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マトリクスで考える癖を考える
本日は、徐々にビジネスモードに戻りつつある私が、以前のビジネスシーンでしばしば使ってきた「マトリクス思考」です。
縦軸と横軸
私が、縦軸と横軸の二軸を引いて、出来た四面にそれぞれ名前をつけるマトリクス手法を強烈に覚えているのは、渡部昇一氏(1930/10/15-2017/4/17)の名著『ドイツ参謀本部』(私が読んだのは中公新書)です。
渡部氏は、ドイツ参謀本部の人材登用の特徴として、「能力」の優劣と「やる気」の強弱を二軸にし、能力があって、やる気もある人間を将軍や指揮官に登用する。参謀に登用されたのは、能力はあるが、やる気がない人間と解説しています。やる気は野心・功名心と言い換えてもいいかもしれません。
面白いのは、能力がなく、やる気もない人間よりも、能力はないが、やる気はある人間を排除しろと言っていることです。能力・やる気ともない人間は、前線で上官の指示に絶対服従させる兵隊として使う限りは害が少ないが、やる気満々で能力のない人間を、重要な地位につけると組織は瓦解する、と警告しています。私は、この区分けに物凄く影響を受けています。
シンプルで使い易いのでつい使ってしまう
マトリクス思考は割と人気のある手法だと思います。よく目にするのは、仕事を緊急度と重要度にわけて、緊急度は低くても、重要度の高い仕事を後回しにせず積極的にやれ、とかです。
私は重要な決断をする時に、好き/嫌い、得意/不得意の二軸を立てて、考えることがよくあります。好きでかつ得意なことばかりやっていると、成功確率は高くなるし、大変居心地もいいし、幸福度も高いのですが、長い目で見ると、マイナスも多い気がしています。あえて、好きだけど不得意なこと、嫌いだけど得意なことも、適宜取り入れながら進めるのがいいと思っています。ただ、嫌いで、不得意なものからは、徹底的に逃げます。
判断基準を二軸に単純化して考えるのは、問題を矮小化し、視野を狭めるリスクが高いものの、シンプルで、便利なのでついつい使ってしまいます。
シンプルに割り切っていい時、悪い時
思うに、人生がうまくいっていると思っている時に、シンプルな判断ばかりしているといつか落とし穴にはまる気がしています。折角うまくいっているのを変えるのは不安ですが、踏み出す余裕がある時こそ、思い切った選択をした方がいいように思います。
逆に状況が生き詰まっていて、精神状態もよろしくない時は、余り思い悩まずにシンプルに判断していった方がいいと思います。後は目一杯行動して、少々のトラブルや壁は打ち破っていった方がいいと思います。
マトリクス思考は、シンプルに考えたい時はいいと思います。
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