デジタルを推進する責任者に求められるこれからのスキルとは?
企業のデジタル化やデータ活用が進む中で、これまでと少しづつ傾向が変わってきています。
今回はデータやデジタルの責任者が集まる世界的なコミュニティCDO Clubの創設者で代表のDavid Mathisonさんにデジタル責任者にこれから求められる事をお伺いしていきます。。
第一回はデジタル責任者のコミュニティの創設と世界のデジタル責任者が今何を求めているのかをお聞きしています。
CDO Club・CDO Summit創設者兼代表 David Mathison氏 チーフデジタル、データオフィサーの世界的なコミュニティCDO Clubを設立。出版したBE THE MEDIAは各国の大学で参考書籍として購読され、ビジネス活動だけでなく、社会活動などを様々な分野で活躍される。起業家。
Kohei: 視聴者の皆さん。本日のPrivacy Talkではニューヨークから未来のデータビジネスとデータ活用に伴う責任に関してDavidさんのお話を聞いていきたいと思います。
Davidさんの紹介
では始めにDavidさんの紹介をしたいと思います。 David Mathisonさんはチーフデジタルオフィサーやデータオフィサーが参加するCDO Clubと CDO Summiの創業者です。
これまでに、アメリカンバンカーやCIO.com、CIOジャーナル、CIO UK、CMS Wire、CNBC、Computer Weekly、Computerworld、デロイト、Diginomica、EdTech Magazineを始めとして、FierceCIO、フィナンシャルタイムズ、フォーブス、ガーディアン、ハフィントンポスト、マッキンゼーアンドカンパニー、MITスローンマネジメントレビュー、ベンチャービート、ウォールストリートジャーナルやZDnetを始めとした様々なメディアで特集され、数多くの評価を獲得しています。
以前には世界でも影響のあるヘッドハンティング、エグゼクティブリサーチコンサルティングのChadick Ellig社のマネージングディレクターとしてデジタルメディアの立ち上げに参画しています。
Mathisonさんの書籍”BE THE MEDIA” はAPやニューヨークタイムズを始めとしたメディアに取り上げられ、TwitterやFacebookなどで拡散し、ウェブサイトで5000部を11日で販売しています。
コロンビア大学や国連、オースティンのサウスバイサウスウェストを始めとして様々な場面でキーノートスピーチも実施されています。今日はインタビューの機会を頂きありがとうございます。
David: ありがとうございます。宏平さん。日本時間ではこんばんは。ニューヨークからおはようございます。
Kohei: いいですね。そちらではおはようございますの時間だと思います。すばらしい背景ですね!(インタビュー時の背景が良かった)今日は宜しくお願いします。
David: ニューヨークのロングビーチにようこそ!
Kohei: ありがとうございます。では早速トピックに移っていきたいと思います。.
CDO Clubの活動に関してお伺いしたいのですが、2010年始めからスタートしているとお伺いしました。世界各国で展開し日本でもサミットの開催含めて積極的に活動していますね。日本のデジタルやデータオフィサーにとっても非常に重要な機会だと思います。
CDO Clubを始める際に何かきっかけがあってスタートしたのでしょうか?Youtube動画でインタビューを拝見した際にはLinkedinグループから始めたと紹介されていて、どういった経緯で設立されたのか教えて頂けると嬉しいです。
デジタルオフィサーコミュニティの起源
David: ありがとうございます。2011年に入ってCDO Clubをスタートしたのですが、当時私はニューヨークを拠点に展開するエグゼクティブサーチ企業のマネジングディレクターとして働いていました。
私が当時働いていた際にデジタルやデータ領域を牽引するリーダーを見つけることが私の仕事だったのですが、日々仕事をする中で徐々にデジタルに精通したリーダーを組織に迎えて活躍しているケースが増え始めている事を現場で感じていました。
そういった経験からこの領域に注視することは事業としても非常に有望で今後成長していくだろうと思いました。当時は特に2つの領域でニーズが高まり始めていました。
一つはフォレスターやガートナーを始めとしたリサーチファームからのニーズ、そしてマッキンゼーなどのコンサルティング分野でのニーズの高まりですね。
もう一つがエグセクティブに特化した人材企業でスペンサースチュアートやラッセル・レイノルズなどがまだ目をつけていなかったということですね。
