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ついに最終章始動!北条司ユニバースに興奮するも、ギャグの多さにちょっと食傷気味だった『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:69/125
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:アニプレックス
 上映時間:94分
 ジャンル:アニメ、アクション
元ネタなど:漫画『シティハンター』(1985-1991)
      テレビアニメ『シティハンター』(1987-1991)

【あらすじ】

冴羽獠は凄腕の始末屋“シティーハンター”。新宿を拠点にパートナーの槇村香と様々な依頼を受けている。

新たな依頼人は動画制作者・アンジー。その依頼は…何と逃げた猫探し!獠はアンジーの美貌に、香は高額の報酬に胸を躍らせる。

警視庁の野上冴子は海坊主と美樹の協力を得て、バイオ企業ゾルティック社の発明について捜査する。それは、謎の組織の依頼で作られた戦場の兵士を超人化する闇のテクノロジーで、かつて獠を蝕み、パートナー槇村秀幸を死に追いやった「エンジェルダスト」の最新型だった。

猫探しに奔走する中、アンジーの命が狙われる。依頼の真意を語ろうとしないアンジーは動画に映る獠を見つめ、ひとり呟く。

「これがあなたの『最高傑作』なのですか?」

「エンジェルダスト」を求めて現れる暗殺者たち。壮絶な戦いに巻き込まれていく獠たちを遠く見つめる男。それは獠の育ての親・海原神――。海原がその銃口を定めるとき、宿命の対決が始まる!

【感想】

劇場アニメ版『シティハンター』第5作目。面白かったんですが、なんか妙に引っかかるところが多い映画でしたね。個人的には、前作の『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』(2019)の方がよかったです。

<原作漫画とテレビアニメ版はけっこう違うらしい>

僕は『シティハンター』については、テレビアニメ版は小さい頃に少し観ていたのですが、原作漫画は読んでいなくて。ちょっと世代が上なんですかね。まわりの友達でも漫画を読んでいる人はいませんでした。ただ、今回は"エンジェルダスト"がキーアイテムになるってことなので、それが初めて出てくる第1巻だけ読みましたが。実は、テレビアニメ版原作漫画はけっこう違うみたいなんですよね。そもそもテレビアニメ版では、エンジェルダストを始め、それに絡む闇の組織ユニオン・テオーペ、その総帥で冴羽獠を戦士に育て上げた海原神には一切触れていないようなんです。エンジェルダストが麻薬ってことで、自主規制したとか。組織については、代わりに"赤いペガサス"っていうのが出てきて、その設定を今回の映画も引き継いでいます。また、今回のエンジェルダストは、兵士を超人化するっていう作用は原作漫画と同じですが、麻薬からナノテクノロジーに変更されています。なので、この映画はテレビアニメ版原作漫画のハイブリッドってことになりますね。

<ギャグ要素がちょっとしつこい>

今回の映画ですが、全体的な世界観としては、舞台を現代に移しつつも、かつてのテレビアニメ版のノリと同じなので、そういう意味では安定した面白さはありました。もともとこのシリーズが好きな身なので、多少の贔屓はあるかもしれませんが、アクションはかっこよかったですし、コメディとシリアスを混在させた構成も『シティハンター』ならではです。それなのに、イマイチのめり込めなかったのはなぜでしょう。観終わってからいろいろ考えていますが、そのコメディとシリアスのバランスが悪かったのと、ゲストヒロインであるアンジーのポジションがわかりづらかったからじゃないかなと思いました。

まず、今回の映画はギャグシーンが多すぎたんですよ。ギャグっていうか、冴羽獠のセクハラなんですけど(笑)いや、普段ドスケベなのに仕事はきっちりやるっていうギャップが彼の持ち味ではありますし、そこが憧れの部分でもあるんですが、それにしてもアンジーへの絡みがしつこいしつこい。特に物語の前半部分はほとんどそれで終わったんじゃないかってぐらいの印象しかありません。

<結局、アンジーは何だったのか>

次に、そのアンジーが敵なのか味方なのかわかりづらかったっていうのもネックです。彼女がやって来た本来の目的から考えるに、前提としては敵だと思うんですが、その割にはみんなと仲良くしてるし、かと思えば撃ち合ったりしてるし、「どっち?」って。

おそらく、彼女は自分の育ての親である海原神に認められたかったけど、彼は冴羽獠を最高傑作と言うので、嫉妬みたいなものがあったんじゃないかなーって思うんですよね。で、その冴羽獠がどんなやつかと探りに来たら、ドスケベだけど信頼できる男だってわかって、少し打ち解けたんじゃないでしょうか。とはいえ、彼女は彼女で冴羽獠を倒したい(倒して自分が最強になりたい?)という個人的な感情があるので、結局戦うハメになるんですが。僕としてはその動機がちょっと弱い気もしたんですよね。もう少し彼女の人物背景がわかればまた違った受け取り方ができたかもしれませんけど。だから、ネタバレになるので詳細は割愛しますが、最後の展開はアンジーのポジションがわかりづらかったので、僕はそこまで感情移入できなかったのが残念なところでした。

そもそも、海原神が重要な人物なのに、終盤に少ししか出てこないのももったいない気がしました。回想シーンとかで彼の人となりを見せてくれたり、アンジーや冴羽獠との関係性に言及してくれたら、今回の映画もっと面白くなったんじゃないかなあなんて思ってしまいます。

<まさかすぎるキャラの登場>

前作同様、同じ北条司先生の『キャッツ♥アイ』から、あの三姉妹が出ているのもエモかったポイントです。しかもけっこう物語に絡んでいて、ゲストキャラというより「北条司ユニバース」って感じだったからファンにはうれしい要素でしたね。一番びっくりしたのが、ルパン三世と次元大介の登場です。これはもう完全におまけ要素だと思うんですが、これは『ルパン三世VSキャッツ・アイ』(2023)に冴羽獠がカメオ出演した関係で今回の取り組みに至ったそうです。世界観的にはリアルな現代社会を舞台にしているので、このコラボには違和感がないばかりか、もっと観たいと思いました!

<やっぱりこのエンディングテーマには勝てない>

あとは、お決まりですがエンディングテーマの『Get Wild』が相変わらず最高でした。画面が止まって引きになりながらあの前奏が流れるだけで全身痺れますよ。日本のアニメ史上最もエンディングへの入り方が秀逸だと僕は思っています。

<そんなわけで>

引っかかるところはあるものの、総じて楽しめたので、続編のためにも観ておいて損はないと思います。え、続編ありますよね?こんな中途半端なところで終わったら、ダメ絶対。冴羽獠と海原神の決着までやってください、、、!


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