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M1グランプリの思い出

最近amazon prime会員になったので、過去のM1グランプリ決勝で披露された漫才を集中的に見返しています。私は関西生まれの関西育ちで、1970年代後半の第一次漫才ブームをオンタイムで経験した世代です。お笑いが身近な環境で育ちましたので、良質な漫才は今も大好きです。

M1は、創始者の島田紳助さんが漫才界に残した最大の功績だと思います。初期の審査員には、凡そ真面目にやっているのか疑わしい方もいましたが、島田紳助さん、松本人志さん、大竹まことさん、島田洋七さん、ラサール石井さん、渡辺正行さん、オール巨人さん、中田カウスさんらは真剣で、コメントも鋭いです。若手芸人の人生を背負って審査しているという緊張感・責任感を感じます。

M1グランプリには、私が子供の頃に大好きだった伝説の漫才番組"The MANZAI"の香りをうっすら感じます。紳助さん自身が、紳助・竜介時代に、最大の目標とし、漫才師として毎回真剣勝負の場だったと言っています。若手漫才師が目標とし、切磋琢磨し合う、シビアな場を作っておきたかったのでしょう。

M1の魅力は、芸人達の人生を賭けた真剣な闘いが見られることに尽きます。4分間に凝縮されたネタとテクニックを観れば、笑いを作ることに命を削っていることがわかります。歴代のM1チャンピオンは錚々たる面々ばかりだし、評価も妥当だと感じます。初代王者の中川家、二代目王者のますだおかだ、三代目王者のフットボールアワーの漫才は今見ても面白く、十分笑えます。

2000年代半ばは、この大会の黄金時代で、完全優勝した2006年のチュートリアルの二つのネタは神懸かっていたし、2005年のブラックマヨネーズのグルーブ感は出色だったし、2004年優勝のアンタッチャブルは芸達者で、二人は技術的には最高水準の腕を持っていると感じます。2015年以降では、銀シャリが巧いと感じます。

ただ、私は、優勝する為の人気も技術も実力も備えていながら紙一重で戴冠出来なかったコンビにも惹かれます。(最終的に王者にはなったものの)圧倒的な爆笑ネタを披露しながら長年苦渋を舐め続けた笑い飯、テンポとセンスが良い実力派の麒麟、「回収漫才」の走りで、独特の世界が過小評価されていたと思われるトータルテンボス、屈指の実力派コンビのナイツ、最近では、革新的なネタに挑み続けたジャルジャルなんかはその典型です。今はカリスマインフルエンサーとしての活動の方が有名になってしまった西野亮廣さんが、突っ込みを務めていたキングコングも、M1優勝を果たせなかった実力コンビの一つです。

また、M1に出るまでは殆ど無名だったコンビが衝撃的なパフォーマンスを残し、一気にスターダムを駆け上がった例も多数あります。敗者復活戦から勝ち上がったオードリー(2008年)、サンドウィッチマン(2007年優勝)、トレンディエンジェル(2015年優勝)、戦績は今一つながらコンビの個性が評価されてテレビに常連になったピース、メイプル超合金あたりです。

気分がクサクサする時はお笑いで気分転換するのがいいですね。


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