シュール!はちみつも友達もいらない!ただ憎悪に支配され血肉を欲する悪の権化となった大人気キャラクターのスプラッター映画『プー あくまのくまさん』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:89/90
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆
【作品情報】
原題:Winnie the Pooh: Blood and Honey
製作年:2023年
製作国:イギリス
配給:アルバトロス・フィルム
上映時間:84分
ジャンル:ホラー、スプラッター
元ネタなど:児童小説『クマのプーさん』(1926)
【あらすじ】
楽しい冒険に満ち溢れていたかつての日々は終わりを迎え、青年になったクリストファー・ロビン(ニコライ・レオン)は、大学進学のためプー(クレイグ・デヴィッド・ダウセット)とピグレット(クリス・コーデル)を森に残し旅立ってしまう。
時が経ち、婚約者と共に100エーカーの森に戻ってきたロビンだったが、そこで目にしたのは血に飢え野生化してしまったプーとピグレットの異様な姿だった…。
【感想】
ディズニーでおなじみのキャラクター、クマのプーさん。はちみつが大好きで、のんびりな性格で、時々哲学的なことを考えたりする彼だけれど、今回はそんなプーさんが、人をグッチャグチャにするスプラッター野郎として帰って来ました(笑)怖いというよりもはやシュールでしたね。
<パブリックドメインのなせる業>
プーさんは老若男女問わず世界的に愛されている人気キャラクターですよね。もともとは児童小説のようですから、今回のようなスプラッターなんて許されるはずがない、、、のですが、それが可能になった経緯としては、原作がパブリックドメイン化したからです。つまり、著作権がないので好きにできるわけです。にしても、いきなりこんなスプラッター映画になるとは思ってもみませんでしたが(笑)
<正直、映画としては……>
あの穏やかなプーさんが人を殺しまくるっていうギャップが面白いんですけど、それだけです(笑)一応、そうなった背景は冒頭で語られており、動機についてはまあ理解できるんですけど、基本的には「近くに人がいたから殺す」というだけで感情移入の余地はまったくありません。で、その殺し方もこれまでのハリウッドの数々のスプラッター映画と変わらず、ジェイソンやブギーマンと同じことをプーさんがやっているというだけで、特に差別化要素は皆無なんですよね~。画面も暗いので、グロいかどうかもそこまではっきりわかるわけでもないですし。どうせ野生化するなら、もっと人間をガッツリ食べる獰猛さか、人肉のはちみつ漬けを棚に並べるサイコさを出しておいてほしかったです(笑)
<二次創作感が強い>
で、やっぱりあのかわいいプーさんが元になっているからか、怖いかどうかというと、実はそうでもないんです。しかも、「これ、中に普通の人間が入っているんじゃないの?」ってぐらいにプーさんもピグレットも着ぐるみ感が強く、音楽もポップなので、ホラー映画という割には恐怖とは程遠かった印象でした。なので、先にも書きましたが、「あのプーさんがこんなにも人をグッチャグチャにしちゃう」というギャップを楽しむ以外にないんでうしょ、この映画。プーさんが走って追いかけてくるところなんな面白すぎて、思わず吹いちゃいました(笑)全体的に、例えば劇画タッチなカーネルサンダースとか、超マッチョなドラえもんとか、そういう二次創作をずっと観ているような感じでした。まあ、それはそれでありかもしれませんが(笑)
<アイディアの実現化はスピードに勝るものなし>
この映画を観て、こういうのはやったもん勝ちだとつくづく思いました。プーさんのホラー映画なんて世界初だから、とりあえず形にして残しちゃえばこれがスタンダードになりますよね。たくさん作られちゃうと、映画の内容に対するハードルがどんどん高くなっていきますが、最初に作っちゃえばどんな内容でも許されるかなっていう(笑)比較対象がありませんから。よくアイディアは形にしてこそ意味があるっていうふうに言うじゃないですか。多分、プーさんのホラー映画なんて多くの人が思いついていると思うんですよ。でも、ちゃんと商業映画として公開されたのはこれが初めてです。こういうのは二番手以降は全部パクりみたいに思われちゃうので、最初にやることがメチャクチャ大事なんですよね。そういう意味では、圧倒的なスピード感をもってひとつの映画として形にしたことに賞賛を送りたいです(笑)
<そんなわけで>
映画としてはそこまで面白くはないですが、プーさんの新たな一面が観れるという意味では新鮮ではありました。終わり方も尻切れトンボみたいな感じだったけど、続編はどうなるんですかね。。。(笑)