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「来年こそは」と言い続けていれば

一年365日24時間営業の仕事にずっと従事していた。
大晦日も元日も変わらず営業している。

すると、大晦日に帰る時には、
「よいお年を」
と挨拶をして、
翌朝、出勤して、
「明けましておめでとうございます」
相手が目上の人になると、さらに、
「旧年中は…、本年も…」
と続くわけだ。
さらに、夜勤者だと、出勤してきた時には「よいお年を」、帰る前には「明けましておめでとうございます」

心の中では、
「昨日会ったとこやん」
と思いながらも、これが大人の世界と割り切っている。
関西人も、さすがにそこは突っ込まない。

みんなシフト制で勤務しているので、3日もすると、もう誰に挨拶をしたかわからなくなってくる。
もしもダブってしまったら、そこはさすがにボケる。
「あれ、昨日挨拶しましたよね」
「いやいや、これは、来年の分ですわ」

年末年始の出勤時には、電車も道路も空いている。
空いてて楽なくせに、ちよっと腹立たしかったりする。
「みんな休みやがって」
バブルの頃は、元日の早朝にラブホの近くを通ったりすると、「満室」の文字が赤々と輝いていた。
それがまた、こちらの怒りに油を注ぐ。
「こいつら、正月からやりやがって」

それでも、正月というのは、嫌ではなかった。
何となく、みんなの顔が優しくなる。
たとえ三が日のこととわかってはいても、できればずっとこんな顔に囲まれて仕事をしたいなあと、わがままなことも考えてしまう。

いつの頃からか、世の中は正月に休まなくなった。
百貨店もスーパーも。
運送会社の初荷などという言葉も聞かなくなった。
その反動からか、最近は休みをとる店も多くなってきている。
近くのスーパーも三が日は休みになる。
そんなお知らせを見ると、こちらもホッとする。
そうかと思えば、年末年始休みなしのドラッグストアもある。
三が日は、朝の開店時間を1時間だけ遅らせて営業するらしい。
その1時間に何の意味があるのだろうか。
僕が会社に入った頃は、休日サービス出勤も珍しくなく、
「日曜日の朝、いつもよりも1時間だけゆっくり寝られる、これが俺の休みや」
と豪語していた上司もいた。
そんな感じだろうか。

できれば、正月くらい、休める人は遠慮なく休みをとってほしいものだ。
そのために、僕たちは多少の不便を受け入れなくてはならない。
ただ、それはかつては不便でも何でもなく、当たり前のことだった。
それを不便にしたのは、僕たち自身なのだ。

昨年の今頃は、納める仕事がないと喚いていた僕も、今年は今日で仕事納めとなる。

個人的にはともかく、世の中はあまりいい年ではなかったかもしれない。
来年も良くなりそうな兆しはない。
それでも、来年は、来年こそは、いい年でありますように。
そうだ。
来年こそはと言い続けることだ。
どんな予言も、同じことを言い続ければいつかは当たる、そう信じて。

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