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子猫も笑うことありき

昨日の夕方、仕事帰りの妻と待ち合わせをして食事をした後、モールの中のカフェに行った。
そこでは、今に始まったことではないが、高校生が、男子女子それぞれ、参考書とノートを広げて勉強していた。
また、資格試験対策だろうか、イヤホンをしながらテキストを開いている人もいる。

僕が高校生の頃は、勉強するのは自宅か、友人宅、せいぜい図書館。
喫茶店で勉強するなんて考えはなかった。
喫茶店は女の子とレスカを飲む場所。
※レスカ→レモンスカッシュのこと
カフェと言う言葉もまだ一般的ではなかった。
もちろん僕は野球ばっかりで、勉強なんかほとんどしなかったけれども。

そんなことを考えていると、彼らが急に羨ましくなってきた。
彼らがどう思っているか知らないが、こんなに楽しい場所で勉強できて、しかも思い思いの音楽をイヤホンで聴きながら、なんて素晴らしいのだろう。
僕が今彼らの時代を生きていたら、どんな生活をしていただろうか。

彼らの前に広がっている未来を考えると、とても満たされた気持ちになった。
もちろん、いいことばかりではないし、僕らの頃には無かった苦労もあるだろう。
でも、考えられる未来、自分の生きている未来が少しでも長くあるということは、それだけで幸せなことのひとつだと思いたい。
僕らくらいになると、将来のことなんて、もう来世の話になってしまうんだから。
noteでは悲観的なことばかり書いている僕だって、人の幸せを願うこともあるのだ。

加藤楸邨の句を思いだした。

子らの世は子猫も笑うことありき

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