「8:2の法則」に対して思うこと
有能な一握りの集団が、その他大勢を支配していることを説明する際に「8:2の法則」が引用されることがあります。
● 2割の社員が、会社の8割の売上を上げている
● 利益の8割は、2割の取引先から上がっている
● 富裕層の上位2割で、全資産の8割を独占している
などなどの話です。法則の発見者のイタリアの経済学者、パレート(Vilfredo Frederico Damaso Pareto 1848/7/15-1923/8/19)の名から、「パレートの法則」とも呼ばれます。
理論的にも、経験的にも、「8:2の法則」は確かに真理を含んでいると感じますが、現象を説明するこの理論が、時に歪曲されて応用されています。色々誤解を生み易い使われ方がしていると感じる時もあります。
この理論を持ち出された時、
「俺は優秀な2割側の人間だ」とか
「私は、永遠にその他大勢の8割側から抜け出せないのかなあ」
という風に、2割=優、8割=劣という捉え方をしてしまうように思います。
「8:2の法則」を使って、2割側にいる(と信じ込んでいる)人が、平凡な8割側の人達を揶揄したり、断罪したり、搾取したりする展開に持ち込もうとします。聞いた人の心に潜むふわっとした不安に働き掛けるセールステクニックなのだとは思います。個人的には好きな手法ではありません。
8:2の比率は、永遠に固定され続ける訳ではなく、常に流動するものです。ある分野では突出した成果を上げていて、自分の周囲にいる人から尊敬を受けていたとしても、自分の専門分野外の世界では、自分だってその他大勢のひとりなんだということをしっかりと自覚しておかないと、傲慢な人になってしまいます。
実際の所、自分がその他大勢の8割のひとりだからといって、幸せに過ごせない、幸せになれない、なんてことはありません。社会や組織のどこに位置しているかという属性はあまり関係がなく、どんな人にも、自分にとってふさわしい幸せへの道は開いている、と私は信じています。軽やかに、カッコよく凡人ライフを楽しんでいる人は一杯いますし、自分もそちらの道を歩もうと心に決めています。
ストーリーに「8:2の法則」の理論が出てきた場合、その裏にマインドコントロール的なメッセージが含まれていないか、十分注意しながら聞くべきだと思います。マネジメント手法としては、有効です。
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