
戦地へ送られた夫の帰りを待つ妻たちが始めた合唱が大きな話題となった『シング・ア・ソング!〜笑顔を咲かす歌声〜』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:44/75
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
ヒューマンドラマ
音楽
合唱
【元になった出来事や原作・過去作など】
2009年に結成された軍人妻の合唱団に着想。
【あらすじ】
愛する人を戦地に送り出し、最悪の知らせが届くことを恐れながら、イギリス軍基地に暮らす軍人の妻たち。大佐の妻ケイト(クリスティン・スコット・トーマス)は、そんな女性たちを元気づけ、共に苦難を乗り越えるための努力を惜しまないが、その熱意は空回りするばかり。
そんな中、何気なく始めた“合唱”に、多くの女性たちが笑顔を見せ始める。女性たちのまとめ役リサ(シャロン・ホーガン)も、かつて慣れ親しんだキーボード・ピアノをガレージから引っ張り出し、積極的に関わり始める。
しかし、ケイトとリサは方針の違いで衝突を繰り返し、集ったメンバーたちもまとまりがなく、てんでバラバラ。担当将校も耳を覆う有り様だったが、心情を吐露するように共に歌い続けるうちに、同じ気持ちを持つ仲間として互いを認めていく。担当将校も耳を覆う有り様だったが、情を吐露するように共に歌い続けるうちに、同じ気持ちを持つ仲間として互いを認めていく。
心がひとつになっていくにつれ、次第に美しい歌声を響かせるようになった合唱団のもとに、ある日、毎年大規模に行われる戦没者追悼イベントのステージへの招待状が届く。
思いがけない大舞台に浮足立つ妻たちだったが、そんな彼女たちの元に舞い込んだのは、恐れていた最悪の知らせだった——。
【感想】
軍人の妻たちによる合唱団を題材にした面白い設定の映画でした。日本では軍人というのがあまり身近ではないので、ちょっとイメージしづらい部分はありますけど。
<軍人妻のコミュニティ>
感想というよりも予備知識みたいになってしまいますが、この映画は、2009年に愛する人を戦況が激化するアフガニスタンへ見送り、その帰りを待ちながらイギリス軍基地で暮らす女性たちが、合唱団を結成するという実話に基づいた話です。現在では、英国と海外に75個の合唱団があり、2,300人以上の軍に関係する女性が所属しているらしいです。
先にも書きましたが、日本では軍人というのが身近にいないので僕もわからなかったんですけど、軍人の妻たちってコミュニティがあるんですね。商社の駐在妻の集まりみたいな感じでしょうか。そのコミュニティ内で何をやろうかって話し合うシーンもあるんですけど、僕の感覚からすれば、コミュニティ活動なんてやる気は人それぞれだろうから億劫に感じないのかなあなんて思ってました。ところが、このコミュニティ活動(ここでは合唱ですが)の果たしている役割は、実際にはかなり大きいようです。
戦地にいる夫の状況に常に不安を抱えながら帰りを待つ身だし、任務によっては転居も多く、妻においてはなかなか友達もできづらいそうなんですね。歌をうたうことで、そういうストレスの緩和にもつながっているとか。
<バラバラのメンバーがひとつになっていく王道ストーリー>
流れで始まった合唱活動ですが、ケイトとリサの2人のまとめ役の対立や、それぞれが抱える家庭の問題を織り交ぜながら、まとまりのなかったメンバーたちの心が団結していく過程は、王道の流れでとてもわかりやすかったです。
個人的には、終盤で起こるケイトとリサの罵り合いに圧倒されましたね。よくもまあここまで自然と下ネタがペラペラ出て来るもんだと。しかも、ケイトの悪口の矛先はリサ本人ではなく、リサの娘ですからね。いくらその前段があったとはいえ、娘関係ないじゃんって思いました。しかも、結局娘に謝ってないし(笑)
<見え方としてはやや地味>
この映画は、バラバラだったみんながひとつになっていく過程そのものを楽しむのがメインです。やっていることは合唱で特に大きな動きもないので、映画として観るとちょっと盛り上がりに欠ける部分はあります。歌はすごく素敵ですけど。
ただ、この合唱って軍人たちの士気を高めるとかではなく、あくまでも妻たちが夫の帰りを待つ間に始めたら、あれよあれよという間に有名になったというものなので、軍人を身近に感じる人ならまだしも、そうでない身からすると、そこまで感情移入はしづらいかもしれません。
<そんなわけで>
同じ歌を題材にした映画としては『ピッチ・パーフェクト』シリーズが僕は好きなんですけど、あのようなコミカルさはないものの、有名な曲も流れるので、洋楽が好きな人なら楽しめるかと思いました。