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「頑張れ」は嫌ですか

「頑張れ」はパワハラになる。
そんなことが言われだしたのは、いつ頃からだろうか。
鬱病の人に対しての「頑張れ」が禁句だとは、僕もそれに近い病でもあったので、知っていた。
鬱病の人は、心の中では常に頑張っているから、その上に「頑張れ」と言われると、こんなに頑張っているのに、まだダメなのかと思ってしまう。
確か、そんなことだったと思う。
そのことが、だんだんと職場や日常にまで広められてきたのだろうか。
もちろん、本人がパワハラだと思っていることを、敢えて言う必要はない。

しかし、上司に「頑張れ」と言われて、「こんなに頑張っているのに、この上にまだ頑張れと言うのか。パワハラだ」
それは、言葉の問題よりも、それ以前の信頼関係の問題でもあるような気もする。

いやいや、こんなことを言い出すと、老害、昭和の残りかす扱いされてしまう。
ダメなものはダメだと素直に学ばないといけない。

それでも、僕自身は、「頑張れ」と言われるのは嫌ではない。
それどころか、もっと言ってほしい。
「頑張れ」と言われると、「ああ、俺はまだまだ期待されているんだ」と嬉しくなる。
どちらかと言えば、おだてられると木に登る方だ。

「頑張れ」の代わりに推奨されている言葉がある。
「応援してるよ」
そんなことを言われると、僕ならちょっと距離を取られているような気がする。
「無理しないように」
え、もうこれ以上頑張ってもだめってことか。
「お疲れ様です」
若い女の子に飲み物とかと一緒に言われると、ちょっと、いや、かなり嬉しいかも。
これはダメ?
とにかく、僕は、「頑張れ」が好きだ。
言われるのも好きだけど、もっと人にも言いたい。
頑張っている人に、「頑張れ」と。
ピンチの人に、「頑張れ」と。
でも言えない。

「言いたいと思うことが、既にあなたはパワハラ体質なのです」
確かに。

毎年、夏に甲子園を訪れている。
あそこなら、大声で、声がかれるまで、「頑張れ」と叫べる。
もしかすると、
「選手に対して『頑張れ』のお声がけはお控えください」
そんな日が来るのだろうか。

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