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【ネタバレあり】圧倒的巨女!ポスターもインパクトデカいが中身もインパクト大!「あなたは自分をいじめたやつらを許せるか?!」を問うた『PIGGY ピギー』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:97/139
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Cerdita(Piggy)
  製作年:2022年
  製作国:スペイン
   配給:シノニム、エクストリーム
 上映時間:99分
 ジャンル:ホラー、スリラー
元ネタなど:監督の同名短編作品を長編化

【あらすじ】

スペインの田舎町。ティーンエイジャーのサラ(ラウラ・ガラン)はクラスメイトからの執拗ないじめに苦しんでいた。両親や弟からも理解されず、家の中でも居場所を見つけられないサラはヘッドホンに頭をうずめて自分の気持ちを閉じこめる日々を送っていた。

ある日、あまりの暑さにひとりで地元のプールへと出かけたサラは、怪しげな謎の男(リチャード・ホームズ)と、3人のクラスメイトと鉢合わせてしまう。再びクラスメイトたちのいじめの標的となるサラ。

しかし、その帰り道、恐ろしい現場に遭遇する。それは、血まみれになった3人のいじめっ子たちが、謎の男の車に拉致され、連れ去られるところだった…。

【感想】

スペイン発のリベンジホラー映画!情報量が多すぎるせいか、各レビューサイトの評価は低めですが、個人的にはこのぶっ飛んだ設定は嫌いじゃなかったです(笑)

<ヴィジュアルインパクトありすぎな主人公>

ポスターの時点でものすごいインパクトを与えてくるこの女性。彼女が本作の主人公であるサラです。この圧倒的なデ、、、もとい太ましさ、、、!ティーンエイジャーという設定ながらも、演じたラウラ・ガランは1986年1月生まれなのでアラフォーに近いですが、まったく年齢を感じさせませんでしたね。この肉厚感が年齢をわからなくさせているんでしょうか、、、?日本ではなかなかお目にかかれないサイズ感ですが、クラスメイトからいじめのターゲットにされているんですよ。この体型に加えて、なかなか言い返せない性格で、しかも家は肉屋ということもあってか、格好の餌食というわけです。

<ポッと出すぎる殺人犯>

そんな彼女が出会った謎の男。役名はEl desconocidoってことで、英語だと「The stranger」って翻訳サイトで出ました。日本語にすると「見知らぬ人」とか「よそ者」とかっていう意味になりますね。つまり、他の登場人物たちと何の繋がりもない、まったくの赤の他人というわけです。本当にいきなり町にいるので、最後までよくわからない役どころではあるんですが、彼もまたおかしな人物で、初対面のサラを何かと気をかけるんですよ。いじめられていた彼女に同情したのか、それともデブ専なのか(後者の方がありそうですがw)。

<サラと謎の男の奇妙な関係>

ある日、サラはいじめてきたクラスメイトが、その謎の男に拉致されるところを目撃します。で、ここからがこの映画の肝なんですよ。彼女はいじめっ子を許せるのか否かって。以降はネタバレになるので、まだ知りたくない方はここでページをそっ閉じしてください。




















最初は「いい気味だ」と思っていじめっ子の失踪事件に口をつぐんでいたサラ。そりゃそうですよ、自分をいじめてきたやつらを助ける道理なんてないですよね。でも、ここで注目したいのが彼女と謎の男の関係性です。この2人、どうやらお互いに惹かれ合ってる節があるんですよ。謎の男はデブ専なのか、サラに一目惚れっぽい感じがする一方で、サラもサラで何だか謎の男が気になっている様子です。人を拉致しちゃうほどヤバそうなやつなのに?でもわかる気もするんですよねー。だって、サラって家族も友達も味方になってくれずに孤独に生きてきたんですから。そんな中でこの謎の男は、いじめっ子たちを懲らしめてくれるし、自分をバカにすることなく接してくれるので、サラにとって居場所となりえると感じたんじゃないでしょうか。女性としての前にひとりの人間として喜びを覚えたんですよ。だから、サラからしたらいじめっ子に対する仕返しと、ちょっと気になる謎の男をかばう意味もあって、事件について語ろうとしないんですよね。ここまでは腑に落ちる設定です。

<結局、サラはどういう心理だったのか>

それゆえに、ラストのオチがややどっちつかずな印象でしたね。そのままサラと謎の男で駆け落ちでもしてくれればわかりやすいのですが、最終的にサラは監禁されていたいじめっ子たちにトドメを刺そうとした謎の男と決別し、取っ組み合いの末に刺し殺してしまいます。ここで先の疑問に戻るのですが、果たしてサラはいじめっ子を許せたのでしょうか。個人的には、憎いことに変わりはないけれど、死に至らしめるまでもないってことだと思います。あれだけ気になっていた謎の男の凶行を止めたのは、意外とサラはいざというときに冷静な判断ができる人物なのかもしれません。他に考えられることとしては、怖い想いをしてもう十分に仕返しはできたと満足したとか、あまりにも強烈な体験をしたために、もういじめとかかすり傷ぐらいにしか感じなくなったとか、そんなところじゃないですかね。

<そんなわけで>

見た目も設定もインパクト大なので、それだけで見ごたえ十分な映画でした。ホラーやスリラーといったジャンルの中に、怪しいロマンス要素を入れて、斬新なテイストになっていたとも思います。それだけにハッキリとしないラストがやや気になりますけど(笑)


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