平和な暮らしに突如投げ込まれる喪失感が辛い『ムーンライト・シャドウ』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:196/203
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★☆☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ラブストーリー
死者との再会
【あらすじ】
さつき(小松菜奈)と等(宮沢氷魚)は、鈴の音に導かれるように、長い橋の下に広がる河原で出会った。恋に落ち、付き合うまでに時間はかからなかった。等には3つ下の弟・柊(佐藤緋美)がいて、柊にはゆみこという恋人(中原ナナ)がいた。
初めて4人で会ったときから意気投合し、自然といっしょに過ごす時間が増えていく。食事をしたり、ゲームをしたり、ゆみこが気になっているという〈月影現象〉について「もしも現実に月影現象が起きたら、誰に一番会いたいか?」を語り合ったり。何気ないけれど、穏やかで幸せな日々が過ぎていく中で、別れは前触れもなくやってきた。
等とゆみこが死んだ──。
深い哀しみに打ちひしがれるさつきと柊。愛する人を亡くした現実を受け止めきれず、ショックで食べることも忘れ、ひたすら走るさつき。そんなさつきを心配しながら、ゆみこの制服を着て何かを感じようとする柊。それぞれの方法で哀しみと向き合おうとしていた。
ある日、2人は不思議な女性・麗(臼田あさ美)と出会い、少しずつ“生きていく”という日常を取り戻していく。そして、以前みんなで語り合った〈月影現象〉に導かれていく。もう一度、会いたい、会いに来てほしい──。
その現象とは、満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない、という不思議な現象だった……。
【感想】
原作は吉本ばななさんの小説ですね。僕は未読ですが、本作はとてもアートかつポエム的な映画でした。ゆえに、映画として面白いかと言われると、、、かなり好みが分かれそうです(笑)
<静かに読書をしているかのような映画>
ストーリー自体は、事故で亡くなった恋人と、もう一度会いたいっていうややファンタジー寄りの話です。全体的にセリフは少なめで、日常が淡々と流れていくシーンが多いため、テンションの波はほぼないと言っていいでしょう。なんだか、冬のカラッとした日々に漂う、静かで穏やかな雰囲気を味わう作品だと思いました。温かいお茶をすすりながら読書をしている気分になります。
<突然やってくる悲しみに苛まれる人たち>
話に抑揚がない分、登場人物の演技や表情に目がいきます。恋人が亡くなり、突然やってきた喪失感に心がついていかない辛さは、よく伝わってきますした。さつきは行き場のない感情を走ることで発散させるも、心が晴れる様子はまったくありません。柊はゆみこの制服を着て彼女を感じようとしますが、もう彼女は戻ってきません。その健気な心情表現はうまいなと感じました。
<月影現象とは>
結局、最後に恋人に会えたかどうかは、、、とてもわかりづらいですね。あれは夢か幻か、それとも現実なのか。個人的には夢だったのかなって思いますが。ただ、どのような形であれ、自分の思い出にケリを着け、再び前に向かって進もうという気持ちになれたのなら、それはそれでよかったのかと。月影現象って、要はプラシーボ効果のようなもので、何をするにしても自分次第だったんじゃないかなって思います。
<その他>
それにしても、あの地下水について語っていたおじいさんは必要だったのかな。。。これは原作を読んでから観に行った方がいい気がしました。