飛行機が海に墜落してサメに襲われるという次から次へと絶望がやってくる超詰み系映画『エア・ロック 海底緊急避難所』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:84/95
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆
【作品情報】
原題:No Way Up
製作年:2024年
製作国:イギリス
配給:ギャガ
上映時間:91分
ジャンル:パニック、スリラー
元ネタなど:なし
公式サイト:https://gaga.ne.jp/airlock/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
州知事の娘・エヴァ(ソフィー・マッキントッシュ)は恋人と友人との卒業旅行のために、10歳のローザ(グレース・ネトル)は陸軍出身の大好きな祖父母との3人旅行のために、CAのダニーロ(マヌエル・パシフィック)は彼氏との同性婚を夢見ながら大型旅客機に乗り、南国メキシコのリゾート地・カボへと向かっていた。
だが飛行中、エンジンに鳥が激突して機体は高度2万フィートから、遥か海底へとあえなく墜落…。生き残ったのはエヴァとローザを含む僅か7名のみ。そして、生き延びられる場所は機内のエア・ロック、ただ一カ所だけ。
生存者たちは身を隠すように救助を待つが、そこは、決して安全ではなかった。襲い来る水圧、失われていく酸素、そして遂には海の捕食者が、機内に忍び込んで来る。飛行機内をたゆたう人喰いザメ。そこには違和感と恐怖しかないのだったが――。
底なしの海底で刻一刻と生還不能へのカウントダウンが刻まれる!!
【感想】
「こんな状況になってみ?もう考えることすら諦めたくなるほどの絶望に襲われるから」。そう言いたくなるぐらい詰んだ状況がスリリングすぎる映画で、B級感はありますが、個人的にはそれなりに楽しめました。
<飛行機の墜落が事の発端>
とにかく不運としか言いようがないんですよ、主人公が。誰もせいでもなく、偶然に偶然が重なっただけ。それでいて人間の力じゃどうすることもできないところに無力感しかありませんね。最初の不運は飛行機の墜落でした。バードアタックでエンジンが爆発。飛行機の機体がベリベリってはがれて、乗客が外に吸い込まれちゃうんですよ。気圧の関係なんですかね。現実に体験することはまずないから実感することはできませんが(できたら死ぬw)、掃除機に吸い込まれるように人が外にバビューンってすっ飛んじゃいます。調べたところ、体が宙に浮いた状態から落ちて死ぬことを墜死(ついし)と言うらしいです。ここは『ファイナル・デスティネーション』(2000)の冒頭の予知夢シーンを彷彿とさせました。
<海に落ちてからが本当の恐怖の始まり>
で、飛行機はそのまま海に墜落するんですけど、すぐに沈んじゃうんですよね。普通もう少し浮いてそうなものだけど、何を急いでいるのかブクブクと海底へ。。。幸い、とんでもない深さではないところに着くんですが、地面が傾斜30度ぐらいの斜面になっていて、その先が水深何メートルかもわからない真っ暗な闇。陸で言うところの断崖絶壁みたいな感じですね。徐々に機体がすべって奈落の底に落ちようとするスリルもまた怖いです。ちなみに、墜落した時点ではまだ息のあった人ももしかしたらいたかもしれませんが、海に沈んだことで生存者がいる可能性はほぼ絶望的。こういうのを水死の類義語で浸死(しんし)って言うらしいですが。
エア・ロックにいて何とか生き残ったエヴァたち7人ですが、酸素量が限られている上に、水圧で機体が歪む可能性もあるから、早く救助されないとどのみち命の保証はないんですよ。そこで、エヴァのボディガードだったブランドン(コルム・ミーニイ)が、医療用の酸素ボンベを持っている客がいたという情報をもとにそれを探しに水に潜るんだけど、そこにいたのがサメですよ。もはやなんでこんなところに1匹だけいるのかわかりませんが、こいつがもう隙あらば生存者を食べる食べる。空から落ちてきた上に、今度は海底で酸素と水圧とサメに苛まれるとかいくら何でも詰みすぎでしょ~って思いました。あまりの不運の連続さにちょっと笑っちゃいましたけど(笑)
<意外と感動するシーンも>
最終的には、途中何人か失いながらもサメは泡が苦手という「ほんまかいな」レベルの秘策を駆使して無事に海底から脱出はするんですが、その過程でこの手の映画にしてはめずらしく感動的なシーンがあったのも注目ポイントです。ローザと祖母のやり取りがね、、、自分の娘と母親とかぶってちょっとうるっときました。てか、脱出するとき、あの水深から生身の体で海に出て水圧的に問題なかったのかは疑問でしたけど(笑)
<そんなわけで>
暑い夏にヒヤリとするというか、もう絶望しかない映画ではありますが、思ったよりは無理矢理な持っていき方もなく、ちょっと感動的な要素もあったりで個人的には意外と楽しめました。結論、家の中にずっとこもっていることが一番の安全ですなあ(笑)