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サイコパスな少女がとある家族をズタボロにしていく狂気がスリリングな『エスター ファースト・キル』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:23/53
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆
【作品情報】
原題:Orphan: First Kill
製作年:2022年
製作国:アメリカ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
上映時間:99分
ジャンル:スリラー
元ネタなど:映画『エスター』(2009)
【あらすじ】
2007年、アメリカで暮らすオルブライト家は、4年前に6歳で行方不明となった愛娘エスターの失踪事件に今なお心を痛めていた。
そんなある日、エスターが保護されたという思いがけない知らせが夫妻のもとに届く。この奇跡のような出来事を手放しで喜ぶ一家。驚くほど成長したエスター(イザベル・ファーマン)は聡明で才能も豊か。画家の父親に昔以上にべったりだった。
また、あの幸せな時が帰ってくるはずだったが……。
【感想】
『エスター』シリーズ第2作目。衝撃の前作から13年。まさか続編をやるとはね。。。しかも、しかも前作より2年も前の物語だなんて。。。サイコパスすぎる少女エスターの狂気が相変わらず凄まじくて、個人的にはすごく楽しめました。
<イザベル・ファーマンの続投というチャレンジングな試み>
この映画、まずすごいなと思ったのが、主人公エスターを演じたイザベル・ファーマンが続投してるところですよ!前作の撮影時は10歳だった彼女も、今作の撮影時は23歳。実に13年も時が流れています。顔も身長も成長してますよ。なのに、物語は前作の2年前という設定。
これ、どうやって撮影したかっていうと、実はCGにはほとんど頼っていないらしいんですよ。遠近法や特定のアングルでの撮影、ボディダブルの起用などで、観客が目にする9割の映像は実際に撮影したものを使っているそう。それで本当にあのエスターになってるんだからびっくりなんですよね。詳しくは以下のメイキングからどうぞ。
<前作ほどの衝撃は少ない>
内容についても、前作でエスターが孤児院に来る前の話ということで、彼女への理解が深まる話にはなっていました。ただ、正直、衝撃とかサプライズとか、そういうのはなかったですね。まあ、前作があまりにも刺激的な内容だったっていうのと、今回、僕はすでにエスターの秘密もわかってはいたので、そこまで驚くようなことはありませんでした。とはいえ、エスターの狂気っぷりは健在で、人を10回以上も刺すシーンなんかは彼女の猟奇的な性格をよく表していてゾクゾクしましたね。。。前作ではそれを10歳の子役がやってたっていうことがいまだに信じられません。
<どちらかといえばバイオレンス寄りな今作>
このシリーズは、エスターの不気味かつ猟奇的なキャラクターがウリですが、映画の雰囲気としては前作と今作でちょっと違いを感じました。前作はエスターの秘密がまだわからなかったこともあって、彼女の存在自体が謎めいているんですよね。「一体こいつは何なんだ」というわからないことへの恐怖みたいなものをすごく感じたんです。
一方で今作は、すでにエスターの秘密がわかっている分、わからないことへの恐怖というのがなくなった分、意識がフィジカルなダメージの方にいっちゃうんですよ。スプラッターってほどではないんですが、若干そっち寄りで、怖いというより痛々しい印象が強かったです。
あと、今作はちょいちょいツッコミどころもありまして(笑)例えば、冒頭で壁に頭を打ちつけられる職員は、エスターの力じゃそんなにダメージ受けないだろって思ったり。終盤の火事だって、ガスコンロの火に気づくだろって思ったり。そういうのも踏まえて、個人的には前作の方が秀逸だと感じました。
<そんなわけで>
この映画は、小さな女の子があんな残酷なことをしちゃうんだっていうギャップを楽しむ作品ですね。今回は序盤でエスターの秘密についても語られちゃっているので、これを観るならまずは前作を観ることを強くオススメします。今作を観てからの前作だと、衝撃がまったくなくなっちゃって、作品の魅力が大きく損なわれてしまうかもしれません。