言っている。親子でも体の中はえらい違いだった。仲良し親子のにぎやかな日常。
しかし、その体内への侵入を狙う病原体たちが動き始める…。漆崎親子の未来をかけた、細胞たちの「体内史上最大の戦い」が幕を開ける!?
【感想】
※以下、敬称略かつネタバレあり。
原作漫画は『はたらく細胞』(2015-2021)本編のみ読んだのですが、これは本当に素晴らしい実写化だと思いましたね。勉強になる上に笑って泣けるというエンタメとしてもとても面白い作品でした。学生のときにこの漫画があれば、生物の成績もう少しよかった、、、かも?(笑)
<人間パートと細胞パートの二軸展開>
本作は人間の体内の細胞たちに焦点を当てた話で、もともと原作漫画も面白いのですが、今回の映画は後半からのオリジナルストーリーが一番の見どころです。原作漫画は1話完結型なので、それぞれのエピソードをうまく再構成して、その上で映画オリジナルの展開にしていくんですが、それが自然な流れで腹落ちする内容かつ感動的な話で涙が出ちゃいました。今回はシリーズで初めて人間パートも描かれているんですが、そこの父と娘の親子の話と、体内で戦う細胞たちの話で二度泣けるんですね。
親子の方は、漆崎日胡(芦田愛菜)が急性白血病にかかってしまい、不摂生な父親の茂(阿部サダヲ)が「娘のために何でもします!」というところが娘を持つ身として共感できました。こういうときの阿部サダヲの演技がすごくいいんですよね。。。一見ちゃらんぽらんに見えて、実はメチャクチャ娘のことを想っているっていうギャップにやられます。
細胞の方は、赤血球(永野芽郁)の成長譚と最後のオチがメチャクチャよかったです。何をやっても失敗ばかりの赤血球は、白血球(佐藤健)のように体を守ることもできず、ただ酸素を運ぶことしかできない自分を責めていました。でも、優劣があるわけじゃなくて自分の役割を全うすることが大切だという白血球の言葉に励まされ、彼女は日胡の体が白血病に蝕まれ、次々に細胞たちが倒れていく中、最後の最後まであきらめずに酸素を運び続ける姿に心打たれます。映画だと尺が短いから頼りなかった赤血球がたくましく成長していくまでがあっという間に感じてしまうかもしれないので、ここは原作漫画を読んでいた方がよりわかりみが深いかもしれません。
<漫画にはなかった壮大な感動がここにはある>
日胡は骨髄移植を受けるしか助かる道がないのですが、いつドナーが現れてもいいように事前準備として放射線治療を行うことになります。これは、移植の際に拒絶反応を起こさないために放射線で体中の細胞をほとんど死滅させることなんですよ。これは白血病細胞に効くと同時に他の細胞も殺してしまうので、赤血球や白血球も滅びてしまうんです(初めて知りました)。なので、放射線治療後の体内には日胡のもともと持っていた細胞はひとつ残らずいなくなってしまったんです。「ええ、主人公がまさかの消滅?!」ってびっくりしましたね。
その後、無事に骨髄移植が行われて、日胡は快方に向かっていくわけですが、ここでの医師(鶴見慎吾)からのセリフがよかったんですよ。「日胡ちゃんの体ががんばってくれたから、移植まで持ちこたえることができた」って。細胞たちが最後まであきらめずに戦った意味をここで強く感じられて救われた気分になりました。彼らのあきらめない心がなかったら、日胡は移植を受ける前に亡くなっていたかもしれないんですから。
<アクションがメチャクチャかっこいい!>
あと、この映画で推したいのはアクションです。特に白血球が最高なんですよ!だって、もう動きが飛天御剣流じゃんって(笑)演じた佐藤健は実写版『るろうに剣心』シリーズ(2012-2021)で緋村剣心役もやっていましたからね。
個人的にはマクロファージ(松本若菜)も推したいですね。綺麗な顔してゴスロリみたいな服装してるのに、でっかいナタで敵をバッサバッサ斬り殺していくギャップがたまんねぇっす(笑)
<そんなわけで>
これは生物や医学に興味を持つきっかけにふさわしすぎる作品だと思います。漫画も面白いですし、映画も漫画に忠実でありながら感動的なオリジナル展開に仕立てているのがうまいです。昨今、原作改変が問題になっていますが、改変自体が悪いのではなく、要はやり方ですよね。中にはこの映画のようによくなる例があるというのも知っておきたいです。そして、この映画を観て自分の体をもっと大事にしようと思いました。