いろんなジャンルをかいつまんでいるけど、総じて日本の『ハリポタ』かなと思った『陰陽師0』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:34/45
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:-
製作年:2024年
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:113分
ジャンル:ファンタジー、アクション
元ネタなど:小説『陰陽師』シリーズ(1988-)
映画『陰陽師』シリーズ(2001-)
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
呪いや祟りから都を守る陰陽師の学校であり省庁――≪陰陽寮≫。学生の安倍晴明(山﨑賢人)は、呪術の天才ながらも陰陽師に興味を示さず、友人も持たず、周囲から距離を置かれる存在だった。
ある日晴明は、貴族の源博雅(染谷将太)から皇族の徽子女王(奈緒)を襲う怪奇現象の解決を頼まれる。衝突しながらも真相を追う晴明と博雅だったが、ある学生の変死をきっかけに、平安京をも巻き込む凶暴な陰謀と呪いが動き出す。
若き晴明は平安の闇を祓えるのか?そして呪いに隠された真実とは――?
【感想】
※以下、敬称略。
『陰陽師』シリーズ第3作目。面白かったですが、いろんなジャンルの要素が詰まっていてどっちつかずな感じだったので、個人的にはもう少し絞った方が楽しめたかなという印象でした。
<日本版『ハリポタ』?!>
今回の映画は、学生時代の安倍晴明を描く前日譚となっています。かつては野村萬斎が安倍晴明を演じていて、ひょうひょうとしたキャラクターが印象深いですが、学生時代の安倍晴明にその面影はなく、生意気でマイペースな近寄りがたい人物でしたね(笑)
そんな彼が籍を置くのは陰陽寮。平安時代は占いで政治を動かしており、その占いを担っていたのが陰陽師です。なので、陰陽寮は現在でいうところの省庁の役割と、将来の陰陽師を育てる学校の役割の2つがあったんですよ。専門知識を持った先生(博士と言う)が学生(がくしょうと言う)に講義をするのは、さながら『ハリポタ』シリーズにおけるホグワーツ魔法魔術学校のようでした。それでいて、安倍晴明は幼い頃に両親を亡くしたものの強力な呪術使いであるという設定なので、まんまハリー・ポッター自身と重なります。ここらへんは学園モノのような雰囲気がありました。
<ジャンルが多すぎるがゆえに何なのかが伝わりづらい>
そんな陰陽寮である学生の変死事件が起こり、調査に乗り出す安倍晴明と源博雅。安倍晴明は呪術使いでありながらも、それに頼ることはなく、冷静に事実だけを集めて事件解決へと導いていきます。ここらへんは日本のドラマでもよくある弁護士モノや刑事モノのような雰囲気で、サスペンス調の作りでしたね。
で、途中で源博雅と徽子女王とのプラトニックなラブストーリーを挟みつつ、終盤は呪術を駆使したファンタジックバトルを経て幕を閉じるという流れなんですけど、、、はい、ジャンルが多すぎますね(笑)いろんなジャンルがあって飽きずに観られるんですけど、いろいろあるがゆえに浅く広くという感じで、「結局、どういう映画なんだっけ?」と感じてしまったのも事実でした。せっかくVFXの進化でド派手な呪術バトルも再現できるんですから、完全にアクション映画に振り切って「世界よ、これが日本の呪術大戦だ!」と言えるぐらいの方が個人的には好きだったかもしれません。むしろ、そっちの方を期待していました(笑)終盤の安倍晴明の呪術シーンはけっこう興奮できる作りだったので、そういうのもっと観たかったですね。続きは作れそうな終わり方だったので、もし続編があるならもっとアクションに振り切ってほしいのが個人的な希望です(笑)
<過去作との繋がりはなさそう?>
あと、今作は第1作目よりも過去の話で前日譚ということになっていますが、その過去作と唯一整合性が取れなくなっていたのが、安倍晴明と源博雅の関係です。『陰陽師』(2001)で2人は初対面だったんですけど、今回の映画ですでに学生時代に知り合っていた設定になったので、そこに矛盾が生じていますね。でも、過去作よりも安倍晴明と源博雅のバディ感が強まっていていいコンビになっていたので、今作の方がキャラクターとしての魅力はありました。
<そんなわけで>
思ったより呪術感はありませんでしたが、日本らしいファンタジー映画ってことで個人的には好きでした。なぜ安倍晴明は強力な呪術使いなのか、そして何かきっかけがあってあのひょうひょうとした性格になっていくのか、そこらへんが気になりますので、これはぜひ新しいシリーズとして続編を作っていただきたいですね。