北米でA24ホラー史上最大ヒットですでに続編決定!ドラッグの悪ノリと『エクソシスト』を見事に掛け合わせた秀逸なホラー映画『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:78/176
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:Talk to Me
製作年:2022年
製作国:オーストラリア
配給:ギャガ
上映時間:95分
ジャンル:ホラー
元ネタなど:なし
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
母を亡くした高校生のミア(ソフィー・ワイルド)は、気晴らしに仲間とSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」に参加してみる。
ミアたちはそのスリルと強烈な快感にのめり込み、チャレンジを繰り返していくが、仲間の1人にミアの母の霊が憑依し——。
【感想】
これは本当にうまく作られたホラー映画でした!各レビューサイトの評価は現時点でそこそこなんですが、僕はこれを全力で応援したいです!
<既存要素の組み合わせがうますぎる>
この映画、何が一番面白いかって、すでに広く遍く知られている既存の要素の掛け合わせが上手なんですよね。まずはこの映画でメインとなる「#90秒憑依チャレンジ」についてなんですが、これ、人間の手の剥製を使うんですよ。ただの置物かと思いきや、霊媒師だか何だかの本物の手を使っているという設定らしく。それを掴み、「トーク・トゥ・ミー」と唱えると、目の前に死者が現れます。その後に「レット・ユー・イン」と言うと、その死者が自分の体に入って来るんです。90秒経ったら、手の剥製から参加者を引き離しておしまい。もし90秒を過ぎてしまうと、死者が体の中に入ったままになってしまうという、ちょっと日本のこっくりさんを思わせる内容ですね。で、この憑依している状態がどうやら「ぶっ飛んでいる」感覚らしく、味を占めたミアたちは次々に死者を憑依させていきます。このドラッグをキメまくっているような雰囲気と、体に霊を憑依させるという『エクソシスト』(1973)のような設定が、ティーンの悪ノリに見事にマッチしているんですよ。これはもうドラッグ文化があるからこそ成し得た世界観かもしれません。
<物語一気に急展開>
で、本題はここからです。いついかなるときも悪ノリの代償ってのはあるんですが、それはこの物語でも同様です。憑依する霊はランダムっぽいんですけど、自殺したとされるミアの母親が、たまたま友達であるジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)の弟ライリー(ジョー・バード)に憑依しちゃったんですよ。もともとライリーは15歳未満で危険だからという理由で、憑依時間を50秒までとしていたんですが、ミアは母親と話したいがために、それを大幅に過ぎてもライリーから霊を出さなかったことで、彼がおかしくなってしまいます。
ミアたちはライリーを救うためにあの手この手を尽くすものの、もはや打つ手が見つからないどころか、なぜかミアも霊が見えるようになってしまい、物語はとんでもない結末へ。。。これはネタバレできないのであえて書きませんが、ラストは『世にも奇妙な物語』のようで、白黒つけずに負の連鎖が続いていくような感じが、いろいろ解釈できる余地を残してくれてよかったですね。
<気になる点>
解釈の余地も含めて、個人的に疑問に感じるところはいくつかあります。まず、そもそもミアって何でジェイドの家族と仲がいいんだっけということです。もはやジェイド家の一員ってぐらい仲がいいんですけど、そこまで絆が深い経緯がちょっときになりました。
次に、ミアが霊を見えるようになった理由です。実は、彼女も初回のチャレンジで90秒をちょっとだけ過ぎてから手の剥製から引き離されているんですけど、このオーバーしたちょっとの分によって、彼女の体に霊が少し残るような形になってしまったんですかね。劇中ではそれぐらいしか判断材料がないんですけど。
そして、ラストの結末です。これはもう観た人にしか伝わらないと思うんですけど、ミアのラストの行動、なんか不自然じゃないですか?僕は母親への愛情が深かったからああなったのかなとも思うんですが、もしかしたら、ミアだったらそう行動するだろうと予想して霊たちが誘導した、つまり、最初から狙いはミアだったっていうふうにも考えちゃうんですよね。ここらへんはいくらでも解釈できそうですけど。
<そんなわけで>
尺も短めですし、テンポもよかったですし、それでいてほどよい怖さで、エンタメ性の高いホラー映画としてオススメしたいです。ミアのその後も気になりますし、あの手の剝製が残っている以上はいくらでも続きが作れそうなので、今から続編が楽しみです。監督が双子のYouTuberってのも今どきって感じで期待できますね!