ブヒブヒブヒヒ。豚をメインとして動物たちと同じ目線で彼らの日常を切り取った『GUNDA/グンダ』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:155/281
ストーリー:ー(ストーリーなし)
キャラクター:ー(人格あるキャラなし)
映像:★★★★☆
音楽:ー(BGMなし)
映画館で観るべき:★★★★☆
【要素】
ドキュメンタリー
農場
動物
豚
牛
鶏
ナショナルジオグラフィック
【元になった出来事や原作・過去作など】
・なし
【あらすじ】
ある農場で暮らす母ブタGUNDA。生まれたばかりの子ブタたちが、必死に立ち上がり乳を求める。一本脚で力強く地面を踏み締めるニワトリ。大地を駆け抜けるウシの群れ 。
迫力の立体音響で覗き見るその深遠なる世界には、ナレーションや人口の音楽は一切ない。研ぎ澄まされたモノクロームの映像は本質に宿る美に迫り、驚異的なカメラワークは躍動感あふれる生命の鼓動を捉える。
ただ、そこで暮らす生き物たちの息吹に耳を傾けると、誰も気に留めないようなその場所が、突如“無限の宇宙”に変わる――。
誰も観たことのない映像体験が待ち受ける。
【感想】
農場を舞台にしたドキュメンタリー映画です。動物たちの息遣いが聞こえてくるほどの距離感。まさに大自然の中にいるかのよう。こういう映画こそ、IMAXやVRで観たいなと思いますね。エグゼクティブ・プロデューサーには、あのホアキン・フェニックスが名乗りを上げています。
ストーリーもないので、ネタバレって概念はないんですが、ラストについて触れているので、知りたくない方はここでそっ閉じしてください。
<映像だけに特化した作り>
このドキュメンタリー映画には、ナレーションはありません。むしろ、人間は一切出てこないんですよ。起承転結の物語もなければ、字幕もないし、BGMも流れません。あるのは、モノクロの映像と、自然の音だけ。
母ブタと子ブタの日常を映し出しただけの、シンプルゆえのメッセージ性の強い作品。だからこそ、映画館で観るべき映画だと思います。
<子ブタがかわいい>
ウシやニワトリも映りますが、メインはブタです。冒頭は子ブタの出産から始まります。生まれてすぐ母ブタの乳を吸う姿に、生きようとする生命の力強さを感じます。ブヒブヒ言いながら、兄弟たちと競い合うように乳に群がる姿に癒されます。これが生きるということなんだと、生命の神秘を味わえます。
<脅威のカメラワーク>
この映像のすごいところは、動物たちとの距離感なんですよ。かなり近づいて撮っていると思うんですが、動物たちがまったく警戒していないどころか、気にすら留めていません。たまに子ブタが気づいて寄ってきますけど。ほぼ完全に自然と一体化しているかのようで、まるで自分たちがその農場にいるかのような錯覚さえ起きます。動物の目線から見た日常を切り取っているような感じがして、気持ちが安らぎます。人によってはかなり退屈かもしれませんが、自然や動物が好きな人なら、ずっと観ていられるはず。
<母ブタへの感情移入>※ネタバレです。
締めくくりは心が痛みました。気づいたら大きくなってる子ブタたち。用途は不明ですが、突然母ブタから引き離され、トラックで連れて行かれてしまうんですよ。ここも人間たちは映していませんが、人の手で移動させられていますね。
呆然と立ち尽くす母ブタ。何が起きたのか理解できていない様子。辺りをくるくる周り、立ち止まり、また歩き出す。それが20分近くも続きます。
状況は把握できていないものの、自分の子供がいなくなったことだけはわかっているようでした。豚の脳がどこまで認知できるのか、感情があるのかはわかりませんが、人間の目を通して見ると、突然訪れた悲劇に成す術なく、ひたすらうろつくしかできないように見えました。
人間からしたら、農場ってそういうところでしょって感じですが、この映画ではあくまでも動物に寄り添った視点での映像が続いていたので、人間の目から見てもラストはちょっとショックでした。
<その他>
『ナショナルジオグラフィック』とか好きな人ならハマる映画だと思います。モノクロではあるんですけど、外に出づらい雰囲気の今、動物や自然の映像を観たいときにはちょうどいいかもしれません。年末年始の癒しにどうぞ。
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