そういったトレンドの動きをまとめたホワイトペーパーを2011年に作成してCHROのグループでニューヨークにあるハーバードクラブでプレゼンしたのが始まりです。
そこから色々とリサーチを始めてCDO Clubを始めて行ったというのが経緯になります。2013年にニューヨークのロイターで開催したのが初めてで、翌年にはロンドンのBBCでも開催しました。毎年開催だったものが毎月開催になり、米国だけでなく欧州やイギリス、アジアや中東でも徐々に広がって行ったのがこれまでの経緯です。
初期のアフィリエイトパートナーとしてEYに15年間勤めていたAmit KamaがイスラエルでCIOになり、CDO Clubイスラエルがスタートします。その後に日本で加茂さんと知り合いCDO Club東京が2014年にスタートします。それ以外にも様々な地域でイベントを開催しています。
特に東京でのイベントは盛況で、世界で見ても加茂さん中心に多くの参加者を集めていますね。
今ではデジタルオフィサーだけでなくデータオフィサーやアナリティックスオフィサー(分析官)なども参加するようになってきています。今はコロナの影響もあるのですが、デジタル分野は皆さんプロの方なのでイベント自体は開催していないですがオンライン上でコミュニティづくりを積極的に行っています。
こうやってスムーズに移行ができた事はすごく良いですね。実際状況に合わせて対応できている点が強みになっていると思います。これからのデジタル化はリアルの世界でビジネスを行っていたセブンイレブンなどのコンビニや街のラーメン屋さんなどもこれから取り組む必要がありますね。
10年かかると言われていたデジタル化現象が各地域で起こっていますね。学校や教育、教会などこれまではデジタル化が進んでいなかった分野でもオンライン上でどのようにサービスを提供するかが重要になってきています。
マイクロソフトのCEOを務めるSatya Nadella氏が「2年間かかるはずのデジタル化が2ヶ月で実現した」と話していましたが、それほど激動な2ヶ月間だったと思います。デジタル化が進んでいく中で世界各国の企業ではデジタルやデータ、そして分析官などの責任者の必要性を再認識し始めてきていると思います。
Kohei: それはすごいですね。日本でもデジタル関連の動きは活発になっていて、それに合わせて責任者をどのように設定するかは企業にとって非常に重要な課題ではないかと思います。
コミュニティ戦略に関してお伺いしたいのですが、デジタルに関するコミュニティは他にも沢山ある中で、なぜ多くの企業のデジタル責任者がCDO Clubに集まって来ているのでしょうか?
デジタル教育などは大学を始めとしてでいくと他にも多くのコミュニティはあると思いますし、デジタルコンテンツに関する情報はこれまでよりも圧倒的に探しやすくなったと思うので、なぜ皆さんが参加しているのか理由をお伺いできれば嬉しいです。
各国のデジタル責任者がコミュニティに参加する理由
David: そうですね。主に3つの理由があると思っています。1つ目はジョブに関するアップデート情報の発信です。デジタル責任者は毎月自分にあった魅力的な機会を探しています。企業側からも新しいCDOを探す目的で参加していている人達も多く参加しているので、お互いに必要な「CDOジョブ」という仕事に関する情報をアップデートをしています。
また、コミュニティメンバーがそれぞれ助け合って活動していて、私がその人たちをマネージャーとしてつなぐような役割で課題を解決する手助けするようにしています。
コミュニティのメンバーがいち早くコミュニティを通じて仕事を見つけられるようになると、マッチングした企業で新しいサービスの開発が進んで、コミュニティを通じて紹介するなども生まれてきています。
そこでマッチングするだけでなく開発能力のあるベンダーやプラットフォーム事業者などにも関わってもらいコミュニティ内で新しいサービス開発が進むような仕掛けも設けています。それ以外にもどの企業が月内で新しいCDOのポジションを提供し始めたかなども共有しています。
2つ目は前の月でどんなCDOが新しくどういった仕事に就いたのか発表しています。そして3つ目に企業視点からどの企業に就任したのかを共有しています。
こういった取り組みを通じてCDOが世界中でどういった仕事をしているかがわかるようになりコミュニティ内でより有益な情報が共有されるようになります。
特に始めの2つはCDOのキャリア形成においても重要で私たちのコミュニティはキャリアを支援するという意味でも効果的に機能していますね。
3つ目の意図としてはそれぞれの活躍がわかるようになることで、忙しいCDOも他で活動している成功情報などを得ることもできるようになります。.
