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あの人が教えてくれるもの⑩:白洲次郎

『あの人が教えてくれるもの』シリーズの第十弾は、ワンマン宰相吉田茂の懐刀として戦後日本の復権に奔走し、晩年は実業家としても活躍した白洲次郎(1902/2/17-1985/11/28)を取り上げてみます。

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男が憧れるダンディな男

カッコいい生き方をした歴史上の人物を考えた時、白洲次郎の名前を挙げることに納得する人は多いのではないかと思います。残っている写真や映像を見ても、ダンディで、女性にモテそうな風貌です。日本で最初にジーンズを履いた男、”葬式無用・戒名不用”のエピソードでも知られています。吉田茂を祖父に持つ、麻生太郎氏なんかは、白洲次郎氏の影響を受けていそうな印象があります。

マッカーサーを怒鳴りつけたというエピソードに象徴されるように、度胸の据わった気骨溢れる人だという印象があります。英国留学で身に付けた流暢な英語を操って、各国の要人と互角に渡り合い、敗戦国日本のプライドを示す数少ない日本人だったとされます。同時に「育ちのいい野蛮人」とも言われ、傲岸不遜で相手を見下したような態度や、歯に衣着せぬ物言いで、敵も多かった、という説もあります。彼の残した業績や人物への評価が好転してきたのは逝去後しばらく経ってからのことです。

趣味人

先日偶然知ることとなったラジオ番組『yes~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ』のアーカイブ放送を辿っていたら、第2回の放送で、彼に関するエピソードが語られていました。番組初期は、軽井沢に所縁のある人物に焦点を当てて制作されていたようです。

白洲次郎は、実生活でも、かなりの風流人、こだわりが強い趣味人だったと言われています。夏の休暇を過ごした軽井沢の別荘で、アフタヌーンティーやハイティーを楽しんだ後、「Bar is open」と独り言を呟いてから、自らドライマティーニやジントニックを作って飲んだ、というエピソードはなかなか洒落ていて、憧れます。

ドラマを観てみよう

彼について調べていたら、2009年放送のNHKドラマスペシャル『白洲次郎』(三話完結)に行き着きました。白洲次郎を伊勢谷友介、妻で随筆家でもあった白洲正子(1910/1/7-1998年/12/26)を中谷美紀が演じていることがわかりました。

私は、この番組をまだ観ていないのですが、このキャスティングは、なかなかナイスだと思います。伊勢谷さんが醸し出す雰囲気は、白洲次郎の代名詞である『育ちのいい野蛮人』とかぶり、ニヒルで高慢、一筋縄ではいかない硬骨と熱血を合わせ持つ人物、というイメージにぴったりと合います。また、進歩的な考えと古風さを併せ持ち、女性からのファンも多い白洲正子役には、ミステリアスな雰囲気と凛とした強さを感じさせる中谷さんはうってつけです。

白洲次郎から学ぶなら

実のところ、白洲次郎が日本に果たした功績については、まだ完全には評価が定まっていない所もあります。産業界に残した足跡も、超法規的措置と受け取られても仕方がない剛腕や辣腕から繰り出されたものであり、必ずしもプラスの評価ばかりでもなさそうです。彼自身が核心を語っていないと言われ、『墓場まで持っていく』と処分してしまった機密書類や情報も多数あります。

以前、著作『プリンシパルのない日本』(新潮文庫2006)を読んだような記憶があるのですが、肝腎の中身は私の記憶からすっかり消え落ちてしまっています。この他にも白洲本は多数出版されているので、読み直してみようという気になりました。



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