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貞子的な霊に家族を殺された認知症のババアが覚醒して『幽☆遊☆白書』の幻海みたいになって復讐する新感覚ホラー『サユリ』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:37/96
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2024年
  製作国:日本
   配給:ショウゲート
 上映時間:108分
 ジャンル:ホラー
元ネタなど:漫画『サユリ 完全版』(2015)
公式サイト:https://sayuri-movie.jp/

【あらすじ】

※映画.comより引用。
念願の一戸建てに引っ越してきた神木家。夢のマイホームでの生活がスタートしたのもつかの間、どこからか聞こえる奇怪な笑い声とともに、家族が一人ずつ死んでいくという異常事態が発生。神木家を襲う恐怖の原因は、この家に棲みつく少女の霊「サユリ」だった。

一家の長男・則雄(南出凌嘉)の前にもサユリの影が近づき、則雄はパニック状態に陥る。そこへ認知症が進んでいるはずの祖母・春枝(根岸季衣)がはっきりと意識を取り戻して現れ、「アレを地獄送りにしてやる」と力強く言い放つ。

則雄は祖母と2人、家族を奪ったサユリへの復讐戦に挑む。

【感想】

いやー、これマジで新感覚すぎるホラーでしたよ。僕は『リング』(1998)のトラウマでジャパニーズホラーは全般的に怖くて無理なんですが、今回の映画は後半から『ベスト・キッド』(1984)みたいな流れになるから面白かったです(笑)ちなみに、映画を純粋に楽しみたかったので、原作漫画は映画鑑賞後に読了しました。大まかな流れは漫画も映画も同じですが、家族の死に方やサユリの過去などは大きく異なっているので、漫画を読んでいる人でも十分に楽しめるはずです。

<この映画を面白くする2つの要素>

自分が好きなジャンルを面白いと感じるのは当たり前なんですが、苦手なジャンルを面白いと感じるのにはそれなりに理由があります。この映画では2つの要素がそれでした。まずは前半と後半でジャンルがガラリと変わるところです。前半はホラー、後半はバイオレンスですかね。前半がロマンスで後半がパニックになる『タイタニック』(1997)みたいな変わりっぷりで、作品としての振れ幅の大きくなる分、面白さが増すのかなと思いました。

もうひとつは、ありそうでなさそうな設定です。認知症のババアが覚醒して家族を殺した霊に復讐する流れなんですが、要は人間が霊に仕返しするというか、一矢報いるような設定って少なくとも邦画ではこれまでなかった気がするんですよね。成仏させるでもなく、泣き寝入りするでもなく、地獄に落としに行くと。その斬新さにしびれました。

<前半のホラー部分はマジで怖い>

ジャパニーズホラーに慣れている人がどう思うかはわかりませんが、それが嫌いな身からしたら、前半のホラー部分は普通に怖かったですよ?(笑)則雄たちが新しく引っ越した家は中古ながらも自然に囲まれて大きな戸建てなんですが、全体的に寂しい雰囲気が漂っていて、室内の照明も暗めです。そこに現れるサユリという霊。ジャパニーズホラーらしく、最初はハッキリとした姿は見せず、不快感を感じる効果音でその存在をほのめかし、画面の隅や主人公の背後にボヤッと映るという定番ながらも僕はマジで怖いから嫌いな演出です(笑)

とある理由で恨み辛みが溜まっているサユリは、則雄の家族を次々に殺していきます。それも洋画みたいに簡単に手足や首が取れるようなポップな死に方ではなく、ゆっくりじわりじわりと痛めつけて、ふとしたタイミングでいきなりグチャッてやるので、これも本当に怖くて嫌いです(笑)また効果音が生々しくてですね、、、洋画のそういうスプラッターな部分って「そんなわけあるか」っていう非現実的な表現が多いのである意味ギャグっぽく映るんですけど、邦画はけっこうリアルさを出してくるので心底恐怖を感じるんですよね。。。

<後半のばーちゃんがマジでかっこいい>

そして、則雄が狙われてピンチに陥ったその瞬間、認知症でボケていたばーちゃんがまさかの覚醒です。『幽☆遊☆白書』(1990-1994)の幻海のようなスタンスで、家族を殺したサユリに復讐するため、則雄と特訓を開始するんですよ。「命を濃くする」つって、走って、筋トレして、太極拳やって、飯食って、寝るというストイックぶり。『ベスト・キッド』かって(笑)

で、このばーちゃんがかなりぶっ飛んでるんですよ(笑)サユリが霊となって現世を彷徨う元凶となったやつらを探し出して拉致しますから。さらに、こいつらのせいで自分の家族が殺されたも同然なので、金槌で殴るわ、桐で刺すわのジョン・ウィックばりの暴力の連続。いや、あんたの方がこえーよって思いました(笑)このぶっ飛んだストーリー展開とキャラクター設定はなかなか邦画にないスタイルなので斬新でしたね~。

<そんなわけで>

前半と後半でガラリとジャンルが変わる新感覚ホラーで楽しめました!まさか霊を成仏させるのではなく、自らボコりに行くというその新しい切り口はよかったですね。個人的には、ばーちゃんと霊とのド派手なアルティメットバトルを期待したんですけど、さすがにそこまではありませんでした。ハリウッド映画や韓国映画ならまだしも、そこまでいくと邦画ではやりすぎなのかもしれません。さあ、合言葉は「元気ハツラツ!お◯んこまんまん!!」。明日も元気にがんばっていきましょー!

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