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絶対に諦めたくないときに観たい!人類史上最も魂を揺さぶるリベンジ・マッチだった『クリード 炎の宿敵』

【個人的な満足度】

  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:Creed II
  製作年:2018年
  製作国:アメリカ
   配給:ワーナー・ブラザース映画
 上映時間:130分
 ジャンル:スポーツ、ヒューマンドラマ
元ネタなど:映画『ロッキー』シリーズ(1976-2006)
      映画『クリード』シリーズ(2015-)

【あらすじ】

ロッキー(シルヴェスター・スタローン)の指導の下、世界チャンピオンに上り詰めたアドニス(マイケル・B・ジョーダン)。そんな彼のもとに、かつて父アポロ(カール・ウェザース)の命を奪ったイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)との対戦話が舞い込む。

父の復讐を誓ったアドニスは、ロッキーの反対を押し切り、因縁の一戦に臨む。ヴィクターの反則行為により、試合には勝利したものの、納得のいく勝利を飾れなかったアドニスは、心身共に不調に陥ってしまう。

同時に、婚約者のビアンカ(テッサ・トンプソン)の出産も控え、父親になる不安も抱えていた。アドニスの母親から頼まれたロッキーは、父親がいない環境で育ったアドニスに、父親という存在の大切さをアドバイス。

やがて父親となり、しばらく一線から遠ざかっていたアドニスだが、「ボクシングが自分そのものだ」ということに気づき、ヴィクターとの再戦を決意する―。

【感想】

昨日に続き、シリーズ最新作が2023年5月26日に公開されることを踏まえ、1週間限定でのリバイバル上映ですね。『クリード』シリーズ第2作目。もうね、こんな宿命の対決あんのかってぐらいの設定に身もだえます!!

<対戦相手がまさに宿敵すぎる!>

今回はもう冒頭からびっくりでした!だって、あのイワン・ドラゴが出てきたんですから!『ロッキー』シリーズを観ている人にはおなじみですね。『ロッキー4/炎の友情』(1985)でアポロを死に追いやった張本人ですよ。で、そのドラゴの息子であるヴィクターが今回の対戦相手。アドニスからしたら父親の仇の息子ってことになりますね。つまり、親のリベンジ・マッチが子供の代で行われるってことです。まあ、アドニスからしたら自分が生まれる前の話なので、実際どこまで私怨があるかはわかりませんが、黙って見過ごすわけいにはいかないじゃないですか。ここまで“戦わざるを得ない”設定っていうのがもう濃すぎるなって。しかも、ドルフ・ラングレンやブリジット・ニールセンなど、当時の役者をそのまま起用してるのもファンからしたら興奮ポイントです。33年経ってますからね。まさかそんな昔の設定を引き継いで、役者も続投なんて、ショービズの本場はやることが違いますわ(笑)

<アドニスの復活劇>

今回の映画、テーマとしてはリベンジ・マッチってことになりますが、その裏にあるもうひとつのテーマが、アドニスの復活劇です。最初のヴィクターとの戦いでコテンパンにやられて、肉体的にも精神的にも絶不調。子供ができるのにこんなんでいいのかという不甲斐ない自分への苛立ち(ここらへん、昨年子供ができた自分としては共感度高かったです)。せっかくチャンプにまで上り詰めたのに、本人的にはどん底の気分です。

そんな彼に、父親の存在の大切さを教え、何のために戦うのかを問うたのがロッキーです。彼もまた、息子とうまく関係性が築けておらず、そもそもアポロを死なせてしまった責任も感じているんですよね。ドラゴの恐ろしさは戦った自分が一番よく知っています。その彼が復讐の鬼と化して息子にすべてを叩きこんだってことで、ロッキー自身も嫌な予感しかありません。かつてアポロを亡くし、嘆き悲しむ彼の妻の姿を目の当たりにしたロッキーからしたら、ここでアドニスに同じ道を歩ませたくないじゃないですか。もちろん、負けるとは思っていなかったとしても、その可能性はゼロにはなりません。そうなったら、アドニスの母親は夫と子供、2人を亡くすことになりますし、残されたビアンカとアドニスの子供も不憫でなりません。だから、ロッキーは当初、アドニスがヴィクターの挑戦を受けることを否定していましたし、同じ悲劇を繰り返してほしくないという自身の体験に基づく強い想いがあったんだと思います。

そんなロッキーと話すことで、アドニスも自分と向き合います。そして、何が一番怖いのかってことにたどり着くんですよ。それは、「自分の道を諦めたら何者でもなくなる」ってことです。アドニスにとっては、ボクシングは勝ち負けのためにやっているわけでもないですし、ボクシングを通じて何かを証明したいわけでもないんです。「ボクシングこそが自分」なんですよ。その答えを見つけ出して、自分で絶不調から立ち上がる姿は見習いたいなと思いましたね。結局、堕ちたときって誰かが助けてもいいんですけど、それじゃ根本的な解決にはならないんですよ。自分で這い上がって、自分で克服してようやく完全な復活を遂げることができるわけです。そうして、アドニスは勝負よりも自らの信念のために、ヴィクターとの再戦を決意します。

<圧巻のトレーニングシーン>

戦う覚悟が決まったら、あとはトレーニングあるのみ。これがもう前作以上に凄まじくて。今回は舞台を砂漠に移し、炎天下の中、「それ本当に意味ある?」みたいな根性論のトレーニングのオンパレードでした。首に重りつけてウェイトトレーニングをしたり、腹にメッチャ鉄球?みたいなのぶつけてるし、燃え盛る火に向かってシャドーボクシングはするし、『ドラゴンボール』に出てくる亀仙人のじっちゃんの修行みたいでちょっと笑っちゃいました(笑)

<ヴィクターとの再戦はすべてがクライマックス!>

終盤で行われるヴィクターとの再戦は、もう片時もスクリーンから目が離せませんでした。アドニスもヴィクターも筋骨隆々で圧倒的なフィジカルを見せつけ、互いに一歩も譲らない打ち合いの連続です。途中、アドニスはヴィクターから肋骨を折られてピンチに陥るんですが、彼は決して諦めません。誰のためでもない自分のために、自分の道を貫くために、どんなに殴られて倒れても必ず立ち上がります。その不屈の精神に感動すら覚えました。

そして、注目したいのは最後のドラゴの行為です(ネタバレになるので詳細は書きませんがw)。ロッキーがアポロにしなかったあれですね。ドラゴはロッキーに負けてから人生が狂ったとして、今回のタイトル戦は絶対に負けられない戦いでした。でも、アドニスに殴られ、傷つく息子の姿を見て、ドラゴは最後の最後でああしたんですよね。それは、復讐の鬼と化していた彼が、父親としての顔を見せるという、今回の映画の中で一番の変化だったんじゃないかなあと感じました。

<そんなわけで>

感動的なドラマと大興奮のファイトが楽しめるこの映画、もはや観ないという選択肢はないですね。『ロッキー』シリーズを追ってきた人ならもちろんのこと、「絶対諦めたくないとき」にぜひ観てほしい一本です。アドニスの不屈の精神をその目に焼きつけて、ここ一番っていうときに踏ん張れる糧になったらなって思います!


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