原作と監督が世紀のミスマッチ!?とにかくギャグがしつこすぎて「やっぱりこうなったか……」と落胆した『アンダーニンジャ』
【個人的な満足度】
2025年日本公開映画で面白かった順位:8/9
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:-
製作年:2025年
製作国:日本
配給:東宝
上映時間:123分
ジャンル:アクション
元ネタなど:漫画『アンダーニンジャ』(2018-)
公式サイト:https://underninja-mv.com/
【あらすじ】
※映画.comより引用。
太平洋戦争終結後、日本へ進駐したGHQが最初に命じたのは「忍者」組織の解体だった。それにより、忍者の存在は消滅したかに見えた。しかし彼らは世界中のあらゆる機関に潜伏し、現代社会でも暗躍を続けていた。
忍者組織「NIN(ニン)」の末端に所属する忍者の雲隠九郎(山﨑賢人)は、暇を持て余していたある日、重大な任務を言い渡される。それは、戦後70年以上にわたり地下に潜り続けている、「アンダーニンジャ」と呼ばれる組織の動向を探るというものだったが……。
【感想】
※以下、敬称略。
『週刊ヤングマガジン』にて連載されている『アンダーニンジャ』(2018-)の実写映画化。原作漫画は8巻まで読んでいましたが、今回の映画もその8巻までの内容です。監督が福田雄一っていうこともあって不安ではありましたが、、、案の定、福田節にまみれて僕が思う原作のよさが損なわれてしまっていました。。。
<漫画は面白い>
個人的に漫画は好きなんですよね。戦後GHQによって解体された忍者たちが、実は水面下では生き延び続け、現代でも様々な任務をこなしているという設定。そこで、忍者組織のNIN(ニン)とそこから離反したUN(アンダーニンジャ)たちで攻防を繰り広げていく。シュールなギャグ要素とスプラッター表現も多い上に、敵対勢力同士の複雑な関係性など見どころ抜群です。
<原作のよさを引き出せなかった今回の実写映画>
がしかし、それが今回の映画でうまく表現されていたかと言うと、答えはNoです。まあ、2時間の尺に収める必要があるから、話が飛び飛びになってしまうのは仕方ありません(なので、原作漫画を読んでいないとかなり唐突に感じることが多いと思います)。問題は作品の持つ世界観が変わってしまったことです。原作漫画は基本シリアスでダークな雰囲気なんですけど、ちょいちょいシュールな笑いを挟んでくるのがポイントです。それをキャラクターたちが淡々とサラッとやるもんだから、それが平常運転というか、普通の会話のように受け流してしまうほどには自然な感じなんですよね。
キャラの表情があまり変わらない画風あってのシュールさだと思うので、そのまま実写化しても不自然になってしまうがゆえに変えたのかもしれませんが、それにしても実写版はひどかったです。もちろん、好みの問題もあるとは思いますが、相変わらず笑えない福田節が炸裂ですよ。しかも、しつっこいんですよね、ギャグが。九郎(山﨑賢人)と大野さん(ムロツヨシ)の酒を勝手に飲んだ飲まないのやり取りとかまったく笑えないのに体感10分ぐらい同じことを繰り返して。しかも、途中で演者が笑ってるという内輪感が嫌でした。吉田さん(佐藤二朗)とか奇行に走りすぎて、それ吉田さんじゃなくて佐藤二朗じゃんって感じで。野口(浜辺美波)なんか無駄な変顔とハナクソネタで、それ監督の趣味でしょって。あと、昭和のギャグアニメのようなふざけた効果音も違和感ありましたね。。。この実写化、果たして正しかったんでしょうか。。。福田ワールドはもっと別のコメディ漫画の実写化やオリジナル作品とかでやってもらった方が。。。まあ、それでも昨年の『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』(2024)で相当痛い目を見たのでね、もう何をやっても僕はハマらないかもしれませんが(笑)うーん、この漫画は佐藤信介監督の方が向いてそうな気もするんですけど、、、いや、もしかしたら原作者が本来はこういう作風にしたかったってていうこともなきにしもあらずですかね。。。
<アクションも悪くはないけど、いまひとつ……>
この映画のウリのひとつにアクションもあるんですが、いや、これはこれでかっこよかったんですよ。でも、先日観た『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(2024)を観た後だとどうしても霞んでしまいますね。。。(笑)もともと今回の映画は予告での豪快なアクションに期待して観たんだですが、まさか『トワイライト~』があそこまでやるとは思わなかったので。香港の放つカンフー映画はちょっとまた別次元ですよね。役者がみんな動けますから。こちらはみんな顔は綺麗なので"止め"のシーンは画になるんですけど、動くと少しなよっとした印象を受けます。もちろん、アクションの見せ場となる部分はスタントダブルがやっているとは思いますけど、動き出しや動き始めのおそらく役者本人がやっているであろうところは、若干テンポが悪くなるように感じました。せめて攻撃がヒットした瞬間の効果音をもう少し重い音にした方が迫力出た気がします。
<キャラクターの再現度自体は悪くない>
今回の映画で唯一救われたのが、一部再現度の高いキャラがいたことですね。一番は、冒頭の外国人。彼が一番似ていたと思います。次に、加藤役の間宮祥太朗。あの鋭い目つきは加藤そのものでした。そして、九郎役の山﨑賢人。あのけだるい感じ、意外と合ってましたね。さすが、これまで数々の実写映画に出ていただけあって、キャラクターに寄せることに慣れているのかもしれません。他にも実写で観たいキャラクターはいたんですけど、尺の関係でけっこう削られていました。
<そんなわけで>
原作漫画の世界観と予告のアクションに惹かれましたが、ゆーても福田雄一監督作品だったという感じですね。とにかくギャグの尺が長くてしつこすぎるのが観ていて辛かったです。。。続編は、、、ないだろうなあ。。。