親子ほど年の離れた未成年の少女との性的関係を日記にしたためて出版しちゃう作家を描いた胸糞映画『コンセント/同意』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:82/100
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:Le consentement(Consent)
製作年:2023年
製作国:フランス・ベルギー合作
配給:クロックワークス
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:告発本『Le Consentement』(2020)
公式サイト:https://klockworx.com/movies/consent/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
文学を愛する13歳の少女ヴァネッサ(キム・イジュラン)は、50歳の有名作家ガブリエル・マツネフ(ジャン=ポール・ルーヴ)と出会う。彼は自身の小児性愛嗜好を隠すことなくスキャンダラスな文学作品に仕立て上げ、既存の道徳や倫理への反逆者として時代の寵児となった著名人だった。
やがて14 歳になったヴァネッサは彼と<同意>のうえで性的関係を結び、そのいびつな関係にのめり込んでゆく。それが彼女の人生に長く暗い影を落とす、忌むべきものになるとも知らず……。
【感想】
ようやく今年100本目の映画です。実在する作家ガブリエル・マツネフとかつて性的関係を結んだヴァネッサ・スプリンゴラの告発本に脚色を加えたフィクション。フィクションとは言うものの、内容自体は現実に即したものになっており、それがまた衝撃的な内容でした。公式サイトにも「性加害のシーンがあるため予め了承ください」という旨のお知らせが出るほど。(特に女性は)観る際には注意した方がいいかもしれません。
<年の差カップルに偏見はないとはいえ>
個人的には「恋愛に年齢は関係ない」とは思っています。が、そう頭ではわかっていても、いざそういう事例が目の前にあったら、やはりいろいろ考えてしまうでしょう。いや、それでも10歳とかならいいんですけど、例えば、この映画のように36歳も年の離れた間柄ならなおさです。片や50歳のハゲたおっさん。片や14歳の少女。誰もこの2人が男女の関係だとは思わないでしょうよ。
マツネフはもともと小児性愛者ってこともあるので、一目見たときからヴァネッサにゾッコンとなり、ラブレターを送りまくるんですが、それがヴァネッサに刺さっちゃうんですよねー。もう普通の14歳がなんでそんな父親よりも年上のハゲたおっさんに惹かれるのかわからないんですが(笑)もともと文学少女だったので、彼のポエムな文面に惹かれたからかもしれませんし、両親が離婚して父親がいなかったので父性を求めていたのかもしれません。何はともあれ、2人はお互いに愛し合い、同意のもとで肉体関係を結びます。雪のように白い肌に重なるしわしわの茶色い肌という対比は、「一体何を見せられているんだ?」と自問するぐらい異様な光景でしたけど。
<年齢の隔たりは価値観の隔たり、か>
ここまでなら、年の差カップルのラブストーリーに見えなくもないんですが、、、ただ、やっぱりここまで年齢が離れていると、価値観というか恋愛観のギャップも大きいのかもしれません。ヴァネッサは当初はあまり乗り気ではなかったのに、どんどんマツネフに依存していくようになります。片時も離れたくないとわめき散らし、彼のことが好きすぎて急性関節リウマチを発症してしまうほどに狂っていきます。
が、一方でマツネフはそうではないんですよ。最初は彼の方が熱を上げていたんですけど、彼にとっての恋愛は作品のネタでもあり、長く同じ人とはいっしょにいようと思っていないんですよね。現に、ヴァネッサの前にも他の少女と関係があり、ヴァネッサとの関係も終盤に近付いてくると、また別の少女といっしょに出歩くぐらいには常に若い子を求めています。それに、彼はマニラに買春旅行に行くなどしてますし、その上で自身の性的関係を日記にして出版しているっていうんですから、倫理観は相当バグってますね。だから、ヴァネッサには自分の著作を読むことを禁じていたのですが、、、結局それがバレてしまい、ヴァネッサとの関係も本にされたこともあって2人の関係は終わりを迎えることになります。
結局、2人の関係は1年半ほど続きましたが、ヴァネッサ自身はマツネフとのことに長年苦しめられることになります。そんな彼女が取った行動は、マツネフによって本の中に閉じ込められたことを、彼にそっくりそのまま返すこと。つまり、彼との関係を告発本として出版したのです。実に35年近く経ってからのことですけど。
<"同意"という行為の難しさ>
お互いが親しみと敬意を持って接することができれば、恋愛に年の差は関係ないとは思うんですけどね、36歳も離れていると現実的に難しいですよね。また、小児性愛者に対するイメージは国や文化によって多少の差はあるかもしれませんが、マツネフのように複数の少女を囲うだけでなく、買春旅行までするというのは、法的に捌けなくとも社会的には相当な批判にさらされますよ。あと、マツネフにはモラハラ気質なところもあって、ヴァネッサを自分の所有物のような振る舞いをしていたので、総じて「ヤベェやつ」だとは感じました。劇中では、いわゆる嫌がる彼女を無理矢理犯すというようなレイプ的な“性加害”はなかったと思いますけど、結局は、年齢やパワーバランスに大きな差がある場合には、例えそのときは同意があったとしても、後からその同意自体が適切なものではないとわかりますし、その時点でもう加害者と被害者になってしまうんだなと思いました。
<そんなわけで>
50歳のハゲたおっさんに、結果的に利用された少女を描いたある意味胸糞な映画でした。ちなみに、マツネフの書いた本は英訳・日本語訳ともにないらしいですね。いや、内容的にNGだろうなとは思いますけど。なお、マツネフは88歳で今もご存命です。
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