企業の外で起きている情報などは中々意識しないと取りにいくことが難しいので、コミュニティ内の同僚がどのような活動を行っているかや、どのように上手くプロジェクトを回しているのかなどを共有する場として活用してもらっています。
Kohei: なるほど。CDO Club Japanの活動でも日本のデジタル推進リーダーがインタビューに答えていましたがそういった意図があったんですね。日本だと各企業がそれぞれ取り組みは実施しているものの、CDOの絶対数自体がまだ少ない状況なのが大きな課題ですね。
CDO Clubのような取り組みはデジタル分野のリーダーを増やしていく上でも非常に重要で、次の企業を背負っていく世代や政府分野で活躍する人たちを育てていく上でも大切な観点ですね。
日本と欧米のデジタルオフィサーに対する考え方の違い
David:私がすごく運がよくて3〜4年前に加茂さんにお会いしてから彼は素晴らしいリーダーシップを発揮してくれています。日本政府とお会いする機会も以前頂いていて、政府でも5年後を見据えたデジタル化の議論は進んでいるようでした。その時にすごく厚い資料を拝見した覚えがあります。
日本では災害対策としてデジタル活用を計画していた事が非常に印象的でした。台風やっ津波などに加えて、地震などの災害が起きた際に災害地域からいかにして早く応答できるような環境を設計するのかなどは、安全地域への避難も考えてデジタルを活用する分野の一つだと思いました。
あとは市民の安全を優先事項として考えている点が印象的でした。数年前に、非常に重要なトピックだと感じたことを覚えています。税金の支払いなどもオンラインを通じてできるようになることや、投票ができるようになるなど間口は広がっていく気がしますね。そういった進捗が見えてくるのも非常に素晴らしいと思います。
日本ではまだインフラに関する問題が残っていると思います。一つは役職の名前の問題でCレベルのタイトルがわかりづらい点があります。欧州や米国ではCレベルに昇格するのはそこまで厳しくないですが、日本だと非常に難しいです。
もう一つが男性が役職につく機会が多く、女性に対してポストが開かれていない問題があると思います。
日本では他国でデジタルオフィサーやデータオフィサーが行っているような内容を、CDOのような役職名がついていない人が行っていたりするのでマネージャーやディレクタークラスでも言葉のニュアンスで役割が変わるのだということを理解しました。
加茂さんがそういった特殊な状況も理解して運営してくださっていることにとても助けられています。今後はアジア圏でもこういった状況を理解して進めていきたいですね。
Kohei:そうなんですね。それは知りませんでしたね。加茂さんとの出会いが特殊なマーケットで文化も理解した上で展開していく中で非常に重要なポイントだったということですね。
David: 今朝のメールで東京でのCDOサミットを12月に開催するみたいなので、近々情報を共有するので是非ご参加ください。コロナの状況で大変なはずなのですが、こういった機会を実施してくださるのは非常に心強いですね。
Kohei: 素晴らしいですね。では次のトピックに移りましょう。次はDavidさんのこれまでの取り組みに関してお伺いしたいと思います。起業家としての活動だけでなく、慈善活動としてもこれまで取り組まれていなと伺っています。
私も社会活動に関しては非常に関心を持っていて主に教育分野でこれまでにも取り組んできたのですが、Davidさんが立ち上げられたHomeaid.netに関してお伺いできると嬉しいです。
この活動は何がきっかけで始めることになり、どういった想いを持って取り組まれていたのですか?こういった活動を始めることは珍しいことなのでしょうか?
David: そうですね。2008年頃の話になりますが、私が“Be The Media”という本を出版したタイミングでアメリカ全土だけでなく、世界中で金融危機が起こりこれまで家を所有していた人たちが家を失ってしまうという問題が徐々に広がってきていました。
特に高齢の方でこういったケースはよく見られるようになりましたね。そこで何ができるだろうと考えたとき、主に生活となる住居を失った際に何か必要なものを届けられるのではないかと思ったことがきっかけですね。
次回に続きます〜!
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