【ネタバレあり】ホラーと青春を掛け合わせたら水と油のように分離して一度も融合することはなかった『カラダ探し』
【個人的な満足度】
2022年日本公開映画で面白かった順位:133/154
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆
【作品情報】
製作年:2022年
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:102分
ジャンル:ホラー、スプラッター、青春
元ネタなど:小説『カラダ探し』(2013-2015)
漫画『カラダ探し』(2014-2017)
アニメ『カラダ探し』(2017)
【あらすじ】
7月5日、明日香(橋本環奈)の高校生活は一変した。いるはずのない幼い少女から「ワタシのカラダ、探して」と言われたその日から…。
深夜0時を迎えた瞬間、気づくと明日香は、高広(眞栄田郷敦)たちクラスメイトと共に学校にいた。そこに現れた全身が血で染まった少女"赤い人"によって、6人は次々と惨殺されてしまう。そして目が覚めると、そこはまた同じ7月5日…。
その日から、6人は何度も"赤い人"に殺され、永遠に同じ日をループすることに――。明日を迎える唯一の方法は、校内に隠されたバラバラのカラダを探し集めること。性格も異なる6人は、次第に力を合わせはじめ、仲間として友情が芽生えていく。
終わらない死のループから逃げ出し、明日を手に入れろ!
【感想】
原作小説および漫画やアニメは観ておらず、映画から入りました。ジャパニーズホラーが苦手なので観ようか迷ったんですけど、予告を観るとスプラッター要素が強そうなので、多分大丈夫かなと思って鑑賞しました。結論から言うと、思うところはいろいろあれど、なかなかチャレンジングな映画だと思いましたね。怖いかどうかで言ったら、序盤だけちょっと怖いですが、その後は惰性だったかな(笑)
<ミックスジャンルの結果やいかに>
無限ループ×ホラー×青春という合わせ技で、期待できそうな要素の組み合わせですよね。そのミックスジャンルに旬な若手俳優を起用して、商業的にはとても真っ当な作り方だと思います。ただ、その面白そうな要素がうまく噛み合うことなく、それぞれ独立したまま終わったなっていう印象だったんですよね。
<ホラーパート>
とはいえ、最初はやっぱりちょっと怖かったです。観ている方としても、まだどんな内容なのかよくわかっていませんでしたから。いきなり学校に集められた6人。"赤い人"と呼ばれる血まみれの少女に追いかけまわされ、ぶっ殺されるというパターン。この"赤い人"ってのが、力が強く、スピードも速い。どういう理屈かは知りませんが、ジャパニーズホラーにおいては死んだ人ってなぜか強いですよね。憎悪による身体能力の飛躍的な向上ってことでしょうかね。で、"赤い人"に殺されると同時に同じ日の朝に戻り、日常を過ごして、0時になったらまた"赤い人"から逃げ惑うという繰り返し。ここまではホラーというかスプラッターでした。体は真っ二つになったり、貫通したり、けっこう痛々しい描写が多いんですが、死体がチープに見えるのがB級感漂います(笑)
<青春パート>
おかしいのがここからで、みんな何回もいっしょに死にまくってるから、だんだん仲良くなっていくんですよ。同じクラスなのに全然話したことなかった間柄なのに。むしろ、明日香とか全員から無視されて、存在すらスルーされてたはずなのに。それが、同じ死線をくぐり抜けた同志みたいな感じでいつの間にやら友達に。それで、いっしょに作戦会議したり、海に遊びに行ったり、まるで文化祭のようなノリになっていくんです。青春真っ盛りの楽しい学校生活を楽しむキラキラ高校生ですよ。どうせ0時になったらまた殺されるのに、「リセットされるからいいっしょー」的な感じで緊張感ゼロ。ここは完全に青春映画でしたね。
<結局独立していたホラーと青春>
このホラーと青春の要素が、完全にぶった切られていたんです。別々の映画を無理矢理接着剤でくっつけたのに、やっぱりうまく貼りつかなかったっていう感じです。やっぱり青春パートで緊張感をゼロにしてしまったのが、ホラー的には微妙だったのかなと思います。もうホラーの方は全然怖くなくなってしまって、ただの茶番にしか見えないっていう(笑)
終盤は"赤い人"がちょっと形を変えるんですが、それが某大人気SF映画の毛むくじゃらのキャラクターのようなんですよね。それを明日香が鉄パイプでボコボコにするっていう、よくわからない流れ(笑)ストレートに言ってしまうと、「チューバッカを橋本環奈が鉄パイプでボコボコにする」っていう構図です。ちょっと笑っちゃいました。
<気になるところもいくつか>
そもそも"赤い人"ひどくないですか?せっかくみんなでバラバラになったカラダを探してあげてるのに、邪魔するどころか殺すって。「おまえのためにやってんのにその態度は何だ!」と幾度となく心の中で叫びましたよ。
みんなもみんなでさ、校内の捜索は昼間にやればいいんじゃないの?明るいし、体のパーツも見つけやすいよ?なんで敵が動き出す夜にやるんだかって(笑)
ループの設定も、ただあるだけっていう感じで、それ自体が何か物語を秀逸な面白さにするぐらいの貢献をしているかというと、別に……って感じですね。これ、無限コンティニューってことで、"赤い人"の優しさなのかなって思ったり(笑)
なんとなく、ジェームズ・ワンに作らせたらもっとうまくやりそうな気がしました。それか、ゲームにした方がもっと楽しめるかもしれません。"赤い人"から逃げなら校内で体のパーツを探して、見つけたら礼拝堂に持っていくっていうゲーム。制限時間内に全部見つければプレイヤーの勝ち。全員殺されるか、制限時間内に見つけられなかったら負けっていう。
<そんなわけで>
今までとはちょっと違うホラー映画を観たいならぜひってところですかね。いや、ホラー映画っていうより、もう青春映画ですね、これ。グチャミソ青春映画(笑)
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