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とてつもなく興味深い内容だけれど、映画オタクかヒッチコックファンか映画製作に携わる人以外にはまったく刺さらないであろう『ヒッチコックの映画術』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:127/138
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:My Name Is Alfred Hitchcock
製作年:2022年
製作国:イギリス
配給:シンカ
上映時間:120分
ジャンル:ドキュメンタリー
元ネタなど:映画監督「アルフレッド・ヒッチコック」(1899-1980)
【あらすじ】
“サスペンス映画の神様”とも称されるアルフレッド・ヒッチコック。監督デビューから100年。映像が氾濫するこの時代においても、ヒッチコック作品は今なお映画を愛する者たちを魅了し続けている。
本作は「本人」が自身の監督作の裏側を語るスタイルで、その“面白さの秘密”を解き明かしていくドキュメンタリー作品である。膨大なフィルモグラフィと過去の貴重な発言を再考察し、観客を遊び心と驚きに富んだヒッチコックの演出魔法の世界へと誘ってくれる。
【感想】
タイトルの通りですけど、アルフレッド・ヒッチコックの映画製作の裏話が聞ける貴重なドキュメンタリー映画です。ただ、これはもう相当に観る人が限られる内容だと思いました(笑)
<そもそもヒッチコックって知ってる?>
アルフレッド・ヒッチコックを知っている方ってどれぐらいいるんでしょうかね。「サスペンスの巨匠」や「スリラーの神様」などと呼ばれ、映画史上最も影響力のある映画監督のひとりとされているぐらいの大御所です。大御所というよりもはやレジェンドですね。ただ、今の若い人で知っている人はあんまりいなそうなイメージです。亡くなって40年以上経ちますし、彼の作品で続編やリメイクが作られたものも聞かないですから。年齢にもよると思いますが、30代ぐらいまでなら相当な映画好きじゃないとあまり知っている人いなそうな気がします。というのも、僕自身が小学生のときに映画好きな父親に『鳥』(1963)を観せられなければ、おそらく名前を聞いたことがあるレベルに留まっていたかもしれないなあと思いまして。そもそもヒッチコックって僕が生まれる前に亡くなっていますしね。ちなみに、『鳥』を観せられた理由は、当時の自由研究のテーマが鳥だったからっていうだけなんですけど(笑)
<ものすごく豪華な副音声映画>
本作は全部で6つのパートから構成されています。
逃避:登場人物が何かから逃げること
欲望:登場人物のしたいこと
孤独:登場人物の置かれた状況
時間:劇中での時間経過の使い方
充実:映画製作におけるヒッチコックのスタンス
高さ:高い位置からの撮影
このそれぞれについて、ヒッチコックの過去作を引き合いに出し、「こういう意図があった」、「こういう表現をしたかった」という話が聞けるということが聞けます。面白いのが、それがインタビュー形式ではなく、ヒッチコック本人が自らの作品について振り返るスタイルをとっているところです。まあ、本人は40年以上も前に亡くなっているので、別の方が吹替をやられているのですが、まるで副音声を聞いているかのような感覚なんですよね。よく映画のDVDやブルーレイの特典で音声解説付きの映像もありますが、あんな感じです。なので、ドキュメンタリーといってもヒッチコック本人の生い立ちについてはノータッチで、あくまでも映画の裏話にしか触れていません。
引用される映画は多岐にわたり、往年の名作を再びスクリーンで観られるのはファンにとってはうれしいポイントだと思います。そこで、若き日のショーン・コネリーやグレゴリー・ペック、グレース・ケリーやイングリッド・バーグマンなどを拝めるのもまた貴重な点ですね。その上、各作品について本人風の解説が聞けるとあったら、ニッチだけど刺さる人には刺さりますよ~、これ。
<映画を観てないとなんのこっちゃ(笑)>
ただ、このドキュメンタリーを観て感じたのは、結局、各映画を観ていないと「ふむふむ」で終わってしまうんですよね(笑)僕は『裏窓』(1954)と『めまい』(1958)、『鳥』しか観ていないので、その3作品については理解が深まったものの、それ以外に関しては本当に「ふむふむ」って感じで(笑)いや、それでも製作の裏側とか好きなので、個人的には楽しめはしたんですけどね、やっぱり観てないとわからないなって。だから、このドキュメンタリー映画を最大限楽しむには、過去のヒッチコックの映画を全部観ているのが理想なんだと思います。
<そんなわけで>
最初にも書いた通り、かなり観る人が限られる内容だと思います。よほどの映画好きか、ヒッチコックファンか、あとは映画製作に携わる人にしか刺さらなそう。特に映画製作を生業としている人なら、ある意味教科書的な感じにはなるかもしれません。興味があればぜひ(笑)